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2005年2月24日
【会議録】第162回通常国会 拉致問題特別委員会
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【赤城委員長】
次に、長島昭久君。
【長島委員】
民主党の長島昭久です。外務大臣、ぜひよろしくお願いをいたします。
先週末にワシントンでいわゆる2プラス2会合が開かれまして、世界とそして地域における日米間の共通の戦略目標というものが定められた、そしてグローバルな日米同盟関係をこれから発展させていこう、こういうイニシアチブが表明をされたということは、大変意義深いことだというふうに評価をさせていただいているところであります。
また、北朝鮮に対しても、六カ国協議に速やかにかつ無条件に復帰するように、それからすべての核計画、これは完全な廃棄に応じるよう強く要求する、極めて強い働きかけというか文言を使って共同ステートメントが発表されたということは、大変すばらしいことだというふうに思っています。
また、ミサイル防衛についても合意がされ、あるいは大量破壊兵器の拡散阻止を目的としたPSIの活動についても言及がなされたということは、これは対北朝鮮政策全般から見て非常に評価できることだというふうに思っています。
それから、地域における共通の戦略目標の中では、朝鮮半島の平和的な統一を支持する、それから核計画、弾道ミサイルに係る活動、不法活動そして拉致問題、こういったすべての懸案を平和的に解決する、こういう方向性が打ち出された。大変結構なことだというふうに思っています。
ただ、一点残念だったのは、この日米共同ステートメントの中で、仮に北朝鮮がこのまま六者協議に復帰しなかった場合、あるいは北朝鮮がさらなる核開発を続けていった場合、こういう場合に両国がどんな手段でこの北朝鮮に対して対抗していくのか。
つまりは、先ほど外務大臣の冒頭の御報告の中にも、核保有宣言は極めて遺憾だ、それから核の保有は国際的な不拡散の努力に対する深刻な挑戦だから絶対に容認できない、こういうお言葉はよくわかるんですけれども、もしそれを北朝鮮が拒み続けた場合にどのような対策を講ずる用意があるのかという、この辺のところを、ぜひ、外相会談をなさったお立場から、先ほど一点外務大臣がおっしゃった、安保理に付託するというお話を町村外務大臣の方から会議の場で提起をされたということを聞いて非常に心強く感じたんですけれども、そのほか、もし北朝鮮がこのまま時間稼ぎをしていった場合にどういう対抗手段を日米がとっていこうとされているのか。この辺のところ、詳しいお話が伺えれば大変ありがたいと思っています。
【町村国務大臣】
先般の会議で、日米間で、仮にこの六者協議再開に至らず、あるいは再開されたとしても何ら成果を生まない場合のいろいろなシミュレーションをやったかというと、それはそこまで議論が行っておりません。
それは、何といっても、まず六者協議再開ということで懸命の外交努力をしようではないかということが当面の最大の課題であるものですから、余りそこから、うまくいかなかった場合という話をしてしまうと、一体どこが重点だか焦点がぼけてしまうということもあろうかと思ったものですから、余りそこは率直に議論はしておりません。
ただ、私がなぜ安保理の話をしたかというと、要するに、ある意味ではこれも外交的、北朝鮮に対するプレッシャーといいましょうか、いつまでもそうやっていたらば、次どういうことが来るということがあるんだよということを指し示すこと、このこと自体に私は意味があると思ったので一つだけ例示を挙げたわけでございまして、そのほかにもいろいろな確かにオプションはあろうかと思いますが、それをまた全部今次々に言ってしまうことが我が方にとってそれが有利か不利かといえば、そこはまだいろいろ言わない方がきっといいんだろうなと思って、恐縮ですが、あえてこの場でも申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますので、どうぞ御理解を賜りたい。
【長島委員】
手のうちを明かさないという、そのお話はよく理解はできます。
ただ、一連のこれまでの、町村外相にかわられてから大分外務大臣のイニシアチブが発揮されておられるんじゃないかというふうに拝見はしておりますけれども、対話と圧力とこういうふうに言ってきております、このコンビネーションで向かうんだと。さっき対話が先か圧力が先かという話も少し出ておりましたけれども、これはあくまでもこのコンビネーションでいくんだということだと思うんですね。
日米間でそれはかなりの程度コンセンサスが形成されているということで、私たちは、昨年の横田めぐみさんの遺骨偽装ということが明らかになった段階で、この北朝鮮の暴挙に対しては、彼らを誠意ある対話の立場に、もう一回誠意ある姿勢に転換させるために、日本単独でもいいから制裁をすべきだ、こういうことを求めてきたわけですけれども、既に二カ月近くがたちました。
政府の慎重な姿勢もよくわかるわけでありますけれども、しかし去る二月十日、今池坊先生も御指摘いただきましたけれども、北朝鮮の外務省から極めて挑発的な外務省声明というものが発表されました。多少慎重な言い回しも含んでいるとはいえ、六者会談への参加を無期限に中断する、それからNPTからは断固として脱退したんだ、そして自衛のための核兵器をつくった、それから核兵器庫をどんどんふやしていくんだ、こういうような言及があったわけですね。
この二月十日の外務省声明を受けて、日本の外務省として、あるいは町村外務大臣として、日本政府がどのようにこの声明を受けて対応されようとしておられるのか。対話と圧力という観点から少しお話をいただければと思います。
【町村国務大臣】
まず、外交的な努力ということについて申し上げるならば、その声明を受けた二月十日以降、先ほどのワシントンでの会合もございました。また、中国の外務大臣あるいは韓国の外務大臣とも電話で意見の調整をやり、ともに努力をしようという話もいたしました。さらに、今週土曜日には、佐々江アジア大洋州局長が今度日本政府の六者会合の代表になるわけでございますが、韓国も代表者がかわり、またアメリカもかわるということなものですから、その三者が今度の土曜日にソウルで会合を持つという予定も今しているところでございます。
さらに、アメリカはアメリカで中国等々とも当然連絡をとっているようでございますし、いろいろなそういう外交努力が今展開をされ、二月十日の北朝鮮外務省声明というものがいかに意味がないものであるか、無条件に即刻に復帰せよ、こういうメッセージをさまざま伝えているということでございます。そして、そういうこと自体が、私は、対話を再開させるための国際的な世論の圧力というものは間違いなく彼らに大きく伝わっているということだろうと思います。
中国の共産党の中連部長が金正日国防委員長とも会ったという話がございます。これについても、これは考えようというか理解の仕方によりましては、早く自分たちが戻る条件をつくってくださいとお願いをしているようにも受け取れないこともない。大変強い言葉で書き連ねてありますけれども、その裏にはそういう実は願望も隠されているという解釈もあるわけでありまして、その辺を冷静に見きわめる、そして的確な、最も適切な対応をするようなこれからも外交努力をしていきたいと考えております。
【長島委員】
おっしゃる意味はよくわかります。
ただ、私どもからすると、これは我々野党からすると特に感じるのかもしれませんけれども、何となく物事の核心を避けているんじゃないか。非常にソフトタッチな印象がするんですね。
この外務省声明というのは、もちろん昨年の九月に、北朝鮮の外務次官が国連で、実は自分たちはもう核保有しているんだよというようなことは非公式にコメントはしておりますけれども、今回の核保有宣言というのは、まさに北朝鮮政府の公式宣言でありますから、これは軽視するわけにはいかないと思うんですね。
ところが、十日の北朝鮮声明に対する小泉総理の最初のコメントというのは、こういう感じでしたね。今までどおり各国と連携して働きかけていく、北朝鮮にとっても六者協議を活用した方が有利になる。非常に冷静なんですね。また、細田官房長官はこうおっしゃっています。北朝鮮はこのような意図表明をした後、本当の意図を伝達することもたびたびあると。
右往左往するのは外交では最悪な行動だというふうに思いますけれども、しかし私は物わかりがよ過ぎるのもいかがなものかというふうに思うんですね。それは、もしかすると私たちも含めてですけれども、日本政府が、あるいは日本が、北朝鮮の核の脅威というものに対して実は緊張感が足りないんじゃないだろうか、こういうふうに思っております。
そこで、外務大臣に、北朝鮮の核開発について、その現状についてどういう認識を今持っておられるのか伺いたいというふうに思うんです。
二〇〇二年の十月に、北朝鮮が、アメリカのケリー国務次官補に対して、ウラン濃縮技術を開発している、こういうふうに言ったことから今次の北朝鮮核危機というのが始まっているわけですけれども、一九九四年の米朝の間の枠組み合意、そしてそこでつくられたKEDOの体制が、この第二次ともいうべき北朝鮮の核危機によってまさに崩壊をしました、事実上。
そして、それからもう既に二年半たった。この二年半の間、北朝鮮の核開発を規制するような国際的な枠組みは、これまで一つもつくられてこなかった。つまりは、言い過ぎかもしれませんけれども、北朝鮮の核開発は野放し状態が二年半続いてきたわけですね。その間に八千本ともいうべき使用済みの核燃料棒を抜き取って、そして再処理を始めた。これは専門家に言わせると、数発分の兵器級のプルトニウムを抽出することができるんだ、こう言っている。そして、クリントン政権の国防長官だったペリーさんは、もう既にデッドラインを超えてしまったんだ、こういう言い方をされている。つまり、もはや放置し得ないところまで北朝鮮の核開発は進んでいるんだということを言っています。
では、政府は、その辺のところをどのくらい切迫感を持って、北朝鮮の核開発について現状を認識しておられるのか、お伺いしたいと思います。
【町村国務大臣】
今長島委員お触れになられました、その道の権威ともいうべき、あるいは情報を持っておられる方々がいろいろな意見を言っておられること、私も承知をいたしております。
いろいろな情報を総合的に勘案してみますと、日本政府としても、北朝鮮が兵器化し得るプルトニウムというものを相当量保有している、そして核兵器を保有している可能性は当然あるだろう、こう思っております。ただ、核開発の正確な現状について何か確定的な結論を私どもは今持っているかというと、そこには至っていないということであります。
ただ、それならば大したことはないのかというと、そういうことではございません。やはり、核保有宣言というものは、先般の声明にも述べられておりますとおり、これはもう北東アジアの安全というものに対して大きな脅威であるのみならず、不拡散という国際的な命題からしても許すべからざるものである、こういうふうに認識をしているところであります。
したがって、時間という要素を考えたときに、時間が長引けば長引くほど、それはある意味では北朝鮮にとって有利な状況になる。それは、今委員がお触れになったように、みずからの核兵器能力を高める、あるいはそこからやみのルートとでもいうんでしょうか、拡散をしていくという懸念があるわけでございますので、そういう意味で、いたずらに時間を浪費してはいけない、こう思っております。
そういう意味からも、現状はとにかく六者会合というものをまず早く再開させるための最大限の外交努力をするということが必要であろうと思います。また、国民にも私どもは大変にこれは安全保障上の脅威だということをやはり機会あるごとに言っていかなければなりませんし、こういう場の御議論を通じて国民の多くの方々に知っていただくということも大切なことだと思います。
もう何年前になりましたでしょうか、かつて日本の上空を飛んで、盛岡の沖に九八年でしたかミサイルが飛んだ。あのときは皆さん大変な大騒ぎをされましたが、もうすっかりそれも忘れられてしまっているという状態というのは、これは政府の努力も足りないことは反省をいたしますけれども、やはりそういう危険があるんだということを我々は常に認識しながら行動しなければいけない、かように考えております。
【長島委員】
私、思い起こすのはキューバ危機なんですね。キューバ危機は、御存じのとおり13デイズという映画にもなりました。一九六二年の出来事で、私が生まれた年でありますので、そういう意味では非常に興味深い故事だと思うんです。
あのときは、十月の十四日にアメリカがミサイルを運んでいる船があることを確認しました。そして、そこでケネディ大統領は、いろいろなオプションがある中で、十月二十二日に海上封鎖ということを宣言した。これはデッドラインを超えたんだということを宣言して、そして最終的には二十八日にソ連のフルシチョフ首相がこのミサイルを撤去する、解体するということに合意して、十三日間の緊張が解けたということであったわけですね。
そのときの一番のポイントは、ケネディ大統領がしっかりと、このラインを超えたら自分たちは絶対に許さないんだということをはっきりと国の内外に鮮明にしたことだと思うんです。あいまいにしようと思えばできる材料というのはたくさんあったと思うんですね。あのときはトルコにアメリカの核が配備されていましたから、まあキューバに配備されてもトルコにもあるし相殺されていいかというような、そういう議論も成り立ったんですけれども、しかしケネディは明確にデッドラインを引いた。
さっき外務大臣がおっしゃったテポドンの話、あのテポドンのときに大騒ぎしたんですけれども、実は九三年の五月にノドンの実験が行われていたんですね。そのことは日本の政府は、当時余り国民に知らせなかった。ほとんど隠したと言っても過言ではないと思います。そこで北朝鮮の持っている弾道ミサイルの能力とかあるいは緊迫性というものが国民の皆さんに浸透することがなかったので、いきなり上空を飛ばれたものだから大騒ぎした。しかし、あのときは一生懸命北朝鮮の核を何とか静めようとしている最中だったので、逆に日本の外交が右の方に、あるいは強硬的な方向に振れてしまった、そういうこともあるわけなんですけれども。
私は、そういういろいろな今までのいきさつを考えたときに、このところで、日本のデッドラインというのはここなんだ、これを踏み越えたら私たちは承服できないんだというラインを明確にする必要があるんだと思うんですね。それはプルトニウムの量産を許さないとか、あるいはウランの技術開発に手を染めてはいけないとか、あるいは第三国に輸出してはいけないとか、いろいろなベンチマークがあると私は思うんですけれども、そういうことをあいまいにしたまま、幾ら国民に納得してもらおうとか、あるいは幾ら日本の意思を国際的に認知してもらおうとしても、なかなか伝わらないと思うんです。
ですから、最近は拉致については、大分国際的な認識が高まってきました、広まってきました、浸透してきました。それは、我々がもうこれは絶対許せないんだということを、国民の世論を背景にして、政府がしっかりこの間国際社会で言い切ってきたから私はそういう状況になってきたんだ、こういうふうに思います。
ですから、ここではっきりおっしゃられるかどうかわかりませんけれども、日本の外務省として、外務大臣として、日本は非核の国の、世界の代表国として、このラインは超えてはならないんだ、日本のデッドラインはこういうところにあるんだということをぜひお示しをいただきたい。その方が国民の皆さんにとってはわかりやすい。そのために日本の外交は努力しているんだということがよくわかるのだろうと思うので、ぜひはっきりと御答弁をいただきたいというふうに思います。
【町村国務大臣】
一つのわかりやすい話として申し上げるならば、これは日米という形をとりましたけれども、共同声明の中では、信頼の置ける国際的な検証のもと、ウラン濃縮計画を含むすべての核計画の完全な廃棄を行う旨コミットするべしということを言っているわけであります。
もとより保有しているかもしれない核兵器というもの、これについてはまことにゆゆしきことであるということで、これらを廃棄するということは当然のことということでありまして、デッドラインという表現がいいかどうかわかりませんけれども、そこのところはやはり私どもとしては、核のない朝鮮半島の実現ということからしまして、そのことは今後達成すべき最大のポイントであろう、こう思っているところであります。
【長島委員】
今おっしゃるように、そのように日米間で声明を発表していることはよくわかるんです。わかるんですが、それがある意味でいうと実体を伴っていないというか、文句が聞こえてくる。強く要求するという言葉は聞こえてくるけれども、しかしそれを踏み外した場合、踏み越えた場合に何のペナルティーもないじゃないかということで、デッドラインといいますか、今まで到達していなかったラインをどんどんどんどん踏み越えてくるということは、今までの北朝鮮の外交姿勢を見れば明らかだと私は思うんですね。
何が言いたいかというと、政府のそういうある意味で実質的な担保というものがはっきりしない中での北朝鮮に対する非難、あるいは北朝鮮の核の脅威に対する非難というものが、リアルなものではなくて、国民から見ると極めてバーチャルな感じがあるんですよね。つまり、私なんかも有権者と話をしていて、どうせ飛んできやしないよ、あるいは北朝鮮のどうせおどしだろうと。
今回の、二月十日の北朝鮮の声明に対する政府の要人の皆さんの反応一つ見ても、ああ、まあ、そんなばたばたすることないじゃないか。大変な声明だと私は思うんですけれども、そういう政府の姿勢というものが逆に国民の間に根拠のない安心感というものを醸成してしまっているような、私はそういう気がしてなりません。
ぜひ、政府の国民への働きかけの努力、あるいは北朝鮮の核に対する極めてリアリスティックな認識を喚起させていただきたいというふうに思います。
そこで、一つ私なりに、多少悲観的過ぎるかもしれませんけれども、問題提起をさせていただきたいと思います。もし、このまま北朝鮮の核の脅威というものがバーチャルなまま終わったときにどうなるかという、一つの私なりのシミュレーションを披露して、外務大臣の所見を伺いたいと思うんです。
今回、2プラス2で、日米間の非常に緊密な連携といいますか、共通の戦略目標を定めた連携が行われることになる、これは大変すばらしいことだ、こういうふうに申し上げましたけれども、アメリカの北朝鮮の核開発に対するデッドラインというのは、もしかすると我が国のデッドラインとは多少異なっているのかもしれないと思うんですね。
それは具体的に言うと、アメリカのどうしてもこれだけは容認しがたいというデッドラインというのは、一つは核の技術の第三国移転。これは今回、NSCのマイケル・グリーン・アジア上級部長が、日本、韓国、中国、中国では何と国家主席と面談をして大統領の親書を渡したと言われていますけれども、その中にリビアへの濃縮ウランの技術供与が入っていた、こういうふうに言われていますね。
これはアメリカは大変深刻な受けとめ方をして、そして韓国や中国という、ちょっとアメリカから見ると北朝鮮にこれまで融和的な姿勢をしていた二国に対してこの証拠を突きつけて、彼らのプレッシャーを促したということがありますね。それからもう一つは、テポドンのような、米本土に届くかもしれないないようなミサイル、あるいは核爆弾が小型化されてそのミサイルの弾頭となって搭載されるような、そういう技術に達したとき。この二つぐらいが、アメリカにとっては譲りがたい、容認しがたいデッドラインになるんだろうと私は思うんです。
もし、仮に日本のデッドラインがもう少し手前で、アメリカのデッドラインと違った場合。具体的に申し上げます。例えば兵器級のプルトニウムを北朝鮮が蓄積して、そしていきなり核実験をした。そのときにはもう、もしかしたらノドンに搭載をして、先ほど池坊委員がおっしゃったように、日本に向かって、その射程におさめている、百七十五基から二百基と言われている、そのノドンが日本列島全体を射程におさめることになるわけですね。
その脅威を背景にして、もしかしたら北朝鮮が日本に対してとんでもない圧力をかけてくるかもしれない。そのときに、日本が何かあったときに報復してもらいたいと思ってアメリカを振り返ったら、アメリカは、いや、それはそんなに我々にとっては、自分たちのところに飛んでくるわけでもないし、それはでは自分たちでやってくれよと仮に言ったときには、これはもう日米同盟関係の危機です。
まさに、日本の国民は今まで、恐らく何かあったときにはアメリカが助けてくれるだろうと思っていた。そして、核の脅威については、これほどまで差し迫ったものだという、そういう認識を持っていなかった。そこへいきなりそういう危機を突きつけられたときに、日米同盟関係に及ぼす深刻な影響というものを私は非常に憂えているんですね。
したがって、私は、日本として、このプルトニウムの量産など絶対許さないという、まずみずからの脅威としての認識、そしてそれが本当に差し迫っているんだということを今内外に明らかにしておく必要が非常にあるんじゃないだろうか。そういう意味で、今私が申し上げたような、まさに最悪のシナリオともいうべきものだと思うんですけれども、町村外務大臣の御所見をぜひ伺いたいというふうに思います。
【町村国務大臣】
核の計画の廃棄という面につきまして、日米間に今違いはない、私はこう思っております。それは、国際的な検証のもとで、プルトニウム型、ウラン濃縮型核兵器を含むすべての核計画の完全廃棄という一線で日米あるいは韓国もそろっております。そういう意味では、多少の表現の差はあるかもしれませんが、中国もロシアも同様であろう、こう思っております。
ただ、例えば原子力の平和的利用というジャンルに入ってくると、これはアメリカと例えば中国では大分違ってくるという面があろうかと思います。したがいまして、五カ国が常に全部同じポジションに立っているかというと、必ずしもそれはそうではないのかもしれません。ただ、核の問題についてはそろっている、こう思います。
そして、私は、今委員が例えば想定をされたような核のおどしがあった場合どうするのかということでありますが、どういう場合であれ、先般の外相共同声明で、日米安全保障体制が引き続き力強さ及び活力を有することを再確認し、同体制が地域の平和と安定に対する挑戦を阻止し、対処する能力を有することへの信頼を表明したということで、私は、日米安保体制というものがいろいろな事態にきっちり対処できるんだよということを今回再確認したということは、別に今委員の言われた事態を想定して書いたわけではございませんが、いろいろな事態にこの日米安保体制というものを有効に機能させるというお互いの意思があるし、そういう体制整備も今着々と進んでいるんだということを再確認したという意味で意義があったのではないか、私はかように考えているところでございます。
【長島委員】
アメリカとの関係は、今外務大臣がおっしゃったことは一つあると思いますが、日本はやはり、同時に中国や韓国とも協調していかなければならない、そういう立場にあって、強硬策一辺倒では、これは国際協調というのは成り立たないというのは私もよく理解をしているところですが。
特に韓国は、盧武鉉大統領が昨年訪米した際に、北が核を持ちたくなるような、そういう思いも理解できないことはないんだというような、そんな発言をして国際社会のひんしゅくを買ったことがありました。その辺について、外務大臣、具体的に、今申し上げた、デッドラインというかどうかは別にして、日本の深刻な核に対する認識、それからアメリカの認識そして韓国の認識を合わせていく、こういう努力をされているんだと思いますけれども、二十六日にもう一回、TCOGといいますか、日米韓三国の局長級でしたか、会議をされることになると思いますので、ぜひその辺のところは足並みを韓国がそろえていけるような、ある意味でリードを日本はぜひしていただきたい、こういうふうに思います。
私は、そういう中で、やはり北朝鮮の核開発は絶対許さない、そして日本列島を射程におさめているノドンは直ちに撤廃すべきだ、全廃すべきだということは、日本の外交手段として、外交当局として粘り強くこれからも訴えていただきたい、こう思います。
そして、最初の、私の冒頭の疑問にまた戻ってくるんですけれども、そういう日本の意思はわかった、そして日本はそういうことを国際社会に向かっても、あるいは北朝鮮に向かっても、あるいは国内の世論に向かっても働きかけを強く続けていくんだ。しかし、それはやはり、何か圧力、まさに対話と圧力という外交の基本指針に戻ってくるわけですけれども、つまり、逆に言うとあめとむちといいますか、こういう部分も十分にきかせながらやっていかないと、これまで二年半、ある意味では北朝鮮の核開発というのはまさに放置されてきてしまった、そのことを繰り返すことになりかねないと私は思うんです。
あめについてはかなりはっきりしていると思うんです。アメリカ側は、CVID、つまり北朝鮮が核開発を完全にやめれば体制の保証はしようと言っている。それから、恐らく日韓を中心としてでしょうけれども、本格的な経済支援もやると言っている。これは日朝平壌宣言にも詳細に書かれているとおりだと思うんです。しかし、それを北朝鮮が、言ってみれば選択しやすい状況をつくるといいますか、あるいは選択せざるを得ないような状況をつくっていくというときに、やはり私は経済制裁、つまり目に見える圧力のカードというものが外交交渉の中では非常に重要だというふうに思っているんですね。
日本単独の経済制裁については、先ほど自民党の委員の方も詳細に自民党のシミュレーションチームの報告書に基づいてお述べになりましたから、私の方からは重複を避けようとは思っておりますけれども、結論的に言えば、日本単独でも効果がないことはない。もちろん、これはアメリカ側の高官も言っていますけれども、経済制裁というのは国際協調がないと、どこか抜け穴があるときかないんだよというのは全くそのとおりかもしれませんけれども、しかしこれは効果がないわけじゃないんだ。
私は、経済制裁は、どうやってやるかということも重要だと思いますけれども、経済制裁は何を目的にやるか、どういうことを目的に経済制裁をやるかということの方がさらに重要なんだろうと思うんですね。
拉致問題で、私たちは経済制裁を直ちにしろという立場であることは揺るぎのない事実ではありますけれども、なかなかこれが国際社会で、そのために経済制裁を単独で発動する、だからみんなも協力してくれと言われても、なかなか国際社会の支持が得られにくいのは私も承知しております。また、特に中国や韓国の理解が得られにくいことも承知しております。それから、六者協議という枠組みが曲がりなりにもある中で、日本がその枠組みをぶち壊すわけにはいかないという政府のお立場も私は理解しているつもりだと思います。
それからもう一つは、これは極めて外交戦略上の理由ですけれども、仮に安保理に行ったときに、経済制裁となったときに、日本はもうやっちゃったから、そのときになって経済制裁のカードが使えない。これもまた間抜けな話だろう、私はこう思いますので、そういう意味では経済制裁のカードを温存しておきたいという政府の立場も理解した上で伺いたいと思っています。
ですから、制裁カードというのは、極めて有効なタイミングで、しっかりした目的に基づいて切らなきゃならない、こういうふうに思っています。それは何を根拠にやるのか、そして何を目的にやるのか、これを私は今日ここではっきりさせておきたいと思うんですね。
私は、根拠は、日朝平壌宣言の不履行、これで十分だと思っているんです。制裁の目的は、拉致、核、ミサイルの包括的な解決。この二つをパッケージにする必要があるんですけれども、どうもこの間、先ほど外務大臣も御答弁されておられましたけれども、日朝平壌宣言の使い方が今の日本政府は少し甘いのじゃないかな、こう思うんですね。
先ほど、まさに外交上の足がかりなんだと。つまり、別の委員会で小泉総理は、この日朝平壌宣言、特に今回二月十日の北朝鮮の外務省声明によって、特に第四項、「朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。」というこの第四項に明白に違反をしていると私は思うんですね。それは違反している部分もあるということは、総理初めお認めになっておられる。しかし、破棄すればいいというものじゃないんだ、ベンチマークとして一応とっておいて、その平壌宣言に立ち戻ってくるようにしむけるんだと。
こういうことは外交のあり方としては私は確かに理解できるんですが、もう少し平壌宣言、せっかく小泉総理が直談判でとってきた金正日総書記の署名入りの公式宣言ですから、今回の二月十日の北朝鮮の核保有公式宣言を受けて、六者のチャンネルというものは北朝鮮に残された国際社会とのかかわりを持てる、対話をできる唯一のチャンネルなんだということをはっきり認識させた上で、もしこれが失敗に終わったら安保理に付託されることになるんだということを明確にして、そしてもしちゃんと我々の準備したレールに乗ってきて、乗ってきたとすれば話し合いを受け入れたとして、そして核開発をやめれば先ほど言ったあめ、あめはしっかりと保証するということで、そういうことを北朝鮮が選択せざるを得ないような経済制裁のやり方というものは、外務大臣として考えておられないんでしょうか。お伺いしたいと思います。
【町村国務大臣】
今、委員の方からは、日朝平壌宣言を日本の方から破棄したらどうかということをおっしゃった……(長島委員「いや、違います」と呼ぶ)済みません。
【長島委員】
日朝平壌宣言を破棄しろという意見もあるが、しかし小泉総理を初め、あれは破棄してはいけないんだ、破棄しないであそこに戻ってくるように誘導するんだと。そういうお気持ちはよくわかるんです。先ほど来何度も外務大臣も、強い要求をしたい、あるいは遺憾だ、そこに戻ってくるようにしむけたいと。だけれども、どうやってしむけるんですかというのが国民の皆さんに見えてこないんだと私は思うんですね。私も理解できない。だからこそ、経済制裁というツールを使って、そういう方向に北朝鮮を押し出していくのが現実的ではないか。
そのことを現実的な政策手段として外務大臣はお考えになっているのか、これがまず一点。それから、もしお考えになる、そういうことを視野に入れられるとするならば、核の問題、ミサイルの問題も含めて、どういうふうに経済制裁を使っていこうとされているのか。具体的にお伺いしたいと思います。
【町村国務大臣】
失礼をいたしました。
これは私どもも、昨年の十二月、先方のまことに遺憾なる反応に対して、厳しい対応に出ますよと。それは、厳しいというのは経済制裁を含むということは、もう言わずもがなのことであります。
したがって、その経済制裁というものにどういう手段があり、これは議員立法でいろいろ手段を追加していただきましたが、それを含めて、関係省庁で、どういう形でそれを発動し得るかどうかということについて具体の検討を今それぞれやっているということは、先ほど細田官房長官も御答弁をしたとおりであります。
したがって、あとは、どういう状況になれば、どういうタイミングで、いろいろ手段は確かにあるわけですから、何を発動するかということの比較考量とでもいいましょうか、それは今私ども政府部内でさまざまな検討をやっているということでございます。こうなったらこうなりますということをこれをまた今言ってしまうと、それは相手に全部教えてしまうことになりますから、それは申し上げられないわけでありますけれども、現状ではそういう政府部内でのさまざまな検討を行っている。そして、それは抜かずの伝家の宝刀ではなくて、当然抜くこともあり得る伝家の宝刀である、そういう前提で私どもは準備をしているということだけを申し上げさせていただきます。
【長島委員】
日朝平壌宣言を破棄しろという意見もあるが、しかし小泉総理を初め、あれは破棄してはいけない 今、外務大臣が抜くこともあり得るというふうにおっしゃったんですけれども、相手が抜きそうだなと思うようなやはりぜひステートメントを出していただきたい、こういうふうに思います。今、相手に教えてしまうのはよくない、こういうお話がありましたけれども、先ほどのキューバ危機の事例にもあったように、相手に認識させるという点もあわせて重要であるということをぜひお考えいただきたいと思います。
自民党の皆さんが努力されてつくられたのは五段階だったので、私も、その五段階に応じて五つの点で、日本がもし経済制裁を発動するきっかけ、基準があるとしたら五つぐらいあるだろうなと思って考えてまいりましたので、ちょっと披露させていただきたいと思います。
一つはプルトニウムをこれ以上増産した場合、それからもう一つがウランの濃縮技術を開発した場合、それからもう一つはミサイル実験をまた行った場合、そしてもう一つは核実験を行った場合、そしてさらに最後は核関連物質の移転を行った場合、この五つぐらいが、やはり非核の大国日本としては、そして国連安全保障常任理事国入りを目指している日本としては、世界に対してアピールする非常に重要な要素じゃないだろうか、こう思っています。
もう時間が参りましたので終わりにしますけれども、やはり国際社会というのはセルフヘルプだと思うんですね。自助努力を怠った国は滅びていくことが歴史の常だと思うんです。もちろん同盟関係も重要です、日韓関係も重要です、ことしは六十年。そして、六者協議も重要、国際協調も重要ですけれども、しかしその前に、日本が日本の国益に照らして一体何を求めているのかということを明らかにするということが私は国際的な政策調整の大前提だというふうに思いますので、対話を促す圧力の重要性というものも、ぜひ政府の関係者の皆さん、外務大臣に御認識をいただいて、これからもしっかりと外交のかじ取りをしていただくことをお願いして、質疑を終了させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
【赤城委員長】
次に、渡辺周君。
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