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11月4日 (金)

民主党が年末年始でやるべきこと

11月1日に特別国会が閉会し、その前日に第3次小泉内閣の陣容が発表された。

42日間という特別国会では異例の長さであった(ちなみに、前回の初当選時の特別国会はたった3日)が、法案審議という観点では、まったく未消化であった。郵政関連法案の審議は、民主党が対案を出したにもかかわらず、3日間で押し切られ採決。総選挙前に5票という僅差で可決された同じ法案が200票の大差で可決された際には、総選挙惨敗の現実を改めて噛み締めた。

その他、議員年金廃止法案、障害者自立支援法案などで、相次ぎ対案を提出した(個人的には、海洋権益確保に関する2法案と、通称「ママちゃり」と呼ばれる自転車に乗せられた子ども達を転倒事故から守るための道路交通法の改正案の提出にかかわり、前者は継続審議、後者は審議未了廃案となった)が、審議も尽くされないまま一蹴されてしまった。

まさしく、臥薪嘗胆とはこのこと。この悔しさを噛み締めて、他日を期して頑張り通すしかない。前原新体制の「改革競争を挑む」という基本戦略は、間違っていないと確信している。しかし、対案路線、正確には、「法案による対案路線」が、有効な戦術であるかどうかについては、議論の余地があるように思う。

昨年の年金改革法案の時にも、今回の郵政改革法案づくりの過程でも明らかになったが、法案作成の基礎となるデータを独占する官僚機構の協力なしに政府案に比肩しうる精緻な法案を作成することは不可能だ。同僚議員や政調スタッフの皆さんの昼夜兼行の奮励努力にもかかわらず、民主党提出法案の不備が指摘されざるを得なかった事実を真摯に受け止めねばなるまい。

このまま、「法案提出による対案路線」に固執すれば、文字通り消耗戦を強いられ、否決に次ぐ否決によってやがて私たちは疲弊し、それこそ小泉自民党の思う壺にはまり込んではしまうのではないか、という危惧を持つ。

議院内閣制の先輩国であるイギリスでは、法案はほとんど内閣提出。野党は、その法案の不備を指摘し、追及し、そして最後に修正を勝ち取る。自分たちの理想の法案は政権を獲得して初めて日の目を見ることになる。

これでいいではないか!政府案に対して私たちなりの「対案」が必要なことは言うまでもない。問題は、それを法案化する必要があるかどうかだ。対案は、必ずしも法案化されたものではなく、政府案との対立軸が鮮明となるような要綱(アウトライン)の発表で十分ではないだろうか。要は、そこから、民主党らしい視点が読み取れるか、滲み出ているか、ではないか。

つまり、政府が出してくるさまざまな法案に対して、民主党が一貫した視点で、批判、追及、代案提示できるかどうか。そのためには、民主党がめざす「国のかたち」、「社会のすがた」が定まっていなければならない。国会議員として、政党人として、今私たちがエネルギーを傾注しなければならない作業は、まさにこれではないか。

結局、今回の総選挙の最大の敗因は、民主党のめざす国家像や社会観を国民にわかりやすく訴え切れなかったことにあったと思う。小泉さんは、彼なりに分かりやすく訴えていたのだ。「官から民へ」「中央から地方へ」「やればできる!」などなど。幼稚なスローガンと評論家から揶揄されたが、それを飽きもせず、延々と繰り返し訴え続けた小泉首相に最後は軍配が上がったのだ。

盛んに槍玉に上がった我が党の「日本をあきらめない」というスローガンも、それ自体がどうのこうのというのはあくまで結果論であって、それよりも何よりも、そのようなスローガンを生み出してしまった民主党の社会観(今の日本をどう見るか)に重大な問題があったと反省すべきだろう。

また、郵政民営化をめぐって選挙中に党幹部の政見がブレて行った原因も敗因の一つに挙げられるが、それも同様に、確固とした社会理念や国家観を党全体で共有していないが故に必然的に起こった結果なのではないだろうか。

その肝心な事柄に関する真摯にして深い議論なしに、安易に「改革競争」を挑んでいけば、それは、下手をすると、パンとサーカスをめぐる刺激合戦(つまり、どっちがより刺激的か、といったディズニーランドの集客競争のようなもの)に堕する危険がある。

特別国会が終わっても、米国産牛肉輸入再開をめぐるBSE問題や、在日米軍再編、イラクにおける自衛隊の活動を延長するかどうかの政治判断など、新大臣たちに質すべき課題は山積している。したがって、私たちは、直ちに臨時国会を開催するよう政府与党に申し入れている。もちろん、これを軽視するつもりはない。

しかし、それよりも何よりも、政権交代を本気で実現するためには、私たち民主党のめざす社会や国家についての明瞭なメッセージを国民に示すために、党内論議を尽くすことこそ、年末年始の3ヶ月弱の間に、つまりは来年の1月から始まる通常国会での本格的な論戦の前に、必ずやっておかなければならないことではないだろうか。