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国会質疑

2004年3月3日

【会議録】第159回通常国会 テロ防止・イラク支援特別委員会

【小此木委員長】

次に、長島昭久君。

【長島委員】

先ほど赤松先生の方から、私が予算委員会で台湾の問題について質疑をさせていただいた、そのことをお触れいただきましたので、ちょっと冒頭に川口大臣にお伺いをしたいと思っているんですが、せんだっての二十日の予算委員会の質疑の中で、日本政府は、今回の台湾総統選挙、そしてそれに伴う公民投票について、政府の決定に基づいて、台湾海峡及びこの地域の平和と安定という観点から、台湾総統府のいわば官房長官に当たる秘書長に対して異例の申し入れを行った、このことはお認めをいただいたというふうに思いますが、政府の決定というのは私にはちょっと解せないのでありまして、どういう形の政府の決定がされたのか、もう一回確認をさせていただきたいと思います。

【川口国務大臣】

 これは、政府の中の決裁を、そのことをやることについてとるという形で行われております。

【長島委員】

 政府の中でというのは、内閣の中でもいろいろ議論があったように私は想像するんですけれども、石破防衛庁長官、ちょっと伺いたいんですが、この台湾に対する異例の申し入れについては事前に御存じでしたか。

【石破国務大臣】

 存じておりません。  しかし、これはもう政府としての立場は、外務大臣が答弁されておられるとおりと承知をいたしております。

【長島委員】

 仮に、事前にこういう話を防衛庁長官が伺ったら、どんな対応をされたと思いますか。どんな感想を持たれましたか。  つまり、こういう、今まで外交関係がなかった台湾に対して、一九七二年の断交以来三十年間、日本は政治的には沈黙をずっと守ってきたわけですね。外務大臣がおっしゃったように、今回初めて地域の平和と安定という問題について日本は口出しをした。こういう申し入れをすることについて、内閣の一員としてどんな認識をされているか伺いたいと思います。

【石破国務大臣】

 仮定の御質問にはなかなかお答えがしにくいところでございますが、ただ、この国民投票の内容が何であるのか、総統選挙との関連はどうなのかということも、私は議論としてはあるべきものなのだろうと思っております。  私自身、政府の一員として、当然、政府が今回行った立場というものが正しいものだというふうに認識をしておりますが、同時に、個人的な感想として申し上げれば、総統選挙は行うのだ、しかし、同時に国民投票も行うのだ、この国民投票の内容というものが、これは世論調査でも何でもそうなのですけれども、それを問われたときに是と言うか非と言うか、そのことに何の意味があるのかというような議論も私はあるのだろうと思っております。  我が国といたしまして、いずれにいたしましても、この地域の平和と安定というものを構築していくために何をなすべきかということは、常に真剣に考えてまいらねばならないことと承知をいたしております。

【長島委員】

 私も、どちらかというと、今回の申し入れに対しては違和感を持っている一人なんですけれども、さっき赤松委員の質問に答えて、中国側には何か申し入れをしたのかと、つまり、一方当事者である台湾に対して一方的に自粛しろ、緊張が高まることになるから自粛しろ、こう言った。逆に、中国側に対しても、アメリカなんかを見ると、ブッシュ大統領の温家宝首相との会談の際のコメント、これも、両方に対して自粛を、自制してくれ、こう言っていますね。そして、今回の公民投票については、一方的に現状を変更するおそれがあるから気をつけた方がいいという話をした。しかし、その次の日に、ライス安全保障担当の大統領補佐官はそれに対して補足をして、我々は中国側に対し、もし中国が台湾に軍事力あるいは威圧を加えようとするならば行動するんだ、台湾を守るんだ、こういう言い方をしておりますし、今防衛庁長官がおっしゃったように、公民投票の内容が出た時点で、もう一度、パウエル国務長官は、大分台湾の総統府も柔軟性が出てきたなという一定の評価を与えるコメントを香港のメディアに対して公の場で言っているんですね。あのアメリカでさえ、かなりバランスをとったことをしているんですね。  今、赤松委員からの質問に対して、日中の外務担当の会議でも言ったよ、日中安保対話でも言ったよ、こう言うんですけれども、これは私たちに全く知らされないんですね。 つまり、何が言いたいかというと、やはり中国側に言ったんだったら、例えば、報道官が後から出てきて記者会見をして、中国側にも言ったんだと言う、そういうバランスをとった対応というのが政府は必要なんじゃないですか。いかがでしょう。

【川口国務大臣】

 先ほど赤松委員にお話をした田中外務審議官の発言というのは、これは日中外交当局の協議が一回目、それからもう一回あったわけですけれども、そういった協議に際しては、常にその後に記者ブリーフをしております。もちろん、いろいろなテーマが入って、広い日中間の協議、外交当局の協議であったり安保関係の協議であったりするので、そういう中でほかのものも一緒に出ていくということでございますけれども、我々の基本的なポジションというのは、そういうことについてはお話をしているということであって、ただ私、今、その田中審議官が発言をしたときのブリーフの状況について、何をどう言ったかという紙は持っておりませんので、具体的にこういうふうに言いましたということを申し上げることができないわけですけれども――今ここで来ましたですね。  このときにお話をしていますのは、台湾に関する日本の立場は日中共同声明のとおりであるから、従来から変わりなく、最近の台湾の動きについて政府として懸念を表明しているところである旨説明をした、また、地域の平和と安定のため、中国側に対しても冷静な対応を求めるとともに、この地域の平和と安定のためにも、武力行使には反対である旨指摘をしたということが、これが二月の十日の第九回の日中安保対話について記者ブリーフをした内容でございます。  ですから、きちんとバランスをとって我々としては申し上げている。ただ、情報はたくさんありますから、その情報の中に埋もれてしまうとなかなかお目にとまらないということはあるかと思いますけれども、こういったブリーフは全部、外務省のホームページでも出しているはずでございます。

【長島委員】

 今のを伺って多少安心をいたしましたけれども、内田交流協会の台北事務所長は、申し入れを行った直後に記者会見をして、かなりメディアの注目を集めているんですね。それをやはり後で、ある意味で中和するためには、それ相当の政府としての意識的な努力が必要だと私は思いますので、その点、これからぜひ気をつけていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  私は、何でこんなに心配をするかというと、どうも、チャイナスクールという言葉があるように、外務省の中国に対する姿勢というのは、ちょっとおもねっていると言うと言い過ぎかもしれませんが、多少腰がふらついているんじゃないか、こういうふうにいつも疑いを持っておりまして、そうこうして今回の質問に備えて準備をしているときに、ちょっと重大なことに気がつきましたので、お手元に、委員の皆さんには資料をお配りしてありますが、御承知のとおり、米中の間では三つのコミュニケが基本的な枠組みとなって、アメリカと中国の間の関係を規定しているんですね。  その三番目のコミュニケが、レーガン大統領のときに、八二年に交わされているんですが、川口大臣も英語が得意でありますので、よく見ていただければ一目瞭然でありますが、この訳語なんですね。英語の方を見てみますと、「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であるということを承認」していると、これはアメリカ合衆国が。これは問題ないです、米国内でですからね。そして、もう一文ありますね。「中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であるという中国の立場」、アクナリッジと書いてあるんですね。このアクナリッジというのは、普通言えば、認識している、そういうふうに中国が言っている、中国の立場はわかっているよ程度の話なんですね。  ところが、ここでは、その立場も、「も承認した。」これはツーとかアズ・ウエルとかついていないんですよ。「も」というのも多分誤訳ですけれども、承認したという同じ日本語を使っているんですね。違和感ありませんか。――いや、外務大臣にちょっと。英語の問題ですから、これは。いやいや、まず外務大臣。

【兒玉政府参考人】

 お答えいたします。 御指摘のとおり、米中間の三つのコミュニケにおいては、まず英語の正文はいずれもアクナリッジとなっておりますが、中国語の正文がございまして、それは七二年の上海コミュニケでは「認識」というふうになっておりまして、その後もう二つの、七八年と八二年のコミュニケでは「承認」となっております。  他方、このコミュニケは米中間の文書でございますので、それらの語の意味するところについて、日本として有権的に解釈する立場にはないということかと思っております。

【長島委員】

 これは米中間の話なんですが、日本の政府の立場よりもさらにおかしな訳になっているんですよ。私は、これは誤訳というよりか意訳だと思うんですがね。  日本政府は、中国との間に日中共同声明がありますね。この第三項で「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。」これは、中国がそうやって表明した、ただそれが書いてあるだけ。日本政府の立場が書いてあるんですね、「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」と。日本政府ですらここまで、ある意味で相当慎重に、ガラス細工のような関係ですから、承認するなんということは言っていないわけですね。ところが、アメリカのコミュニケで、承認するという訳語を使っている。  今兒玉さんの方から、中国語の正文を使っているからという話があるんですが、こういう文書は、いろいろな学生や一般の国民がアクセスをして研究の材料に使っていく大変重要な、私はわざわざアジア大洋州局の中国課に、日本語の、今政府が公式的に採用している訳語なんですかということを再三確認して、そうですと、外務省の方でこれはオーソライズした訳語ですということで御説明を受けているわけですけれども、そこにこういう誤訳があるということ自体、まず問題です。  百歩譲って、いや、これは中国側の正文をそのまま書いただけですからということであれば、やはり後学のために、ここには注をつけて、米中間の複雑な関係もあって、英語ではアクナリッジになっているんだけれども、あえて日本語は中国の立場も、まあ中国の立場を重んじるなんて書くかどうかわかりませんが、ここは承認したといたしましたというふうに、やはり注をつけてください。これはぜひ外務省の努力として、日本の政府の、中国、台湾、あるいはこの地域の安定ということを考えたときに、やはりそれぐらいの矜持を持っていただきたいということを要望しておきたいと思います。どうぞ。

【川口国務大臣】

 今先生が提示なさったこの文章でございますけれども、これが外務省がやっている訳であるというニュアンスでおっしゃられたんですけれども、我々としては、この文章の出典ということについては全く承知をしていないです。  外務省として使ってある文章というのは何かといいますと、これは外交青書の中で書いてありますが、例えばこの文章について言いますと、アクナリッジはアクナリッジというふうに書いてあるということでございます。これはごらんいただいたらいいと思いますけれども。ですから……(長島委員「訳語はないんですか」と呼ぶ)日本語になっていないじゃないかとおっしゃられれば、それまでかもしれませんが、我々が使っているのは、唯一の合法政府であることを承認し、これは承認しと書いてありまして、承認し、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であるとの中国の立場をアクナリッジしたというのが外交青書で使っている言葉です。  いずれにしても、両方、承認という言葉を使って外務省として書いているということは事実ではないということを、ちょっと事実関係の問題ですので、きちんとさせていただきたいと思います。

【長島委員】

 いや、それは多少言い逃れなんですけれども、アクナリッジは認識というふうに、ほかの二つのコミュニケではしっかり訳しているんですよ。それで、ここだけ何かアクナリッジということで逃げるというのは、私はとても納得できませんが、そういうことは一応、委員の皆さんを初め、国民の皆さんにぜひ認識をしていただきたい。そういう意味で、外務省の軽率な行動はぜひ慎んでいただきたいということを言って、次の問題に移りたいと思います。  実はこれも中国絡みでありますが、海洋調査船の問題であります。  中国の海洋調査の歴史というのは、七〇年代の半ばからずっと続いております。まず南シナ海で活発化をいたしまして、どんな経緯があるかと調べてみると、最初は海洋調査で始まるんです。ところが、だんだん資源探査にいって、最後は軍艦が出てくるんですよ。こういうことに、東シナ海、つまり日本が隣接をしている海がそうなってはならないと私は思うんですが、そういうことで脅威が増大してきた経緯があって、実は東シナ海でも同じような経緯で今着々と中国の活動が続けられているんですね。  九〇年代半ばから、日本が主権的な権利を主張するような海域で海底石油調査が始まったりということがあるわけです。日本側は、当然のことながら中止の要請をしておりました。そして、それはほとんど無視をされて最近まで至っております。九六年には十五回、九七年には四回、九八年には十四回、九九年には三十回。特にEEZ、排他的経済水域での中国の海洋調査は、二〇〇〇年から物すごい勢いで頻発をしているわけです。  九九年だけ例にとりましょう、時間もないので。九九年に確認をされた三十回のうち、実は四回は領海侵犯だった、二十六回はEEZに対する侵入だった、こういう記録があるんですけれども、この四回にわたる領海侵犯行為に対してどういう対応をとられたのか。私の確認しているところによると、排除はしなかった、ただ抗議だけをした、こういうふうに書いてあるんですが、事実関係、いかがでしょう。

【兒玉政府参考人】

 申しわけございません、今手元にちょっとその資料がございませんので。

【長島委員】

 海上保安庁の方もいらっしゃらないですか。

【小此木委員長】

 きょうは、海上保安庁の政府参考人の要求がございませんので、出席はされていません。

【長島委員】

 きのう、ブリーフでは申し上げたんですが。

【小此木委員長】

 先ほどの理事会で申し上げたとおりですけれども。

【長島委員】

 一年生なので、ちょっと手続で戸惑いますけれども。  二〇〇〇年の五月、六月に大変なことが起こったんですね。(発言する者あり)そうですけれども、たくさんありますので、またこれは集中してやりましょう。  二〇〇〇年の五月、六月に、中国海軍の情報収集艦、これが、津軽海峡、房総沖を通過して日本列島を一周いたしました。こういう事実がありました。これで大騒ぎになったんですね。そこで、日本側も、当時河野外相でしたけれども、多少真剣になって、初めての日中安全保障対話というのを始めることになりました。  このときに、日本側は、中国海軍の軍艦の津軽海峡での活動に懸念を表明、こういうことであります。そして、その際に中国側が何と言ったかというと、日本の懸念は認めるけれども、正常な活動であり問題ない、こう言ったんですね。外務大臣、本当に問題ないですか。

【川口国務大臣】

 具体的な例について、領海侵犯とか、何かそういうようなことがあったかどうかということについて、私はちょっと今知りませんので、それは調べてみたいと思います。

【長島委員】

 随分ずさんですね、政府は。きのう、ちゃんとこの問題について通告しているんですよ。

【兒玉政府参考人】

 例えば、昨年でございますけれども、中国の海軍艦艇が日本の周辺海域で活動した事例がございます。日本政府からは、その都度、関係省庁間で連携した上で、外交ルートを通じて、そうした活動の概要、それからその目的について説明を直ちに求めるとともに、日本国内の誤解や不必要な疑心を生じせしめぬようにということで、慎重な対応を申し入れてきております。  また、これに関連しまして、先ほども言及がございましたが、中国側はことしの二月に日中安保対話を行っております。中国側からは外交部や国防部も参加しておりますが、その場で、中国側としては海軍軍艦の活動については国連海洋法条約に合致したものであると考えているが、隣国である日本側からの提起のあった関心を踏まえ、今後は情報交換、意思疎通、関連事項についての説明を行っていきたいというふうに述べております。 いずれにしても、これから引き続きこうした活動内容を把握して、一層の努力を払っていく考えでございます。

【長島委員】

 実は、まだ二〇〇〇年の話をしていたんですけれどもね。去年の話ではないんですが、去年の段階ですら、ただそういう慎重な対応を申し入れる。二〇〇〇年の段階で既に五月にこういう事件があって、三年間何をやっていたんですか。大臣。

【川口国務大臣】

 これは、先ほど兒玉審議官の方からお話をいたしましたように、確かに、例えば昨年の例としては、中国海軍が我が国の排他的な経済水域において漂泊をしたとか、そしてワイヤをつりおろして調べたとか、それからもう一つ、これは領海外ですけれども、近くを中国の国旗を掲揚して浮上航行していた、これは潜水艦ですね、というようなことがあったということは、そのようでございます。  先ほど申しましたように、これは、我が国の周辺海域で活動をしたときには、外交ルートを通じて中国に、その活動概要それから目的、そういったことについて説明を求めておりますし、我が国として、中国側が慎重に対応することが必要だということも申し入れをしてきております。  それで、二〇〇〇年のお話を先ほどなさって、二〇〇〇年から昨年の、今申し上げたのは昨年のケースでの対応ですけれども、それまでの間何をしたか、これは具体的にどういうケースがあって、そのときに何をしたかというのは、ちょっと細かいデータは手元に資料がございませんので、それについては調べたいと思います。

【長島委員】

 外務大臣の認識はその程度ですか。二〇〇〇年から二〇〇三年の間には大きなことがあったんですよ。それは、事前通報制度を日中間で取り決めたということ、これは大変重要なことなんですね。そのことを全く御存じないんですか。そういう話をぜひしていただきたいと思ったんですが、御存じなかったようなので。  この点、防衛庁長官、今潜水艦の浮上もあった、こういう話ですけれども、安全保障上の観点から、防衛庁長官の御所見をぜひいただきたいと思います。

【石破国務大臣】

 調査船がいろいろなことを行っている目的は多々あるだろうと思っております。資源探査もございましょう、そのほかのいろいろなものもあろうかと思います。  私どもとしては、この中国の調査船が行っておること、そしてまた、その目的等々を含めまして、重大な関心を持って見ておるところであります。私どもとして、うちのP3でありますとか、そういう飛行機がこういう船を見つけた場合には、とにかくきちんと公表する、すぐさま公表するということは行ってまいりました。  私ども、あらゆる安全保障上の観点からも、この問題には重大な関心を有しております。

【長島委員】

 引き続き、ぜひ安全保障の観点からこの活動はウオッチしていただきたい、このように思います。  この事前通報制度についてちょっと伺いたいんですが、以前、これも平成十三年の六月の外務委員会での質疑の中で、中国側が事前通報制度にのっとって、こういう調査をしたい、こういう器具を使ってこういう調査をしたいということは逐一事前に報告を受けている、エアガンを使用するとか、あるいはボーリングをするとか、こういう事前通報がある、こういうふうに言っているんですが、その都度政府部内でどんな検討がなされているのか。  これは、外務省が通報を受けて、外務省の中だけで検討しているのか、あるいは、安全保障上の問題も含めて政府部内で皆さんで協議をして、そしてそれに対して同意を与えるか与えないかということを吟味して、そして、まあこういうことだったらいいだろうということで同意をしてずっとこの間やらせてきているのか、その点確認させてください。

【兒玉政府参考人】

 お答えいたします。 まず、先生御指摘のとおり、東シナ海における中国の海洋調査船の活動、科学調査に関しましては、日中間で境界の画定がなされていないということなどを踏まえまして、御案内のとおり、平成十三年の二月に日中間の海洋調査活動に関する相互事前通報の枠組みが成立しております。  この調査については、中国側から事前通報、それから事前申請を受けることになっておりまして、その都度日本側では、申請を受けた上で、まず国内の関係省庁としましては、海上保安庁あるいは防衛庁、文科省、農林水産省、国土交通省、総務省、それから経産省の資源エネルギー庁、環境省に対して情報を共有しまして、これについての承認を与えるべきかどうかということで検討した上で、問題がないことを確認した上で同意を与えております。

【長島委員】

 これまで口上書の、つまり、通報制度ができてから何回通報を受けて、何回同意を与えているか。つまり、拒否した事例はあるかどうか、ここもちょっと確認させてください。

【兒玉政府参考人】

 お答えいたします。  これまで、事前申請を受けた件につきましては、二度ほど受け入れられないということで拒否をした事例がございます。

【長島委員】

 この二回、ぜひ詳細に教えてください。  通報事項というのは、幾つかあるんですね。海洋の科学的調査を実施する機関の名称、船舶の名称、種類、責任者、当該調査の概要、目的、内容、方法及び使用器材、当該調査の期間及び区域、どの点にそぐわないということで同意を拒否したんでしょうか。

【兒玉政府参考人】

 お答えいたします。  まず、不同意を与えたというケースについて、私は二件と申しましたが、訂正させていただきます。失礼いたしました。三件でございます。  具体的な事例としては、平成十三年の八月二十九日の申請案件で、これについては、申請形式の不備ということで、我々の要求する所定の様式に従っていなかったということを理由に不同意をしております。  それから、平成十四年の九月三十日の申請につきましては、一度私どもが同意を与えた海洋調査に関連して、期限延長、それから調査海域の拡大を申請してまいりましたので、これについては、新たな海洋調査であるということで、きちんと新しい案件ということで申請すべきだということで、不同意をしております。  それから、三件目でございますけれども、平成十五年の十月の十三日に申請を受けておりますが、これについては、平成十六年の四月一日から海洋の科学的調査を行いたいという申請でございましたが、我々としては、四月一日から十三日の期間について不同意ということで、その十月十三日から六カ月後である四月の十三日以降については同意を与えております。  いずれにしても、私どもとしては、海洋の科学的調査に関する相互事前通報の枠組みについて、我が国として不同意を最終的に与えた例というものはございません。

【長島委員】

 結局、内容でけっていることはないということがわかったので、それはまたおいおい詳しく詰めていきたい、こういうふうに思いますが、もう時間があと残り十分を切りましたので、次の問題、防衛庁長官が退屈そうなので、防衛庁長官に聞きたいと思いますが、ミサイル防衛システムについて伺いたいというふうに思います。  これも、先日予算委員会で少し議論をさせていただきましたけれども、十二月の十九日の閣議決定で、私はあえて言っているんですが、日本独力というか、独自のBMDシステムの配備を決定いたしました。そのときの官房長官談話の中で、これも私、先日ちょっと触れましたけれども、「迎撃の実施に当たっては、我が国自身のセンサーでとらえた目標情報に基づき我が国自らが主体的に判断するものとなっています。」こういうふうに言っているんですが、「我が国自身のセンサー」というのは、具体的なイメージ、ぜひ教えていただきたいと思います。  推測するに、イージス艦及びAWACSにあるフェーズドアレー・レーダー、これが一つですね。それから、二月の十八日付の読売新聞の報道に、将来の警戒管制レーダー、FPS―XXというのが、こういう新レーダーが四月に試験と。これと今フェーズドアレー・レーダーと、この二つを組み合わせて、PAC3とSM3の配備をコンビネーションで決めて、そして、ある意味でいったら、目標の探知から、そしてそれを捕捉していって、そして最後、追尾して撃ち落とすまで、これを日本独自でやろう、こういうことだと思いますが、もう少し詳しく、防衛庁長官の立場から御説明いただけますか。

【飯原政府参考人】

 お答え申し上げます。  現在導入を予算案に計上しておりますシステムは、イージス艦システム単体、もしくはPAC3システム単体でも、そのレーダーで目標を捕捉してミサイルを迎撃することは可能でございます。ただ、全体のシステムといたしまして、地上に高性能のレーダーを配備いたしまして、そのレーダーと連接をすることによってより高性能の迎撃性能を付与できるということでございますので、将来的には、全体のシステムとしてそうした方向を目指すということでございます。

【長島委員】

 二つ疑問があるんですけれども、一つは、今まで私たちが軍事常識で、知識として認識をしていたのは、さすがに、早期警戒情報、つまりミサイルが飛び出す瞬間、ここは早期警戒衛星でしか、つまり静止衛星でしかとらえられない、これはアメリカとロシアしか持っていないというふうに認識をしていたんですけれども、この官房長官談話の雰囲気からいくと、発射から全部捕捉しようというかなり野心的なレーダーシステムを日本は開発しようとされているように聞こえるんですが、早期警戒衛星の情報にも代替し得る、それだけの性能を持ったレーダーなんでしょうか。

【兒玉政府参考人】

 お答え申し上げます。  今先生御指摘の新型レーダーは、将来の航空機等による経空脅威、空から来る脅威、そういうものに備えて開発中の将来警戒管制レーダーでございまして、航空自衛隊の航空警戒管制部隊で使用することを考えております。  航空機等のステルス性、レーダーに見えない、そういう能力が年々向上しておりますので、かかる航空機等には、現在装備しているレーダーだけでは十分な対処ができなくなると見込まれますことから、これら航空機等の趨勢に対応し得る航空警戒管制網を継続的に維持するために、探知追尾能力、それから電子戦能力、抗堪性にすぐれるとともに、弾道ミサイルにも対処可能な、探知距離が長い警戒管制レーダーを開発しているところでございます。  現在、平成十五年度、九月に完成した試作機を用いまして、千葉県の飯岡町で試験を実施しているところであります。試験の終了は平成十七年度末を予定してございます。 以上です。

【長島委員】

 こういうレーダーはバッジシステムをある意味で進化させるということなので、航空機の侵入に備えたところから始まっているという今の御説明はよく理解できるんですが、ミサイルと航空機ではもう全然違いますね。ペトリオットがイスラエルを防衛するのに、最初に湾岸戦争のとき全然役に立たなかったということが記憶に新しいわけですけれども、航空機用につくられたレーダーがミサイルを捕捉できないというのは、これはもうこの委員会の委員だったらみんなわかっていることですよ。それを、その延長線上で、さらに性能をよくして、ミサイルにも対応できるようにしようと思っているんですか。もう一回確認させてください。

【安江政府参考人】

 今回開発しておりますレーダーは、二つの能力を同時にあわせ持つものでございます。(長島委員「ミサイルと航空機ということですか」と呼ぶ)はい、そうでございます。  電波の周波数が二つのバンドを使いまして、遠くにある小さいものも見られるもの、それから航空機のように大きなものも見られるもの、そういう能力をあわせ持つ、二つの能力をあわせ持つレーダーでございます。

【長島委員】

 大変野心的で結構な話なんですけれども、これは、研究開発から配備への具体的なプログラムはどうなっているんでしょうか。つまり、一つはコストの面、それから、どれぐらいの期間がかかるのか、予算の問題もありますからね。  つまり、何が言いたいかというと、日本独自のBMDをやるだけで八千億から一兆円かかる、後年度負担が物すごいかかってくるわけですよ。それについては、ドラスチックな、トランスフォーメーションを含めた、装備体系から自衛隊の編成から全部見直すんだという、まさに防衛庁長官の決意をこの前予算委員会で伺ったんですけれども、それプラスこのレーダーも開発するとなると、これは、どんなにコストがかかるか我々も想像がつかないんですけれども、その八千億から一兆円という日本独自のBMDシステムの中にこのレーダーはそもそも含まれているのか含まれていないのかも含めて、御説明ください。

【安江政府参考人】

 お答え申し上げます。  将来のBMDシステムの整備につきましては、財政当局を初めとする政府部内で調整を得た上で、最終的には各年度の予算を通じて確定されるべきものというふうに考えておりますが、防衛庁としては、将来警戒管制レーダー、今お話ししました開発中のものでございますが、その整備などを効果的、段階的に行っていきたいというふうに考えておりまして、この整備を含めてBMD全体経費を見積もりますと、現時点においては八千億から一兆円程度を要するものではないかと見込んでいるところでございます。(長島委員「レーダーも含めて」と呼ぶ)はい。  以上でございます。

【長島委員】

 この野心的な計画を日本の国会が納税者の立場でどうこれから判断するかというのは、大変興味深いというか、私もその一員として厳しく見ていきたいと思うんです。  防衛庁長官、もう時間がないので、政策論をちょっと伺いたいと思うんですが、こういう野心的な計画もあり得ると思いますが、相当な莫大なコストがかかってくるわけです。そもそも、ミサイル防衛というのは何なのかということをちょっと考えたいと思うんですけれども、例えば、ラムズフェルド国防長官はかねがね、ミサイル防衛というのはグローバルシステムなんだと。つまり、ミサイルの脅威に直面している地域あるいは国というのが、迎撃テクノロジーをある意味で向上させながら、そしてミサイル配備の誘因、例えばどこどこの国がミサイルをつくっていく、そういう誘因とかあるいはミサイルテクノロジーの拡散というものをある意味で排除していこう、そういうものを抑え込んでいこう、そういうところに今意味があると思うんです。  今回、そういう意味では、ミサイル防衛の分野というのは、ある意味で日本が国際的に貢献できる非常に重要な分野だ、こういうふうに思うんですが、この日本独自のBMDという考え方が、野心的でもあり、日本の主体性という意味でも、ある意味では理解できるんですけれども、何か主体性という言葉にこだわり過ぎて、ちょっと自閉的になってしまっているんじゃないかということを私は懸念するんです。  というのは、これもこの前予算委員会で申し上げましたけれども、日米共同開発をしていこう、BMDについては日米でいろいろ技術を持ち寄って、研究開発、配備まで持っていこう、こういうことで五年前にスタートしました。百五十億もつぎ込んでまいりました、これまでに。今のBMDの話を聞くと、自分たちで自己完結的にやろう、こういう意欲はわかるんですが、そのアメリカとの共同開発、共同生産をしていこうというBMD、日米共同運用のBMDとどうつながってくるかということをもう一回明確にお答えいただかないと、これは何か日本だけ、自分たちだけよければいいんだ、こういう話になりかねないと思うので、ぜひ。

【石破国務大臣】

 先ほど来、FPS―XXのお話をいたしております。私は、実はこの話を聞いたときに、委員と全く同じことを思ったんですよ。これは早期警戒衛星がなきゃできないという話じゃなかったか、それがなくてもできるなんというのは本当なのかという話は、随分と庁内でもいたしました。  今の、新しいレーダーも含めまして、それは、我が国だけでできればこれが一番いいわけです。アメリカを信用しないと言っているわけではなくて、アメリカから入ってくる情報を付加すればなお正確であるということで、アメリカを信用しないと言っているわけではありませんが、我が国独自でできるということは非常に意味のあることだと思っています。この委員会を通じてまた御審議をいただき、本当に国民に向けて役に立つものにしたいと思っておりますし、今御指摘の百五十億円、アメリカとの共同研究に使っておりますこのお金、これはむだにならないようにということは、私の方から再三アメリカに対して申し上げておることでございます。  これは、先般も予算委員会で委員にお答えをしたことと重なりますが、要するに、スパイラルで開発をするわけですから、今回導入をお願いいたしておりますシステムにこの共同研究の成果が生かされるものではございません。しかし、これが将来、本当にさらに研究が進んでまいりまして、開発段階になる、生産段階になるというときに、次の世代のさらに性能が向上したものに使われるということがなければ、これは何のためにお金を使ったんだかわからないということになります。そこについて、日米とも共同認識を持っていかなければいけないと考えておるところでございます。  このミサイル防衛システムというのは、何も近年になって登場したものではなくて、もう何十年も前から、そのためにABM条約ってあったわけですから。ところが、当時のミサイル防衛というのは、とにかく飛んでくるミサイルの近くにこっちもミサイルを撃って、それで核爆発の力によって葬り去ろうなんぞという、かなりとんでもない代物であったわけで、今度の直接ぶち当てる形のミサイル防衛システムというのは、やはり考え方が変わったのだろうとは思っております。だからこそ、専守防衛にかなうものだというふうに議論をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、日米共同研究というのを今行っておるところでございまして、ここに使われました納税者のお金というものはむだになることがないように、そこは武器輸出三原則ともよく、きちんと整合がとれるように私どもとしては考えてまいりたいと思っております。

【長島委員】

 ぜひ、国民の貴重な税金を使っておるわけですから、二重投資の批判を浴びないように、これからリーダーシップを発揮していただきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。

【小此木委員長】

 次に、細野豪志君。