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【斉藤委員長】長島昭久君。 【長島委員】民主党の長島昭久です。どうぞよろしくお願いいたします。 きょうは三月三日、ひな祭りの日であります。私も二人の娘がいる父親なんですけれども、このひな祭りの晩を、サマワに派遣された自衛官の皆さんは家族と一緒に過ごすことができない。私も、立場は違うんですけれども、今江藤委員からいろいろ御質問がありました。私どもは、この政府の決定に対して必ずしも賛成している立場ではありませんし、このイラク戦争というのは必ずしも必要だった戦争だとは思っておりませんけれども、しかし、派遣された自衛官の皆さんが立派に任務を全うして帰ってこられるということを本当に心から願っている一人であり、また、立場は違えど、今の江藤委員のお話を伺っていて、問題関心は相当程度重なるなということを強く感じております。 そういう意味で、少し私も、先ほど江藤委員と石破防衛庁長官との間でやりとりをされていた隊員のケアについて最初にお伺いしようと思っていたんですけれども、先ほどインターネットの動画で家族との交信もしていただけるというような、こんなお話がありましたので、この点は割愛をさせていただきたいと思います。 特に私は、番匠幸一郎一佐、実は私、ワシントンにおりましたときに大変お世話になった経緯もございますので、とりわけ無事を祈らざるを得ないわけなんですけれども、その番匠一佐がきのうの朝日新聞の夕刊でインタビューをされておりました。先ほどレトルト食品の話が出ておりましたけれども、とにかく仮宿営地はつくったばかりで、何日もふろに入っていない、食事もレトルトを続けている、不便を強いているが、できるだけ早く生活、勤務の基盤をつくりたい、こんなふうにおっしゃっておられますし、冒頭では、「時々、事件事故があるので、楽観は戒めないといけない。安全確保には一切の妥協なしに万全の態勢をとりたい」、こういうことをおっしゃっております。私も心配しているのはこの点であります。 きょうは、冒頭に三つ、この観点から質問をさせていただきたいと思いますが、まず長官、改めて、隊員の安全確保について長官の御決意をお聞かせいただきたいと思います。 【石破国務大臣】世の中には、多分、万全ということはないのだろうと思います、人間は神ではありませんので。しかしながら、考えられる限りのことを考え、なし得る限りのことをなすというのはできることなのだと私は思っています。 番匠幸一郎一佐は、委員の友人でもあり、私も長い友人であります。私が最も信頼している自衛官の一人であります。彼のみならず、多くの本当のプロの自衛官たちが、宿営地の建設に当たりましても、あるいは行動します際の警備につきましても、いろいろなことに、考えられるすべてのことを考え、今回の派遣になっていると私は自信は持っております。 一言で申し上げれば、派遣される隊員に与えられる権限、そして持っていく装備、そして訓練の練度、この三つの積、掛け算なのだろうと思っております。この三つにおいて、私は、少なくとも人道支援をメーンに行うという今回の活動について、可能な限りの安全に対する配慮はなしたと思っております。さらに、これが完璧というものを目指しまして努力をしてまいりたいと考えております。 【長島委員】この点については、以前も一度防衛庁長官にお話を伺った経緯がありますけれども、一つ心配なことは、任務の一つでありますけれども、自衛隊の部隊を後方支援するためにさまざまな物資がクウェートからずっとサマワへ輸送されることになると思うんですけれども、その際、自衛隊の持っている機材では到底賄い切れないということで、民間の、これは民間をチャーターしているのか、借り上げているのかはちょっとわかりませんけれども、民間に委託している、民間車両が輸送任務に当たっている、こういうことなんですが、二月二十一日土曜日の産経新聞に、陸上自衛隊が、この物資輸送の民間車両を警護することを検討している、こういう記事があります。 これは、一月に、ヨルダンからバグダッドに機材を運搬している車両が武装集団に襲われて、そしてヨルダン人の運転手さんが殺された、こういう事件がありましたので、CPAの方は、輸送を依頼した国が警護の責任を持つように、こういうように求めているやにこの記事によると書いてあるわけなんですが、今回、こういった形の警護任務というのは、特措法にも基本計画にも書かれておりません。 防衛庁内で、法改正まで含めて検討する必要があるんじゃないかという、そんな議論があったようにこの記事には書いてあるんですけれども、長官、これは今回の警護の任務の、警護というかこの民間輸送の警護をさせるということについての法的根拠、これは任務の拡大につながっていくのかどうか、お答えいただきたいと思います。 【石破国務大臣】これは、こういう整理をいたしております。 委員御指摘のように、民間のトラックが運ぶという行為はこれは何だというところから詰めていかなければいけない話だと思います。これは私は、契約によりまして民間業者の役務を活用する、そういう評価なのだと思っております。契約によって民間業者の役務を活用するということでありまして、そこで運んでおりますものは、あくまで、私どもが行います人道復興支援活動等を実施するために部隊がその用に供する物資を輸送する、そういうものを輸送する役務を、契約により民間業者の役務を活用していく、こういうことでございます。まず、これが前段でございます。 このような輸送に際しまして、自衛隊が物資が適切に送り届けられますように、例えばいろいろな支障がある場合もございます、通関に時間がかかるとか、あるいは道に迷うとか、そういうようなことがないとも言えません。物資が適切に送り届けられるということは我々の活動にとって極めて重要なものでございますので、民間業者の役務の監督、国境通過に際しての調整、現地の治安状況を踏まえた所要の警戒監視を行いますことは、当該輸送が円滑かつ安全に実施されますために必要なものだというふうに考えております。これは、部隊の維持管理の一環でもございます。 民間の輸送役務を活用いたしました輸送に伴いまして陸上自衛隊の部隊が警戒監視を行いますことは、専ら民間の輸送車両あるいは輸送役務に従事する民間人を守るということを目的としたものではございません。陸上自衛隊みずからにとって必要な輸送を安全、かつ確実に行うための措置でございますので、民間車両を警護するというような行為なのかといえば、それはそれには当たらない。 つまり、この産経新聞の記事も、警護というところがかぎ括弧つきのような表現になっておりますが、法に規定のない警護という任務を行うというものではございません。 したがいまして、先生御指摘のように、特措法の改正を必要とするかといえば、私は、このような行為を行います場合に特措法の改正は必要としないと考えております。これが現在における整理でございます。 【長島委員】必要性は私は認めているんです。法的な、今御説明いろいろありましたけれども、大変わかりにくい説明だったんですが、内局の人が一生懸命考えたんだろうと思います。 しかし、必要性は認めているんですが、この警護というか、あるいは警備、こういう任務が特措法に書かれていないのには理由があるんですね。 つまり、自衛隊の警備中隊といいますか、私、この前議論させていただきました、百五十人から百八十人ぐらい、恐らく六百人の部隊であれば警備に当たる人員が割かれることになると思いますが、この人たちの本来的な任務というのは自隊警護でしょう。つまり、自分の隊が活動することを外からの危害から守る、こういうことですね。つまり、宿営地の中で警備に当たるとか、その宿営地を出て学校の改修あるいは道路の改修や給水や医療、こういったことに赴く部隊を守るということで、わざわざ警護という任務は省いているわけですね、特措法の中では。 ですが、今回のことというのは、当初予測されていたかどうかは別にして、それプラス人員を割かなきゃならない話ですよね。物資の輸送というのは極めてクリティカルだという御説明、よくわかります。そうなると、道は二つに一つなんです。それはどこかの警備会社でも雇って完全にやってもらうか、それとも、自衛隊が本当にこの物資輸送は大切だということで守る必要があるんだったら、この輸送を警護、警備する人員を確保しなきゃいけない。しかし、六百人という上限が決められていますから、確保し切れなかった場合には、私は、法改正かあるいは基本計画のやり直しというものを提起するのが筋だと思いますが、いかがでしょうか。 【石破国務大臣】これは、庁内でも相当に議論をしたことでございます。別に内局が無理して考えついたというものではなくて、私は、冒頭に申し上げましたように、そもそもこの輸送の性質とは何なのだというところからきちんと議論をしないと妙なことになるということで、随分と部内で議論を私もいたしたことであります。 一つ申し上げておきたいのは、これは民間の役務を使うということもございますが、当然、自分たちで輸送するということもございます。ですから、これは両系統あり得るということでございます。自分たちで行う場合には、当然、また自分たちで警戒監視というものを行うわけですね。 あわせまして、これは前も委員と議論させていただいたことですが、基本的にそういうような警備の部隊というものを持っていくかといえば、当然持っていきます。なぜならば、自分たちの部隊は自分たちで守るということが当たり前のことでございますから。 委員御指摘のように、一つは、法的な問題点があるかといえば、法的な問題点はないというふうに整理をいたしております。もう一つは、マンパワーとしてどうなのだということでございますが、これは、実際に自分たちで行います場合には、自分たちのトラックを使います場合には、当然自分たちのそういった部隊を出しますので、仮に、民間の役務調達を行って警戒監視を行います場合には、実際のサマワにおける宿営地、あるいは医療の指導、あるいは給水、浄水等々の警備というものが手薄にならないように、そういう配置をいたしております。 したがいまして、マンパワーにおきまして、本来の自分たちの部隊を守るということに支障が生ずるような、そういうような編成はとっておりません。 【長島委員】これはやっぱりマンパワーの問題で、今後いろいろな可能性が生じてくると思いますので、引き続き議論していきたいというふうに思います。 基本的に、先ほど防衛庁の方から御説明ありましたように、今まではオランダ軍のキャンプの中でやっていた。そういう意味では、ある意味で守られていた立場ですけれども、今度は宿営地に出て、自前で自分たちの部隊を守っていかなきゃならない。この点の部分が手薄にならないようによくよく注意をしていただきたいと申し上げておきたいと思います。これはやっぱり、一貫しているんですけれども、派遣された隊員に余計な負荷がかからないようにしたいというふうに私は思っているんですね。 もう一つ、それに関連して心配なことは、誤想防衛であります。つまり、ゲリラかテロかと思って反撃をしたら、身を守るために正当防衛だと思って反撃をしたら、誤って民間人を撃ってしまったと。こんなことは起こってほしくないし、起こらないように気をつけていただきたいとは思いますが、これは民間人を巻き込む事例というのは、昨年の五月一日の戦闘終結宣言以降かなりおびただしい数に及んでいると思います。外務省、民間人が巻き込まれたケースというのはどのくらいあるか、把握されておりますか。 【川口国務大臣】この点についての御質問は今までも何回かございましたけれども、多国籍軍によって民間にどれぐらいの死傷者が出たかということについて、これは、公式に取りまとめられた情報というのは存在をいたしておりません。こういう状況でございます。 そもそも、統計があるということは、非常に国のレベルとして進んでいる、いろいろなことが情報収集可能だという状況にあるということでございまして、今のイラクのような状況でこれが難しいということについては、御理解をいただきたいと思いますけれども。 それで、それでは公的な統計ではないにしても、ほかに何があるかということでいいますと、イラクにおける民間人の死傷者について、個別の事例についての報道、あるいは市民団体の目撃、報道等で、それを取りまとめた公表例というのがございます。 一つ、イラク・ボディー・カウントというサイトがインターネット上にありまして、これによりますと、これは三月一日付の情報ですけれども、最小で八千三百五、最大で一万百四十九人ということになっております。 この数字ですけれども、これはまさに民間の団体のサイトということでして、英米軍の誤射とか誤爆とか、そういったことによって生じた死傷者だけではなくて、テロリスト等の攻撃によって生じた死傷者数、これも含んでいるということでございます。 【長島委員】私も外務省に問い合わせをしたら、公式的な数字がないという答えが返ってきて、しかし、こういう危険な地域に私たちの青年たちを派遣するわけですから、民間の犠牲者が伴うような事故については、やはり最大限の努力をして情報収集して、その都度、どういうケースであったのかということは十分検証する責任が私は政府にあると思いますが、ぜひやっていただきたいというふうに思います。 私がちょっと調べただけでも、デンマーク軍が不審者を射殺した、昨年の六月二十七日。あるいは、十二月にはオランダ軍が発砲をいたしました。そして、つい二日前ですけれども、ポーランド軍が、イランからの巡礼者が乗ったバスに、制止を振り切ったという理由で発砲して十人が負傷した、こういうことになっているわけです。 先ほど誤想防衛という話をいたしましたが、このようにイラクの状況というのは、民間の人をいつ巻き込んでもおかしくないような大変不安定な状況であるわけですけれども、石破長官御存じのとおり、日本には軍法というのがありません。軍法会議というのがありません。したがって、軍法がある国は、命令する隊長、そしてその命令で武器を使用する隊員、これが正当な命令に基づいた正当な行為であれば、これは違法性が阻却される、こういうシステムになっておりますけれども、日本の場合は一般法で裁かれる、国内一般法で裁かれるわけですから、こういう軍法のある国とは随分違うわけですね。 例えば、非常にわかりやすい例を言いますと、一昨年、韓国の大統領選挙の直前ですけれども、在韓米軍が二人の女子韓国中学生をひき殺してしまった事件があった。これはもう韓国全土で物すごい反米運動になった。このときは結局、軍法会議で無罪になったんです。 このように、やはり向こうに派遣された自衛官が自分の身を守る、自己の管理下にある人たちを守っていく、こういう際には、一々これが誤想防衛なのか何なのかと迷ってしまうような、そういう状況は大変問題だ、私はこういうふうに思います。今の日本の一般法でいくと、私が調べたところによると、恐らくほとんどの場合が業務上過失致死とか傷害に問われてしまう。そして、裁判の期間中はそのまま召還されて、長期にわたって勾留される、こういうことになるわけです。 こういう状況が目に見えている中で、命令を下す隊長、そして命令を聞く隊員、この心理的負荷というのは大変なものだと思うんですけれども、軍法のない我が国において、長官はこういう活動に対する制約というものを払拭するどんな手だてを考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。 【石破国務大臣】ここで誤想防衛論をいろいろ議論するつもりは私は全くございませんが、先生おっしゃるようなそういうケースが、それが諸外国の例においてなかったとは申しません。我が国もそういうような場合に遭遇しないという保証はありません。 しかし、これは派遣される隊員とも私議論をしたことでございますけれども、頭の中でわかっておっても仕方がないのだと。ROEだって頭の中でわかっていても仕方がない、本当に体で覚えて、こういう場合には撃つ、こういう場合には撃たないということを、本当に体で覚えるまで現場の隊員にはたたき込んであるということでございます。 では、それでは絶対大丈夫かといえば、それはそうとも言えないでしょう。しかし、ROEに従って活動しました限りは、私は、隊員の責任は問うてはならないというふうに思っております。 今度は国外犯規定の問題になってまいりまして、それでは罰せられない場合が多いではないかということになるわけですね、国外犯規定のないものは。そういう場合には自衛隊の中でどうなるかというと、これは懲戒の対象になるということでございます。 それでは、現地の国民、この場合でいえばイラク国民との感情はどうなのかという問題、これはよく考えておかねばならないことだと思いますが、国外犯の規定がございます以上、日本は法治国家でございますので、それに従って対処するということになります。 基本的には、そういうことが起こらないように、法律も、ROEも、そしてまた体におけるリアクションというものもきちんとたたき込んでおくということ。万が一そのようなことが生じました場合には、当然、国外犯規定の適用があるものはそうでしょうし、ないものはそうならない、懲戒というものは国内においてちゃんと行う。 現地の方々との感情的な、そういうような対立が起きないようにという配慮は、委員の御指摘を踏まえながら、私ども、重大な課題としてよく認識をしておきたい。そういうことがないようにしたいと思っております。 【長島委員】この問題は、やはり自衛隊の出自というか、出発から議論があった問題だと思いますけれども、結局、国内の裁判で前提となっている検察による証拠調べ、これができないわけですね、事実上イラクでは。だって、奥大使の殺害事件だって、いまだにどんな状況だったかということは我々わかっていないわけですね。 そういう状況の中で、これは誤想防衛なのかどうなのかということは、なかなかこれは成り立たない話だと思いますので、この点はやはりよくよく研究をしていただきたい、こういうふうに思います。 時間がないので次に行きたいと思いますが、これは法的な問題です。多分もう最後になってしまうかもしれません。 先ほど、近藤委員の方から冒頭にお話がありました憲法との関係、私はこの問題まで行くのかなと思って聞いておったんですが、ここまで行きませんでしたので、質問させていただきたいと思いますが、武力行使と一体化の問題であります。 我が国は、自衛隊の活動について、これまで、PKOであろうと周辺事態であろうと、我が国有事で個別的自衛権を行使する場合以外は、ある一定の制約を常に課してきましたね。 二つメルクマールがあると思います。それは、非戦闘地域であること、それからもう一つは、武力行使をしている主体と自衛隊の活動が一体化しないこと、この二つの原則があると思いますけれども、今回のイラクの自衛隊の活動には、人道復興支援活動とともに、安全確保支援活動というのがあります。 この活動の実態というのは、なかなか国民によく見えてこないんですが、石破長官は、この安全確保支援活動の対象として、昨年の六月二十七日の本委員会での答弁の中で、フセインの残党によるゲリラ活動やテロ活動に対する米軍による掃討作戦というものも含まれるんだ、こういうことをおっしゃっていますね。 ちょっと読みましょう。 残党に対して実施している掃討作戦が、イラクの国民の生命、身体の安全、ひいてはイラクの社会全体の安全を確保し、あるいはイラクの国民の生活を安定させることによって社会秩序の回復に資する活動と認められるのであれば、これは、国連決議一四八三に言うイラクにおける安定及び安定の状態に貢献するということになる。 から、これは「安全確保支援活動の対象となり得る」、こういう御答弁をされています。 ということは、理論的に言うと、例えば、スンニ・トライアングルで、フセインの残党だかわかりませんけれども、イラクのいわゆるゲリラ組織なるものに対して掃討作戦を行っている米軍に対して、日本の自衛隊が後方支援活動を行う可能性があるということでしょうか。 【石破国務大臣】それは、先ほど近藤委員にもお答えをいたしましたが、その場の状況がどうであるのか、具体的なケースを設定してみませんと、一概には言えないことだと思っています。 では、今スンニ・トライアングルでどうなのだと言われますと、いずれにいたしましても、私ども、そこで活動するということは現在想定をいたしておりません。私どもは、ここが戦闘地域、非戦闘地域という線引きをするわけではございませんで、すべからく自衛隊の活動は非戦闘地域で行うということでございます。 それが明らかに、例えば今委員がゲリラというふうにおっしゃいましたが、これがどう見たってゲリラであって、組織的、計画的なものでもない、あるいは国または国に準ずる者でもないとか、あるいは単なる物取りのたぐいであるとか、そういうような判断がされたとするならば、それはストレートに、憲法九条第一項がやってはならないとしておるところの武力の行使とは評価されない場合もございますでしょう、理屈の上からいえば。 しかしながら、我々として、現在そのような地域において活動することは予定もしていない。私どもが今サマワを中心といたしますイラク南東部で行います活動は、非戦闘地域という要件を満たした地域で行うことでございまして、私が今までお答えをしましたのは、理論的にそのようなことが全く排除されるかといえば、憲法第九条第一項にすべての場合にストレートに直結するとは言えない場合もあり得ると申し上げている、あくまで理論上のお話でございます。 【長島委員】特措法の枠組みでいくと、戦闘地域で自衛隊が活動することはあり得ない、そういう前提に立っているんだ、それはもう再三再四長官が説明をされていると思うんです。 これは法的問題なので法制局にちょっとお伺いしたいと思うんですが、今長官がおっしゃった、つまり、国家及び国家に準ずるようなそういう組織の計画的、継続的な活動に対する攻撃というのは、これは憲法で禁じている武力の行使には当たらない、実力の行使なんだ、こういう説明だと思うんですけれども、同じような説明を法制局長官もされています。 これは七月の二日の本委員会での答弁の中で、憲法で問題としておりますのは、国際紛争を解決するための手段としての武力行使だ、野盗や盗賊団に対します実力の行使は、そのような意味での、憲法が問題とします武力の行使には当たらない、こういう言い方をしていますね。 それでは、米軍の作戦支援ということだけに絞って論じてみたいと思いますが、自衛隊の活動が仮に非戦闘地域で行われている限り、今の法制局の解釈によれば、米軍の掃討作戦というのは武力の行使に当たらない。つまり、国家や国家に準ずる者は対象としていませんから。今のイラクで国家や国家に準ずる組織体を見つけ出すのはかなり難しいと思います、国自体が分解しちゃっているわけですから。そういう場合には、武力の行使と一体化になりようがないんですね。戦闘活動に従事しているアメリカ軍が、日本の政府の憲法解釈で言うところの武力の行使に当たらないんですから、それを幾ら支援したって武力の行使の一体化はあり得ないんですね。 これ、今までPKOや周辺事態法で議論してきた話とちょっとずれてはいませんか、法制局。 【宮崎政府参考人】お答えいたします。 安全確保支援活動というふうに法律で書いてあります、その支援対象であります米英軍の安全確保活動、具体的に申しますれば、国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復するための活動というふうに法律に書いてございますが、それには、今御指摘のように米英軍等による武力の行使、すなわち国際的な武力紛争の一環として行われるところの戦闘行為に該当する場合もありますし、また、それに該当しない純然たる治安維持活動、例えば純然たる盗賊団の掃討というようなこともあり得ると考えております。 我が国の憲法上、このような米英軍等の活動に対しまして、それ自体は武力行使に当たりません医療、輸送等によって支援する場合に憲法上問題となりますのは、米英軍が今申し上げた前者に当たる行動をしている場合に限られるというふうに考えておりまして、後者に当たる行動につきましては、米英軍はさきに申し上げた意味での武力の行使を行っているわけではないので、これに対して我が国が医療、輸送等の支援をしたとしても、武力の行使との一体の問題というのは生じないとかねてから申し上げております。 ただ、イラク支援特措法は、すべての支援活動につきまして、いわゆる非戦闘地域においてのみ実施する旨、また、近傍において戦闘行為が発生した場合にはそれなりの措置をとる旨定めております。このことによりまして、米英軍等による武力行使が仮に行われたとしても、これと一体となるような支援を行うことがないことが確保されている、このように考えているわけでございます。 【長島委員】ですから、アメリカ軍が今相手にしているのは国家的な主体ではありませんから、今米英軍がやっている掃討作戦を支援することは、憲法上で言うところの、今までずっと議論してきた、ここ十年ぐらい議論してきた武力の行使の一体化というのに当たらなくなるんですね。これは歯どめの問題として非常に重要なポイントだと思います。 もう一つ、法的整合性として、解釈の整合性として私おかしいと思うのは、周辺事態法でも、武力の行使の一体化になってはならないということを一つの歯どめにしているんですね。我が国の安全に直結するような周辺事態法の解釈においても、自衛隊の活動というのは非戦闘地域で行うこと、プラス武力の行使と一体化しないことという歯どめがかかっているんです。 ところが、今回のイラクでの自衛隊の活動というのは、必ずしも我が国の治安、安全に直結する問題ではないにもかかわらず、歯どめになるようなこと、つまり非戦闘地域であるということは一つありますよ。ところが、武力の行使と一体化してはならないという、もう一つの歯どめがかかっていないんです。原理的にこれはかからないようになっているので、私は、これは、今後非常に論理的に詰めていかなきゃならない問題だと思います。 何が言いたいかというと、結論から言うと、今までの法解釈はもうもたなくなっていると私は思っているんです。つまり、どういうことかというと、これからは、新しい戦争と言われているぐらい、国と国とがぶつかり合う戦争というのはほとんど想定できない。ゲリラとかテロとか、非国家の脅威に対してどう対応するかということが問われてくるんですね。つまり、今まで我が国の憲法第九条の解釈、政府がずっとやってきた解釈というのは、国対国の戦争ということを大前提にした議論なんです。しかし、今回の場合は、それを超えた、その想定を超えたケースなんです。 ですから、防衛庁長官にもぜひやっていただきたいのは、そういう非国家主体というものを我々はこれから相手にしていかなきゃならない。そういう意味で、自衛隊の活動、海外における活動については、これはPKOにも絡んできますけれども、新しい法体系をつくり上げていくような努力をしないと、これはもう解釈としてもたない。 私は、そのことを一言申し上げて、質疑時間が終了しましたので、質疑を終了したいと思います。ありがとうございました。 【斉藤委員長】次に、中野譲君。 |
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