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国会質疑

2005年3月11日

【会議録】第162回通常国会 文部科学委員会

【斉藤委員長】

長島君。

【長島委員】

民主党の長島昭久です。午前中に引き続きまして、法案の中身について質問させていただきたいというふうに思います。  
これで私も、文部科学委員会に所属させていただいてから三回目の質疑に立たせていただくんですけれども、私も、ようやく文部科学、特に文教行政の実態というのが、何となくですが、おぼろげながらでありますけれども、見えてきた気がいたします。特に、今という時期は日本の教育にとってまさに歴史的なターニングポイントになっているのではないだろうか、こういうふうに思っております。そういう中で、中山大臣のような立派な大臣に対して私が質問させていただく機会が与えられているということを大変光栄に存じております。  
言うまでもなく、半世紀にわたって続いてきた義務教育の国庫負担金制度というものが、地方分権の分権改革の中でどう位置づけられるべきか、こういう本質論が一つあります。それから、昨年の国際学力テストの結果を見てもわかるように、学力がどういうわけか低下してきてしまっている、こういう現実の中にあって、約三十年にわたって続いてきたいわゆるゆとり教育といったものが転機を迎えている。それと同時に、学力、体力、気力、子供たちのこの三つの力が同じように低下してきてしまっている。教育現場はこのままにして大丈夫なんだろうか、こういう教育の現場そのもののあり方というものが今問われている。そういう意味で、非常に重要な局面に私たちは今差しかかっているんじゃないだろうか、こういうふうに思っております。  
これに対して、私たちは、子供の学びの環境というものを再構築していかなければならない、こういう認識に立っております。つまりは、先ほど来お話がありますように、地域、学校、家庭、本当に一体となって子供の学びをどうしたらいいかということを真剣に考えていかなきゃならない。そこにおける国の責任、国の役割は一体何だろうかということを、きょうはまた皆さんと一緒に考えさせていただきたい、こういうふうに思っております。  
午前中の審議を通じてますます明らかになったのは、今回のこの法案をめぐる閣僚の皆様方のお立場の違いといいますか、閣内不一致じゃないんだとさっき中山大臣おっしゃいましたけれども、しかし、向いている方向がばらばらであれば、これは不一致と言わざるを得ないというふうに私は思うのでありますが、きょうは文科大臣と同時に今井総務副大臣にもお見えをいただきまして、本当にありがとうございます。本法案の核心部分の討議でございますので、しっかり御答弁をいただきたい、こういうふうに思います。  
午前中の質疑でも何度も触れられてまいりましたけれども、私も、昨年の十一月二十六日の政府・与党合意というものをもう一度おさらいさせていただきたいと思います。  
「義務教育制度については、その根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持する。その方針の下、費用負担についての地方案を活かす方策を検討し、また教育水準の維持向上を含む義務教育の在り方について幅広く検討する。こうした問題については、平成十七年秋までに中央教育審議会において結論を得る。」中教審の結論が出るまでの十七年度予算については暫定措置、ということであります。  
実によくできた文章だと思うんです。ああもとれる、こうもとれるという意味であります。文科省の立場は、前段の部分を強調されますね。先ほど来大臣も御答弁されておられましたけれども、義務教育制度の根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持する、この部分を強調されるわけです。一方、総務省の側は、費用負担についての地方案を生かす方策を検討しなきゃいけないんだと。真摯に受けとめているという先ほど小泉総理のお答えもありましたけれども。その上で、政府全体としては、中教審にいわば丸投げをする、そして、その間の暫定措置として、国庫負担金制度を維持しつつ、しかし負担金は減額する、こういう仕分けになっている。  
まさに玉虫色ではないだろうかと私はこれまでもずっと追及させていただいてまいりましたけれども、しかし、大臣、遅くともことしの秋までにはこの問題に決着をつけなきゃならないわけですね。  
ところが、新聞報道によりますと、その中教審のメンバーシップをめぐっていまだに混乱が続いていると。昨日ですか、ようやく義務教育特別部会のメンバーシップについては決まったそうでありますけれども、本体の方の委員がまだそろっていない。これはまさに、ただメンバーシップがそろわないという話ではなくて、このメンバーシップがどうなるかということが結論に直結しかねないような、そういうせめぎ合いが今行われているんだろう、こういうふうに思うんです。  
この部会と本体、これから中教審の答申を待って政府は決断されるということになるんだろうと思うんですけれども、部会でいろいろな議論がされる、それを中教審の本体の審議会がそれをどう受けとめて、そしてそれは、私の理解では、中央審議会の方、本体の方から答申が上がるようになっているんだと思うんですけれども、この部会と本体の方の関係がどうなっているか、御説明いただけますでしょうか。

【銭谷政府参考人】

 中教審の本体と部会の関係でございますけれども、中央教育審議会は、まず正委員が三十人でございます。その三十人が総会を組織いたしております。総会のもとに五つの分科会というのをつくることになっておりまして、これは例えば初等中等教育分科会といったように、あらかじめ決められた分科会がございます。それ以外に、総会直属の組織として部会をつくることができることになっておりまして、今回の義務教育特別部会はまさに総会直属の部会ということで設置をされたものでございます。このような形の部会は、かつて教育基本法を検討した際に、同じように総会直属の部会というものを組織いたしました。
基本的には、このたびの義務教育のあり方についての検討はこの部会で行うということになっておりまして、その部会の審議結果を逐次総会の方に報告しながら審議を進めていくということになろうかと思っております。

【長島委員】

 そうしますと、総会が部会のプロセスを見守りながらと言うんですけれども、まず部会で結論を得て、それは総会に上がって、その総会が文部科学省に答申を出す、こういう理解でよろしいんでしょうか。

【銭谷政府参考人】

 基本的には、今先生お話しいただきましたとおりで、部会で結論を出して、それを総会に上げていくという形になろうかと思います。

【長島委員】

 ここで終わらないんですよね、ストーリーは。さっき「等」、中央審議会の答申等というようなお話がありましたけれども。三月の四日に知事会が最終的に部会の方に委員を送り込む決断をしたときに、官房長官に申し入れをしていますね。
 最終的には、どんな中教審の答申が出たにしろ、国と地方の協議の場で結論を得るようにしてくれということを細田官房長官に迫って、そして、細田官房長官は文部科学大臣にそれを伝えると言ったというふうに新聞には載っているんですが、文部科学大臣の御理解はそれで一致しておりますでしょうか。

【中山国務大臣】

 新聞でそういった申し入れをしたということは聞いておりますが、官房長官から私の方にはまだそういう話はありません。

【長島委員】

 どうも、最後のこのプロセスが国民から見ると見えにくい。つまり、また結局うやむやになってしまうんじゃないだろうかということが非常に心配になるんですけれども、そこはぜひ、文部科学大臣としてしっかり中教審の答申を受けとめて、そして、当然のことながら地方と最終的に協議することになるんだろうと思いますけれども、そこは国民の皆さんの懸念がしっかり払拭できるように、私はこれから今回の暫定措置について追及、質問させていただきますけれども、言葉は悪いかもしれませんが、こんな中途半端な形で終わらないようにぜひお願いをしておきたいというふうに思っております。  
地方六団体の改革案というのはもう既に出ております。それによると、何度も申し上げておりますけれども、第一期改革については中学校の教職員の給与分、しかし第二期の改革までにはその全額を廃止するんだ、これが、ある意味で地方六団体にとっては揺るがない結論のようなのであります。  
先ほどから、義務教育制度における国の責任とは何ぞやという話が何度も出てまいりました。私なりに、文部科学省のあるいは中山文部大臣のお考えについてはもう何度かお聞きをいたしましたので、きょうは、せっかく今井総務副大臣がお見えですから、国の責任というのは、当然のことながら別に文部科学省の責任というわけではないと思いますけれども、国の機関として今回の暫定措置を、いわばその責任を共有するお立場として、国の責任を堅持する、維持をする、義務教育制度の根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持するという、この国の責任とは、総務副大臣、どういうふうにお考えか。

【今井副大臣】

 長島委員さんにお答えいたします。  お話しいただきましたように、教育はすべての社会の基本中の基本だということで大変な御関心を持っていただいて、重要な局面を迎えた、転換期である、中央集権から地方分権の大きな時代の流れでこの教育の分権化をどうしていくかということで、大変御熱心にお取り組みいただきまして、御質問をいただいたわけです。  
早速でございますが、義務教育における国の役割について総務省としてはどのように考えているんだ、こういう御質問かと思うわけでありますけれども、国は義務教育に関しまして、国民にひとしく、全国だれでもがどこでも一定の水準の教育環境を保障されなければなりませんし、それは大枠を法律によって担保されています。  
例えば、学級の編制あるいは教職員数を法的に担保するわけでありますが、当然のことながらそこには費用がかかるわけでございますので、その所要財源を確実に保障する、そしてその上で地方の取り組みを制度的に保障していく、これが必要かと考えておるわけであります。教育環境の整備が、御案内のように、今日まで先人の大変な努力がございまして一定の水準に達してきたわけでありますが、課題もこれまた多い、こういうことであります。  
そういう状況の中で、国それから地方の役割の分担、こういったものを見直ししなければならないという時代の大きな要請があろうかと思っています。特に、義務教につきましては自治事務である、国は教育制度の根幹を定める一方で、具体の運用につきましては地方にゆだねていくという考え方、地方における自由度を最大限拡大していく、こういうことが今の時代の要請ではないか、このように考えている次第であります。
〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕

【長島委員】

 今の総論について文部科学大臣、中山大臣、異論はございませんか、認識の違いというか。そもそも国の責任とは何ぞや、私が伺うところ、私としては、所要の財源を確実に保障しなきゃいけないというところまで踏み込んで御答弁いただいたので、私自身はそれほど違和感がないんですが、もし大臣、あれば。

【中山国務大臣】

 今の答弁、私もああそうだなと聞いておりましたが、最後の自治事務のところだけひっかかったんですけれども、自治事務のところですね、自治事務になっているから全部地方がやるんだということではない。  
自治事務というのは、平成十一年に地方分権一括法が成立したときに、小中学校の設置管理については、それまでの団体委任事務などの事務の概念とか名称を改めたものでございまして、これは戦後ずっと一貫して地方自治体の責務だったわけでございまして、平成十年の閣議決定でも、義務教育は生活保護と並んで真に国が義務的に負担すべき分野の代表例として位置づけられていたわけでございまして、財源保障の問題と自治事務であるかどうかというのは、直接関係がないと私たちは考えております。

【長島委員】

 また少しずつ閣内のほころびが見えてきたような気がするんです。  
今、少し大臣が示唆されたように、国の責任を果たす上で国庫負担金制度が不可欠なものであるかどうかというのが恐らく意見の分かれ目なのではないだろうか、こう思うんですが、もちろん文部科学省としては、これは不可欠だ、こういう主張を先ほど来されておられます。総務省は、いやそうじゃないんだと。これはさっきの自治事務のお話もありましたように、地方にもっと裁量をゆだねるべきなんだ、こういうお考えだと思います。  
それにしても、根本的な疑問として残るのは、なぜ今の国庫負担金制度ではだめなのか。この国庫負担金制度が、これはもうまさに文部科学委員会での審議ですのでぜひこの切り口で伺いたいんですけれども、教育の現場にどんな弊害をもたらしているのかということを、ぜひ委員の一人として副大臣からお伺いをしておきたいと思うんですね。その弊害というものは深刻であればあるほど、私たちも、そういうことならば国庫負担制度というものをやはり見直さざるを得ないのかな、こういう議論になると思いますので、ぜひ具体的に、現場の弊害という観点から御説明いただきたいと思います。

【今井副大臣】

 今までの国庫負担制度が義務教育の根幹を維持する上で大変重要な役割を果たしてきたということは、私どもも認識をしておりますし、役立っていないというような言い方、認識ではないわけであります。  
その上で、地方の方からは、現在の義務教育国庫負担制度につきまして、標準法では学級編制あるいは教職員の配置、これらに地方の裁量の幅をある程度認めてもらってはいるものの、国庫負担制度の運用がその幅を狭めている、こういう意見も地方側からあるわけです。  
例えば、地方の教育委員会の国に対する依存体質といいますか、これを助長している、こういうような指摘もありますし、何よりも国庫補助負担金の要望を県を通して国まで上げていかなきゃならない、あるいは精算をする、これは大変事務量があるわけです。手間暇がかかる、大変繁忙になる。  
私も実は教員にかかわる家族の一員で、よく聞くんですが、その事務というのはかなりあるんですね。しかも、学校の先生がそちらの方に時間をとられるというものが大変一つの弊害として指摘をされて、もしこれが一般財源であれば、いわゆる要望を出したり、あるいはそれを精算する事務というのがなくなってくるわけであります。  
こうしたものを解消すると同時に、地方の自由度の拡大を通じて、教育の充実あるいは活性化を図ることも可能だと思っておりますし、冒頭申し上げましたように、今日的な立場に立ってこれらを進める、あるいは検討させていくということが必要だと思っておるわけです。  
全国的な教育水準あるいは機会均等、これの維持など、その根幹を維持することは国の責務としてとても重要なことだ、このように考えております。そのために、義務教育にかかわる財源保障を適切に行うことが必要であるわけでございますが、その財源保障が国費によるべきか否かは、時代の流れの中で適切な選択をする必要があるのではないか、このように考えております。  
御案内の今回の三位一体の改革は、税財源の改革であります。教育費の削減の議論ではなくて、まさに財源保障のあり方の議論が今この三位一体で問われているわけでございますし、先ほど長島議員から指摘がありましたように、国際比較においても、各国の例を見る限り、教育水準と財源の種類、これは国費かあるいは地方費かにかかわりがない、関係がないというふうにも読み取れるわけであります。  
以上です。

【長島委員】

 副大臣の問題意識、私も実は共有しておりまして、きょうで三回目ですけれども、私も常にそういう現場の実態というものを踏まえて議論しなきゃならない、こういうふうに思っているんです。  
最後に触れられた財源保障のあり方について、それで、恐らくここからが議論の大きな分かれ目なんですが、文部科学省としては、一般財源化してしまうと将来に相当弊害が出てしまうということを懸念しているんですね。恐らく、この委員会の委員の多くがその懸念を共有しているんだろうと思いますが、文部科学省の試算によれば、四十の道府県で財源不足に陥る可能性があるんだ、しかも、それを地方交付税で、ある意味で財源調整をするから大丈夫だ、こういう説明をされても、しかしこの地方交付税自身がこれから大きく削減の対象になっていくから、将来のことについてはおぼつかないんだ、こういう議論がなされているわけですね。  
しかし、今回の暫定措置というのは、申し上げるまでもありませんが、その一般財源化を認めるということですね、大臣、間違いないですね。  
これについて、四千二百五十億円、九日の質疑の中で、近藤委員の質問に対する御答弁の中で、銭谷局長が答弁をされているんですが、こうおっしゃっているんですね。  
「税源移譲予定特例交付金というのは一般財源でございますので、文部科学省としては、各都道府県において義務教育水準の維持に必要な教職員の給与費が適正に確保されるように、各都道府県の予算措置状況について把握をしているところでございます。」中略、「今後とも必要な指導助言を行って、各都道府県における教職員の配置を含む教育条件の整備に支障がないように努めてまいりたいと思っております。」一般財源になっても大丈夫だという御答弁をされているんですが、これは、総務省が従来主張されていたことを認める御答弁なんでしょうか。  前回、実は私、同じような御質問をさせていただいたときは、先ほどもちょっと申し上げましたが、一般財源化されたときには、地方の財政力格差によって教育力にも格差が及んでしまうんだ、こういう御答弁だったんですが、私の質疑に対する答弁と、今私が読み上げた、同じ局長の答弁なんですが、一般財源で大丈夫なのか、そうでないのか、はっきりもう一度説明をしていただきたいと思います。

【銭谷政府参考人】

 私の答弁に食い違いがあるのではないかという趣旨の御質問だと理解をいたしますけれども、まずお断りをしておかなければいけないのは、ただいま御審議をお願いしております法案では、本来負担するべき国庫負担金額から、十七年度限りの措置として四千二百五十億円を減額するという内容の法案の御審議をお願い申し上げているわけでございます。  
全体でいいますと、義務教育費国庫負担金、おおむね、本来の負担額でいいますと約二兆五千億円余りになるわけでございますけれども、そのうちの四千二百五十億円について、ことしは税源移譲予定特例交付金ということで今暫定措置をお願い申し上げている、大体一六・七%ぐらいの額に四千二百五十億円は当たるかと思っております。  
したがいまして、改正自体も、附則の改正という形で行っておりますけれども、本則の改正は今回は行わないということでございます。  
全体の一六・七%の額につきまして、十七年度限りの特例措置として、税源移譲予定特例交付金として、いわば総務省の方において計上していただきまして、私ども、その額について、各都道府県において予算措置状況がどうかということを今調べているわけでございます。  
これは、現在限り把握している状況では、十七年度限りの暫定措置ということもございますし、四千二百五十億円という額が暫定だということもあって、各県、所要の措置を講じていただいているように私ども現在限りでは把握をいたしております。これは、各県、大変御努力いただいていると私どもは思っております。  
ただ、二兆五千億全体が一般財源化された場合には、それは、まず一つには、もし恒久的な措置として仮にそういうことになった場合、それから、額の比較が全然違いますものでございますから、それについては、先ほど先生の方からお話がございましたように、フラット税率で税源移譲した場合でも、やはり四十道府県で財源不足になるというのは私どもの調査でも出ておりますし、本当に恒久的な措置としてその後の交付税措置で補てんできるのか、それから、本当に各県が所要の教職員給与費を措置していただけるのか、この点について私どもは大変危惧をしているわけでございます。

【長島委員】

 同じ一般財源化されたとしても、その規模が違う、スケールが違うんだ、こういうお答えだったと思うんです。  
しかし、それには恐らく総務省の方も反論があるんだろうと思うんですね。十分な財源保障をするんだという意味においては、暫定だろうが、規模が大きかろうが小さかろうが、フラット税率として、そして交付税で補う、こういう仕組みですから、今の銭谷局長の御答弁では私は十分なのかなという気がするわけです。  
それでも恐らく、標準法とか人材確保法とか、あるいは指導助言、それから前回も申し上げましたが、地方交付税法の二十条の二にあるような勧告をして、それでも従わなかった場合には全額もしくは一部を減額できるというような、こういうかなりの強硬手段をとることができるわけですから、そういう点においては、しっかりと財源保障というのは私はできるのかなというふうには思っているんですけれども、それでも恐らく文部科学省としては、心配だ、将来の地方の財政については、今、国も地方も真っ赤っ赤であるから、これは難しいんだ、そう言われると、私もそうなのかなと。  
しかも、交付税改革は、この前谷垣財務大臣は、〇五年、〇六年度で七・八兆円の地方交付税を削減する、こう言っているし、それから麻生総務大臣も、とりあえず本年度は交付税による対応は万全だ、こうおっしゃっていますけれども、将来的には地方交付税の削減は避けられない、こういう見解もおっしゃっております。地方自治体の中には、先ほど地方の声とは何ぞや、こういうお話がありました、実は二千の議会が心配しているんだよという話もあったし、あるいは地方六団体と言われているものは一応国庫負担金は全廃という方向で結論を得ましたけれども、しかし、それでも心配している市区町村が多い。こういうことでありますので、そこはやはりもう一段、私たちが考えていかなきゃならないだろう、こういうふうに思っているんです。  
そこで、もう一度、政府・与党合意に戻って考えてみたいんです。  
先ほどは、皮肉を込めてうまくできていると申し上げたんですが、今度は真剣に読んでみると、なるほど、うまくできているなと実は私は思っておりまして、これはどういうことかというと、つまり、地方分権改革というものと国の責任というものをどうやって両立させるかという今後の方向性を実は的確にとらえた文章になっているんじゃないだろうか、こう思っているんです。  
私はこう読んでみました。義務教育制度の根幹を維持し、「国の責任を引き続き堅持する。」と言っているのは、国の責任と言っているのは、何も文部科学省の責任というわけではないですね。したがって、ここからはちょっと大臣とは違うかもしれませんが、この一行目から、文部科学省の補助金である国庫負担金制度にこだわる必要は実はないんじゃないかというふうに私は思っているんです。  
つまり、さっき総務副大臣がおっしゃったように、国がしっかり財源保障ができるということが担保されれば、私はこの一行目というのは、国の責任を引き続き堅持するという方向で、国庫負担制度とは切り離して考えることができるんじゃないか。  
それから二番目の、「費用負担についての地方案を活かす」、ここは私は、地方案の趣旨を生かすというふうに読み込みたいと思っているんですが、地方案の趣旨というのはどういうことかというと、裁量をもっと持たせてくれ、教職員の給与だけに限定した使い方しかできない、総額裁量制みたいなことをやっているけれども、しかしそれでもまだ使い勝手が悪過ぎるんだ、ほかのいろいろな教育現場をもっともっと発展的に改善していくためには、もっと使い勝手のいいような財源にしてほしいと。  
この二つを満たせば実はいいんじゃないだろうか、私はこういうふうに思っているんです。つまりは、教職員給与に使途を限定されない、ある意味で国の財源保障、そして地方が自由に使える、これはもう交付金しかないですね、制度としては。  
ですから、私たち民主党のアイデアは、教育目的の一括交付金という形でこの義務教育制度の根幹を支える、国が責任を持って財源保障していく、こういうことに結論を得たわけなんですね。これは、今政府・与党合意が言っている、先ほどちょっとばらばらじゃないかと私は申し上げたけれども、しかし、それをつなげる唯一の方法じゃないんだろうかというふうに私は思うんです。  
私が何でこんなことを申し上げるかというと、私は、今のままの二・五兆円だけ国が財源保障するやり方でいいとは思っていないんです。これはよく中山大臣もおっしゃっているように、全額国が持ったっていいと。イギリスなんかは、来年度から全額でやるんだ、こういう話。ですから、今、私が歯がゆいのは、今の文部科学省のストラテジーが、何か国庫負担制度を守りながらずるずるじりじり後退をしているように見えて仕方がないんですね、地方分権改革の荒波の中で。  
しかし、これは手前みそかもしれませんが、もし、民主党が発想しているように発想の転換をして、教育目的の一括交付金という形に衣がえをすれば、逆に反転攻勢で、これをもってもっと教育予算というものをふやしていくんだ、国の財源というものをもっとふやしていくんだという、守る話ではなく攻める話をぜひ中山大臣から伺いたいと思うんですが、民主党のアイデアに対する御所見と、そして、ぜひこれから攻めに転じていただきたいと思うんですが、その辺の御決意を伺いたいと思っております。

【中山国務大臣】

 民主党の教育一括交付金ということでは余り詳しく承知しておりませんので、コメントは差し控えたいと思いますけれども、一つは、使い勝手のいい予算という意味では、総額裁量制ということで本当に使い勝手がよくなっているという評価を地方からいただいているということがございます。  
もう一つは、もう守るばかりじゃなくて攻めに転ずるべきじゃないか。小泉総理がよく、農業も守りだけじゃなくて攻めに転ずべきだと、今その言葉が流行語になっていますが、私としては、きょうも午前中の議論で申し上げましたけれども、十兆円の義務教育費のうち三割しか負担していなくて余り大きな顔はできないというような思いもあるわけでございます。まして、諸外国がどんどんふやしていく方向だ。ですから、時々申し上げますけれども、全額を負担したっていいんじゃないか、国が持ってもいいんじゃないか、こういう思いもするぐらいでございますが、しかし、日本の予算制度というのが、今までのいろいろな長い経緯がありますから、今、三割ぐらい負担するということになっておるわけでございます。  
この三割をどうするかという話でございますが、私は、やはり教育の機会均等ということを考えますと、まさに今長島委員が御指摘のように、これから先、地方によって財政力の格差が大きくついてくる、こう思うわけでございまして、少なくとも三割ぐらいはしっかり文部省が持っておかないと、そういったことが、国の責任が果たせなくなるんじゃないか、今そういう思いでおるところでございます。

【長島委員】

 せっかくたきつけているんですが、まだちょっと勢いが足りないような気がする。それはなぜかというと、私、非常に危機感を持っているんです。  
日本の公教育に対する支出、GDP比で見ると本当に最低。ここに、教育指標の国際比較という文部科学省がつくった十六年度のデータがあるんですけれども、主要十三カ国、先進国十三カ国中最低なんですね。日本は、GDP比で、公教育支出三・五%。頑張っている、この前国際比較でトップをとったフィンランド五・五%、トップのデンマーク六・四%、二位のスウェーデン六・三%。では初等中等教育はどうかと見ると、日本は、これもほとんど最低レベルの二・七%。フィンランド三・五%、スウェーデン四・四%。本当にこんなことでいいんだろうか。  
それから、教職員の給与あるいは標準法でしっかり我々は教職員を確保しなきゃいけない、質のいい先生を確保しなきゃいけないと言っているんですが、児童生徒千人当たりの教職員の数、トップのイタリア九十四・三、それから日本はそのほぼ半分、四十九・三ですよ。スウェーデンは八十・〇。  
それから、学校教育費の自己負担、つまり家庭が負担させられている、させられているという言い方、義務教育は無償ですから、させられている、その負担率ですけれども、ノルウェー、フィンランド、一・三、二・〇。日本はどうか、二四・八、ブービーですよ。アメリカが三一・八で最下位ですけれども。それから、初等中等教育に絞って見ても、日本は八・三、ノルウェー〇・八、フィンランド〇・五、スウェーデン〇・一ですから、もう歴然と公教育に日本は金をかけていない。  
ですから、私は最初に申し上げました。日本の教育は本当に歴史的なターニングポイント、もちろん分権改革もしっかりやっていかなきゃならないわけですけれども、しかし、本当に子供の教育を国が真剣にやる、そのための財源保障をする、これは総務副大臣も同じ考えだと先ほどおっしゃっていただきましたけれども、やはりこの国の姿勢、心意気を教育現場にまさに見せていく、そういう努力というのは、これまでの予算がどうとかという発想から一段と飛躍していただいて取り組んでいただきたい、こういうふうに思っているんです。  
ただ、その際に、私が文部科学省の役割として重要だと思っているのは、やはり施策をした後どう事後評価をしていくか、今実態がどうなっているかということをしっかり見据えて政策を打っていかなきゃいけない、こういうふうに思っているんですね。  前回私が申し上げました、補助金で事前統制するようなやり方はもう古いですよと。ソフトパワーで、まさにどういうふうな状況に現場がなっているかということをしっかり把握していただきたい。検診もしない、検査もしないでいきなり手術というのでは、これはもう言葉は悪いですけれどもやぶ医者の治療みたいなものでありますので。  
そこなんですけれども、文部科学省は果たして、そういう事後評価をする際の物差しをしっかり持っておられるんだろうか。  
学力調査について、我が党の鈴木寛議員が参議院で質問をいたしました。そのときの議事録を見ると、文部科学省の調査では都道府県別の、自治体別の学力の比較という点に関しては最近のデータはないという状況にございますというふうに銭谷局長がお答えになっておられるんですね。非常に学力調査については、何か実態がおぼつかない。  
私は、別に学力だけを申し上げようと思っていません。今文部科学省が、教育の現場がどうなっているかということを、これは数値化するのは難しいかもしれませんけれども、先生はみんな元気に頑張っているんだろうか、あるいは不登校の児童はどうなっているんだろうか、いじめや校内暴力はどうなっているんだろうか、そして学力はどうなっているんだろうか、こういう実態調査をきめ細かくやっているんでしょうか。そういう物差しをしっかり持って現場と向き合っているんでしょうか。お答えいただきたいと思います。どうぞ、大臣。

○中山国務大臣  教育費の国際比較の数字でございますが、私もそのことについてはいろいろ勉強させていただきました。  
日本は低いんですよね。低いんですけれども、これは一つには、日本の小さな政府といいますか、いわゆるGDPに占める公費支出の割合が少ないというようなこともまずあると思いますし、あるいは学校制度といいますか、日本の場合には私学が多いとか、それにまた、日本の場合には子供たちの数が少ないとかいろいろな条件がございましてそのような数字が出ているのかな、こう思うわけでございます。しかし、それだけで納得するわけにいかないので、やはりほかの国がどうなっているのかというようなことも考えながら私は検討していくべきだ、こう思っています。  
また、義務教育に関する費用が少なくて済んでいるというのは、これはそういう意味では非常に義務教育が効率よく行われていることの一つの証左じゃないかな、こう思ったりもしているんですけれども、やはり日本としても、世界各国の教育にかける熱意といいますか、教育改革の推進等も見ながら、負けないように頑張っていかなければいかぬ、こう思っているところでございます。  
そうした学力調査ということにつきましても、私は大臣になりまして、やはり競い合うといいますか切磋琢磨する、そういった雰囲気というのも必要じゃないか。さらに、やはりいろいろなことを、教育をやっていきましても、それが実際どうなっているのか、うまくいっているのかどうかということについてはちゃんと評価すべきじゃないか。そして、その評価に基づいてさらにどういった点を改善するのか。  
そういう意味で、全国的な学力調査というのも実施すべきじゃないかということを提案しているわけでございまして、これらについてはいろいろ御批判等もあるんですけれども、だんだんとそういう方向になってきているなというふうなことを思うわけでございます。  
これは、学力だけではなくて、体力とか先ほど言われました気力とか、いろいろな面において、どこの地域が、どこの県が、どこの市町村が子供たちを健やかに育てているか、そういう意味では、私はよく言うんですけれども、次世代育成コンテストといいますか、子育てコンテストと言えばやわらかくなりますが、そういったことによりまして、学校間あるいは地域間、都道府県間の競い合う、そういったムードというものを少しは高めながら全体として日本の教育水準を上げていきたい、このように考えておるところでございます。

【長島委員】

 また次の機会にぜひ詳しく伺いたいと思います。  
今ちょっと大臣のお話の中で、これは一応食いついておかなきゃいけないなというポイントがあったものですから。
 義務教育が効率的に行われているというふうにおっしゃいましたけれども、私から見ると、学力調査の国際比較を見ると効率的にじり貧になっているというような、私はこんなイメージがあるんですけれども、今大臣が切磋琢磨するというお話をされました。私、ちょっとこれは気になるんですね。
というのは、朝日新聞の昨年の十二月十八日の大臣のインタビューの中にこういうくだりがあるんです。「今までの教育に欠けていたものがあるとすれば、競い合う心や、切磋琢磨する精神だ。」と。しかし、ゆとり教育というのは、競争が余りにも過熱しちゃったからそういう方向にかじを切ったというふうに私は理解をしておりまして、この点については、子供を競わせて本当に学力が上がるんだろうかという疑問は専門家から呈されているんですね。  
例えば、東京大学の苅谷剛彦教授、テストの目的。私も大賛成なんです、全国学力テストをやるというのは。しかし、そのテストの目的は、あくまでも、競争意識の涵養ではなく、学習指導要領や学校週五日制など、文部科学省が進めてきた施策の検証という意味に用いるべきじゃないだろうか、こういうふうに言っております。  
それから、百升計算で大変有名な陰山先生もこんなふうにおっしゃっているんですね。百升計算をやらせるんだけれども、自分は他の子供と比べて、競わせるような指導はしたことはない、大事なのは、一人一人がどれだけ時間を短縮していくかだ、そういう評価をすることでみんなが自信をつけていくんだと。  
ぜひこの点、また切磋琢磨、競争というふうに追いやっていって、現場がまたなえてしまうようなことのないようにしていただきたいと思ったので、ちょっと引用させていただきました。  最後に、大臣から御所見を伺いたいと思います。

【中山国務大臣】

 どうも学力テストと言うと、すぐまた昔みたいな競争じゃないか、こう言われるんですけれども、決してそういうことではなくて、やはり実際子供たちを見ていますと、結構競争するのを楽しんでいるんですよね。陰山先生のあれだって、いかに時間を短くするかということは、子供たちは結構競い合いながら、楽しみながら勉強している、そういう面もあるんですよね。自分たちの小さいころを考えてみてもそうだと思うので、そういった意味の切磋琢磨といいますか競い合う心というのは、私はこれは大きくなってからでも大事なことではないかな、こう思っていまして、ちょっとマスコミは大げさについつい取り上げ過ぎでございますが、決してそうじゃない、これは言葉を慎重に選びながら私は発言してきたつもりでございます。

【長島委員】

 最後に一言。  
陰山先生は、学校現場を元気にするものでなければいかなる改革も失敗に終わるだろう、こういうふうにおっしゃっておりますので、ぜひ私たちも、大いに大臣と協力し合って、日本の教育現場を活性化していくように頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。

【中野(清)委員長代理】

 加藤尚彦君。