長島フォーラム21

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国会質疑

2008年11月27日

【会議録】衆議院安全保障委員会

【今津委員長】

次に、長島昭久君。

【長島委員】

民主党の長島昭久です。  けさは、一月前にテロ特で質問させていただきました海賊対策の問題について、まず質疑をしたいと思います。
 ちょうど、けさの日本海事新聞の一面に、昨日、日本船主協会の前川会長が記者会見をされた、そのことが記事になっております。
 前川会長はその記者会見の中で、「乗組員の安全だけでなく、国民生活のための物資を運ぶことにも影響が出る。各国がやっているのと同じように政府関係艦船の派遣を含め早急に検討してほしい」と。加えて、アデン湾についての各国の海軍の派遣について言及をし、「有効な手だてとして、自衛隊の艦船の派遣も含めて考えていただきたいのが本音だ」「(海自艦船が)いてくれるだけでいい。日本関係船舶が頼るのが外国だけというのは独立国家として、いかがなものか」、こういう御発言をされております。
 そして、前川会長は、派遣に向け、法整備に努力していただいているのはありがたいが、危機は今そこにあるんだということで、現行法制下で可能な即時的な対応を切実に期待をした、こういう記事でございます。
 一昨日の防衛大臣、外務大臣の所信を私は伺っておりまして、これだけ海賊事案が、国民の間でも関心があり、また海運関係者の間では極めて緊急の取り組みを要請されている、こういう事案でありましたけれども、浜田防衛大臣の所信の中で一言も海賊について言及がなかったのは、大変残念でございました。
 それに引きかえ、中曽根外務大臣の所信、これは約三分の一を割いて海賊対策について言及をしていただいた。しかも、「海賊対策は、航行の安全確保や日本国民の人命及び財産の保護の観点からも、急を要する課題であります。」とはっきり言及をしていただいております。また、「海賊対策は国際的な課題でもあることを踏まえ、我が国として積極的に取り組んでまいります。 今こそ、我が国にとって、海上安全保障について改めて考え直すときであります。」こういう言及が外務大臣からなされております。
 中曽根外務大臣、改めて、ソマリア沖、アデン湾が今注目を浴びておるわけですけれども、もちろん伝統的にはマラッカ海峡も我が国にとっては大変重大な関心を持ってきたところでありますけれども、ソマリア沖の海賊対処について、私どもも、火急の課題である、一刻の猶予もない、こういう認識でありますけれども、海外における邦人の生命及び身体の保護、こういうことを管轄しておられる外務大臣として、この問題に対する、あるいは海上安全保障という新しい概念を提示していただいておりますけれども、御決意あるいは具体的にどういう施策を考えておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。

【中曽根国務大臣】

 委員に申し上げるまでもありませんけれども、日本は海洋国家でありますし、また貿易立国である、そういう日本にとりまして、船舶の航行の安全を確保するということ、それから海賊対策、テロ対策を行うということは、当然重要なことでございまして、これは国家の存立にもかかわることだ、そういうふうに思っております。
 マラッカ海峡それからソマリア沖、アデン湾、最近、新聞にもいろいろ海賊の記事が出ておりますけれども、昨年に比べてこの事件の件数が大幅にふえている、そういうふうにも認識をしているところでございますが、大変懸念すべき状況である、そういうふうに思っております。御承知のとおり、ことし、海賊対策を促す国連の安全保障理事会決議が二件、全会一致で採択されましたし、我が国も共同提案国となったわけでございます。
 そういうことで、私も所信の中でこれの重要性について述べたわけでありますけれども、委員もお話ありますように、安全確保という観点から重要でありますが、国民の人命また財産、船員の人命、そういうことにもかかわることでありまして、まさに急を要する課題だ、そういうふうに思っております。
 政府といたしましては、種々検討して、そしてできることから早急に措置を講じていく必要がある、そういうふうに思っております。

【長島委員】

そこで、概念を少し整理させていただきたいと思っているんですが、新聞紙上でも、海賊対処あるいは海賊取り締まり、政府も今海賊取り締まりの新しい法制度に向けて検討中、こういう見出しが躍るわけでありますが、私は、この海賊対処については二段階あると思っております。第一段階は、今、中曽根外務大臣がおっしゃった、人命、財産の保護のために海賊行為を抑止するというフェーズであります。そして第二段階としては、その抑止から、あるいは船に乗り込んでいって逮捕して、そして裁判、司法過程にのせる、こういう二つの段階から成っている。
 そして、私どもは、まず可及的速やかに第一段階の対応を政府に求めている、こういうことであります。
 私の理解によれば、第二段階の検討については、官邸の中に総合海洋政策本部というものが設置をされ、そこで法整備が今続けられている。続けられているといっても、実はことしの二月から始まっていまだに延々とやっているので、いつになったらこの成果が出てくるのか、私は非常におぼつかないところもあるんですけれども、今言えることは、ソマリア、アデン湾の海賊事案の最近の多発ぶりからして、この第二段階の成果を待っているような状況ではないというふうに考えているわけであります。
 そこで、私は、一月前のテロ特での委員会審議の中で、自衛隊法八十二条の海上警備行動の発令をする必要があるのではないかという主張をさせていただいたわけであります。
 もちろん海上警備行動というのは、その成り立ちからいって、本来は日本近海の武装の不審船あるいは工作船、こういうものを念頭に置いた仕組みであるということは私も理解をしておるんです。  防衛大臣、これまでの防衛庁長官時代からのさまざまな答弁の積み重ねによって、私の理解によれば、歴代の防衛庁長官がこの国会の審議の場で、例えば、自衛隊が海賊の脅威からの安全確保のために行動するとすれば、それは海上警備行動であるという平成十七年の大野防衛庁長官の御答弁。
 あるいは、自衛隊の船舶の航行の安全を確保するための護衛という任務は、その根拠は海上警備行動である、これは平成十五年の当時の石破長官の御答弁。
 あるいは、海上警備行動はソマリア沖にも発令する、地理的な限界はないという、これは先日の私の質疑に対する浜田防衛大臣の御答弁。
 それから、平成十五年の石破答弁の中では、海上警備行動というのは長期にわたるオペレーションも念頭に置かれているということが言及されております。それから、自衛隊の能力の面でも、民間船舶が危険にさらされている中、船舶の航行の安全を確保するために護衛する能力を自衛隊が持っている、これも平成十五年の石破長官の答弁でございます。
 これは私の単なる思いつきで申し上げたわけではなく、こういう累次の答弁の積み重ねの上で、このソマリア、アデン湾における今回の深刻な国民の生命財産にかかわる事案に対して現行法制上何ができるかというふうに探ったときに、海上自衛隊の海上警備行動、これが念頭にあってしかるべきだと思うんですが、浜田大臣、いかがでしょうか。

【浜田国務大臣】

今、長島委員御指摘のように、海上警備行動は使えるということは、これは今までの答弁の中でもお話が、大臣が答弁しているところでございますので、そういう意味では可能だと思っております。後はそれこそ政府としてどういう決断をされるかということになってくるかと思っております。
 我々とすれば、当然それに対応すべく我々なりに考えをまとめているところでありますので、そういった意味においては、海上警備行動というのを政府全体としてどう考えるかというところにかかってくるのではないかというふうに思っておるところであります。

【長島委員】

おっしゃるとおりです。私も、全く同感です。
 今、政府の姿勢が、政府全体の姿勢が問われている、このように考えておりますが、私の記憶によれば、先日、十七日のテロ特の審議の中で、麻生総理自身がこの海域における海賊行為の抑止を目的とした自衛隊派遣も含めた対応にかなり前向きな印象を私持ったんですけれども、その後、防衛大臣にそういうことを検討するようにというような御指示はあったんでしょうか。

【浜田国務大臣】

今のところ私のところにはそういうお話はございません。しかしながら、先ほど委員から御指摘のあった海洋政策本部の方で議論をしているというふうに、私の方は聞いておるところでございます。

【長島委員】

海洋政策本部の話は、私も先ほど申し上げたように、それは第二段階の問題でありまして、むしろ国民が今喫緊の課題として認識をしているのは第一段階、現行法上で対処すべき問題。
 その問題について、総理は国会の質疑の中ではかなり積極的な姿勢を示しておられたようでありますが、具体的な指示が、特に海上警備行動は総理大臣の承認に基づいて防衛大臣が発令することになっておりますので、その辺の連携、指示がまだきちんとした形で来ていない、こういう認識を今改めてさせていただきました。この点は、別の機会にまた追及をしていきたいと思います。
 何ができるかというイメージなんですけれども、国民の皆さんの間でも、海賊退治といっても漠然としたイメージでよくわからないと思うんですが、仮に海上警備行動で自衛隊の艦艇を派遣した場合、どういうことができるのか。
 例えば、船舶の航行の状況というものを監視する、私はP3C哨戒機を派遣したらどうか、こういう提案もさせていただきましたけれども、こういう警戒監視、あるいは航行する船舶に対して呼びかけたり、海賊船に対してとまりなさいと言ったり、信号弾で自分の存在を示したり、あるいは接近をしていって、追尾をしていって、そして伴走する、こういうようなことまでできるというふうに理解をしておるんですけれども、防衛大臣の御認識を伺いたいと思います。

【徳地政府参考人】

お答えを申し上げます。
 自衛隊法第八十二条に基づきまして、仮にその法的な要件に該当するということで海上警備行動が発令された場合ということでございますけれども、自衛隊法第九十三条の規定によりまして、海上保安庁法の一定の規定が準用されておりますので、それに基づきます権限の行使が可能でございます。
 具体的には、海上保安庁法十六条の規定がございますので、必要に応じて付近にある人あるいは船舶に対して協力を求めるでありますとか、あるいは同じく海上保安庁法の第十七条第一項がございますので、船舶の同一性などを確かめるために船舶の進行を停止させて立入検査をする、あるいは質問をするということも法的にはできることになっております。
 それから、十八条に基づきまして、航路の変更、あるいは停船等のほかに、海上における生命身体に対する危険または財産に対する重大な損害を及ぼすおそれがある行為というものを制止することができるということになっております。
 したがいまして、これらの規定に基づきまして、例えば、我が国船舶の航行の安全を確保するために、船でありますとかあるいは航空機によりまして、一定の海域を哨戒するとか、あるいは保護の対象となっている船舶と並んで走る、並走によりまして、我が国の船舶の護衛といったような活動に自衛隊の部隊を従事させるということは、法的には可能でございます。
 いずれにしましても、そもそも海上警備行動を発令して自衛隊が海賊対処を行うかどうかということにつきましては、当然のことながら、自衛隊法第八十二条の法的な要件に該当するかどうかというような法的な側面もございますし、それから政府全体としての海賊対処のあり方、あるいはその部隊のローテーションを含みます運用上の課題、あるいは他国との協力のあり方等、さまざまな点について十分に検討をしていくことが必要であると考えております。

【長島委員】

今、徳地さんにるる説明をしていただいたとおりでありまして、これはもう大体私伺っていて第一段階の対処としては十分だというふうに認識をしておるんですけれども、もう一つ肝心なことを伺いたいのは、武器使用についてでございます。
 これは、私の理解によれば、警察官職務執行法の準用ということになる、つまり海上警備行動というのは警察行動、こういうことでございますので、それが準用されると思うんですが、具体的に三点伺いたいんですけれども、第一番目、普通、武器使用というと、自己の防護のための武器使用、それからもう一つは関係する他人の防護のための武器使用、そしてもう一つは任務遂行に対する抵抗を抑止するための武器使用、この三つの種類に分かれると思うんですけれども、八十二条のもとで仮に海上自衛隊が派遣された場合、武器使用の権限はこの三つを満たすものとなるんでしょうか。

【徳地政府参考人】

お答え申し上げます。
 先ほどの自衛隊法第八十二条に規定をする法的要件に該当いたしまして海上警備行動が下令をされた場合におきましては、自衛隊法の第九十三条の規定によりまして準用をされます警察官職務執行法の第七条に基づきまして、自己もしくは他人に対する防護または公務執行に対する抵抗の抑止を目的として、事態に応じ合理的に必要と判断される限度におきまして武器を使用することができるということになっております。ただし、正当防衛、緊急避難に該当する場合を除きましては、人に危害を与えてはならない、こういうふうにされておるところでございます。

【長島委員】

今の御説明を整理いたしますと、海上警備行動発令時の海上自衛官に与えられている武器使用の権限からして、これは警察活動の範囲内、こういう理解でよろしいんでしょうか。

【徳地政府参考人】

お答え申し上げます。
 自衛隊法の第八十二条によりまして海上警備行動が発令されるといいますものは、これは我が国の公共の秩序の維持という目的のために発令されるものでございますので、いわゆる警察権の行使ということになります。

【長島委員】

そうすると、重ねて確認をさせていただきたいんですけれども、警察権の行使ということでありますから、例えば海賊の問題に対して海上警備行動が発令された場合、憲法第九条の問題は生じない、もっと言えば、国または国に準ずる者かどうかとか、あるいは非戦闘地域かどうかとか、あのテロ特やあるいはイラク特などで議論したそういう概念とは次元を異にする、こういう理解でよろしいんでしょうか。

【徳地政府参考人】

お答え申し上げます。
 これも一般論でございますけれども、海賊行為への対処のために自衛隊法の第八十二条に基づきまして海上警備行動が発令をされている場合に、我が国の刑罰法令が適用される犯罪に当たる行為に対しまして、自衛官が、先ほど申し上げた自衛隊法第九十三条によりまして準用をされます警察官職務執行法第七条の範囲内でいわゆる警察権の行使として行う武器の使用であれば、これは憲法九条に反するものではないと考えられるものでございます。

【長島委員】

今議論をさせていただいてまいりまして、防衛大臣にこの問題について最後に伺いたいと思っているんですが、まず、このソマリア沖、アデン湾の海賊事案は、可及的速やかに対処をしていかなければならない事案である。しかも、法律上の根拠は海上警備行動ということで累次の御答弁が重ねられてきている。
 そして、もう一つは、さっき徳地局長から、法的要件を満たせば、こういうお話がありました。その法的要件というのは恐らく、私が考えるに、この八十二条の「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合」、その特別の必要という法的要件にはまるかどうか、こういう御指摘だったんだろうと思います。
 その点で、私、最初の、一月前の質疑の中でも申し上げましたけれども、海上の治安の維持というものは一義的には海上保安庁が対処するということで、海上保安庁の能力あるいは装備、こういうものをただしましたところ、海上保安庁長官からじかに、ソマリア、アデン湾については自分たちの手に余るんだ、こういう御指摘がありました。
 今まで私どもの理解によれば、海上保安庁では対応し切れない、そういう部分については特別の必要というこの部分に当たる、こういう理解でございますので、ここで海上自衛隊の派遣の可能性が、つまり法的要件として満たされる、こういうことであります。そういう理解です。
 そして、今、最後に伺いましたように、海上警備行動については憲法九条、武力の行使という問題とはかかわりがない問題である、しかも、能力の面においても、先ほど徳地局長の方からるる説明をしていただいたように、海上のエスコート、民間船舶のエスコートをするという能力あるいは権限、私は十二分にあるというふうに認識をしたんですけれども、最後に浜田大臣に伺いたい。
 そういう今私が申し上げたことを前提に、なお海上警備行動を発令することについて法的に大臣のお考えを縛る、あるいは、そういう発令をされようとなさる大臣を縛るような環境、条件、こういうものがもしあるならば教えていただきたいと思います。

【浜田国務大臣】

 今先生がずっと御質問になられてきたことに対しまして、我々とするとやはり今後特に考えなければならない点があるのかということで御指摘をいただいたわけであります。
 私どもとしては、まず、各国が相互に協力している活動の中で、我が国の公共の秩序の維持を目的として、防護対象に限定のある海上警備行動により活動を行うことについて、国際協力の観点からどう考えるべきか。二番目として、また、海賊がロケットランチャー等の重火器で武装しているということ、現に他国軍に対しても銃撃して抵抗していることなどにかんがみて、隊員の安全確保の万全を図るにはどうすべきか。そしてまた、海賊を拘束した場合に、身柄を沿岸国に引き渡すのか、あるいは我が国の司法手続に従って我が国へ移送するのかといった論点もあるわけでありますので、そういった点についても検討しなければならないというふうに思っておるところであります。

【長島委員】

ありがとうございました。
 自衛隊を預かる大臣としては、今の御答弁は私も十分理解をするところであります。ですから、その問題をしっかり検討していただいて、そして、きょうこの海事新聞にもあるように、今本当に日本人の生命財産あるいは日本国経済の生命線が脅かされている、そういうことを念頭に置いてしっかりとした対応をしていただきたいというふうに思います。
 あと、残る時間を使って、もう一つの問題について伺いたいというふうに思います。
 それは質問通告もさせていただきましたが、対馬あるいは市谷あるいは横須賀、こういう日本の、我が国の防衛上極めて重要な場所、地域の周辺の土地が、極めて安易に外国資本の手に渡る、あるいは民間の間で売買をされる、あるいは国有地だったところが極めて安易に民間に売却をされる、こういう事態が実は続発をしておりまして、その点についての防衛省の御認識を私は伺いたい、このように思っております。
 きょう神風委員が対馬については詳しく質疑をされる、こういうことでございますので、私は対馬についてはそれほど突っ込んだ議論をするつもりはないんですけれども、実は嘉数委員長を中心として、私ども安全保障委員、ことしの八月、対馬に視察をしてまいりました。
 これは、もう巷間、さまざまな報道でもなされているように、まさに海上自衛隊の対馬防備隊本部の周辺の、周辺といいますか隣接している地域に外国の資本が入り込んでリゾート地をつくっている。それで日常的に外国人が基地の周りを合法的に徘回する、こういう状況が起こっているわけです。
 改めて伺いたいんですけれども、防衛省として、こういう場所に外国人によって土地が所有されるという事態は、基地の運用上あるいは安全保障という観点から本当に問題がないと思っておられるんでしょうか。

【枡田政府参考人】

お答え申し上げます。
 先生御指摘の対馬防備隊本部近辺における土地の買収の問題でございますが、この問題につきましては、平成十三年から平成十五年ごろに、隣接する民間業者から海上自衛隊対馬防備隊本部に対しまして、同社の工場跡地の売却についてお話がございました。
 同本部におきまして土地購入の要否について検討を行ったところでございますが、その必要性はないと判断しまして、海上自衛隊としては当該土地を購入することはなかったところでございます。
 そして、海上自衛隊対馬防備隊本部におきましては、基地の警備を含めまして、部隊の運営は地域の特性に合わせて適切に実施しておりまして、外国人等による自衛隊基地に隣接する土地の買収が部隊の運営に直接影響があるとは認識していないところでございます。

【長島委員】

部隊の運用に直接影響がないというお話ですが、今委員の方が聞いておられて、そしてまた国民の皆さんがこれを聞いておられて、本当に影響がないんだろうかと思われますよね。
 余りにも視野が狭いというか、外国人が、あるいは民間の方でもいいですよ、基地の周りをうろうろするという状況は、本当に運用上全く問題ないと思っておられるんですか。あるいは、もしかしたらそういうところから監視をされるかもしれない。こういうリスクなどについてお考えになっておられないんでしょうか。

【枡田政府参考人】

お答え申し上げます。  これまでも防衛省・自衛隊としましては、基地の周辺の状況については常々関心を払いつつ対応しているところでございます。
 部隊の運営につきましては、先ほど申し上げましたけれども、地域の特性に合わせて適切に実施しておりまして、私どもとしましては、部隊の運営に直接影響があるものとは認識しておらないところでございます。

【長島委員】

今の話は非常に受け身なんですよ。つまり、そういう環境の中に置かれた、そういう環境のもとでの部隊運用は何とか注意を払いながら頑張ってやりますという話ですね。
 そうじゃないんですよ。我々が考えているのは、そういう場所が外国資本に買われる可能性もある、あるいは民間で安易に売買が行われる可能性がある、それをなぜもっと抑止的に、プリエンプティブに、先んじて制するような対応をおとりにならないのか。その点を伺っているんですが、いかがでしょう。
 どうせすっきりしたお答えがいただけないと思うので、もう一つ伺いたいと思っているんですが、市谷の防衛省、これも皆さんに地図をお配りすればよかったんですが、ちょうど市谷の北側ですか、国有地がずっと並んでいるんですね。もともと厚生省の書庫があったところが、国有地の売却の流れの中で民間のディベロッパーに売却をされ、今や何と三十八階建てのマンションが建っている。市谷のまさに防衛省・自衛隊の本丸を見おろすようなロケーションに三十八階建てのマンションが建っている。しかも、その周りには、財務省の総合研究所とか、国立印刷局とか、内閣衛星情報センター、外務省の職員の子弟育英寮とか、こういうものが並んでいる。
 今、政府資産を持ち過ぎだということで、これを民間に売却したらいいんじゃないかという流れがあるわけですけれども、下手をすると、この辺をずらっと民間に買われてしまう可能性があるわけですね。防衛省の本丸ですら、周辺についてはこの程度の、ある意味でいうと安全保障上の配慮の低さなんですよ。そして、対馬なんですよ。
 さらに私申し上げますと、横須賀。横須賀は、今、皆さんに写真をお配りさせていただきました。これは十一月の十九日に、夕刊フジという夕刊紙がありますけれども、ここでこういう見出し、露中土地買い標的は横須賀基地、ロシアと中国ですね、対馬だけではない、こういう記事が躍っております。
 どういうことかというと、横須賀は、皆さん行かれたらわかると思いますが、軍港を見おろすようにして後ろが高台になっています。その地形をぶち壊せというわけにはもちろんいきません。その地形の中で、その土地のところどころに、ちょうどこういうふうに軍港の状況、横須賀の基地の様子をまさに数百メートル先で手にとるように見おろせるような高台が幾つかある。それが民間の間で安易に売買されている。こういうことであります。  そこで、この記事はどういう記事だったかというと、ある会社の社長さん、経営者が、知人からこの土地、こういうふうに軍港を見おろせるような高台の土地を譲り受けた。購入をして、登記をした。これは、二年前の平成十八年の七月三日に売買契約をして、同十九日に名義変更の登記を完了した。完了した三日後に、中国人が二人、日本人の通訳一人がその会社を訪れて、売却してもらえないかと言った。さらに、一週間後の二十八日、今度はロシア人が二人でやってきて、売却をしないかと持ちかけてきた。
 そこでこの会社の社長さんは、おかしいな、何でこういうところを外国人が買おうとしているのか、いぶかしいと思って、このことを当時の防衛庁長官、実名を挙げますと、額賀長官とその後の久間長官あてに、こんなことが起こっているんですが大丈夫なんでしょうかというお手紙を送ったそうなんです。あわせて、これは横須賀港ですから米軍基地もありますので、アメリカ大使館のシーファー大使あてにも同様の手紙を送ったわけです。これが十月の二十六日付であります。
 ところが、反応が日米で大きく違っていました。日本側からは何の反応もなかった。シーファー大使からは約二週間後に自筆のサインがしたためられた返書がこの会社社長あてに来て、そのすぐ後に米海軍犯罪捜査局のオフィサーがこの会社社長を訪れ、そして、この現場を一緒に訪れて、この記事によると、これは大変なことだ、こんなところが外国人の手に渡ったら安全保障上極めて深刻だという感想を漏らしたと。こういう記事なんです。
 しかも、この場所は、ことしの九月十二日に、過激派と思われる連中によって飛行弾が二発この高台から発射されている。こういうことなんです。防諜、諜報という意味においても私は深刻な問題だと思いますが、加えて、こういう二百メートル、三百メートル先ですから、本当に射程の短い飛行弾で十分攻撃することができる。
 こういう状況の中で、防衛省はこの会社社長さんの善意の手紙に対して何の反応もされなかったという記事なんですけれども、事実関係はいかがでしょう。

【高見澤政府参考人】

お答えいたします。
 御指摘の手紙につきましては、平成十八年九月、当時の、土地の所有者と思われる方から額賀防衛庁長官あてに対して手紙をいただいております。その後速やかに、関連部署において所要の確認を行っております。
 この結果、部隊の運営に直接の影響があるとの判断には至らなかったということでございますけれども、いずれにいたしましても、防衛省においては、今後とも、その基地の周辺の状況等に配慮し、基地の安全を確保すべく万全を期してまいる所存でございます。
 事実関係として申し上げれば、即座に対応はしております。

【長島委員】

関連部署にと言うんですけれども、もう少し詳しくお話ししていただけませんか。

【高見澤政府参考人】

具体的に申し上げます。
 まず、この記事の内容なり、内容証明でいただいておりますので、当然その内容について、どういった目的があるのかとか、事実関係が本当に合っているかとか、いろいろなことを私どもも慎重に確認をしなければいけませんので、当然、その基地の周辺の状況については日ごろから関心を持ってやっております。私どももそういう意識を持って関係のところからいろいろ確認をしているということでございますので、その辺は御理解をいただきたいと思います。

【長島委員】

それでも、アメリカ、米海軍に比べて日本の対応、日本政府の対応は、明らかに差異がありますよね。向こうは、シーファー大使からちゃんと返信が来ているわけです。そして、オフィサーが、犯罪局の捜査官がちゃんと行っている。日本側は、社長の、今のお話もそうですけれども、何の対応も表には出てきていない。
 しかも、ちゃんとやっていると今高見澤局長はおっしゃいましたけれども、自民党の参議院の佐藤正久さんは、インタビューに答えてこう言っているんですよ。
 現場に行ってぞっとした、さっきのこの写真の現場ですね、この現場に行ってぞっとした。RPG、これは携帯型のロケット推進砲でありますけれども、射程が数百メートル、RPGなどでねらわれたらひとたまりもない。当時、衝突したイージス艦の「あたご」がずっとあそこに停泊していたんですけれども、「あたご」が停泊していたが、甲板上の乗組員の動きも確認できた。地理的条件は仕方ない、そういう地理的な条件は仕方がないけれども、何か具体的な対策をとらなければならない。
 こういう、普通だったら私たち素人でも何か特別な対応が必要だというふうに思うはずなんですけれども、そういう対応が具体的に見えてこない。対馬の問題もそう。それから市谷の問題もそう。そして横須賀も極めて深刻。これは日本国だけではなく、同盟国であるアメリカも絡んだ問題です。
 そこで、きょう、法務省の方にも来ていただいておりますが、日本には外国人土地法というのがある。この外国人土地法というのは、私の理解によると、外国人及び外国法人が日本における土地に関する権利を保有することを制限する法律。これは大正十四年につくられた。今でも有効な法律なんでしょうか。

【始関政府参考人】

お答え申し上げます。
 外国人土地法は、委員が今御指摘のとおり、大正十四年につくられた法律でございまして、現在でも生きているものでございます。

【長島委員】

この外国人土地法の第四条にこういう規定があるんです。国防上必要な地区においては、政令によって、外国人等の土地に関する権利の取得につき禁止をし、または条件もしくは制限を付することができる。
 この政令についてなんですけれども、戦前に、大正十五年に勅令という形で政令が制定をされておりますが、これが二十年の十月二十四日に廃止をされているんですね、終戦と同時に。この政令によると、一定の地域における、つまり、国防上必要な地区と思われる地域における外国人等による土地の取得に関し陸海軍大臣の許可の取得を義務づけるものだ、こういうことなんですが、こういう理解でよろしいでしょうか。

【始関政府参考人】

委員御指摘のとおりでございまして、一定の地域における外国人による土地の取得に関して、陸軍大臣、海軍大臣の許可の取得を義務づけていたというのが、委員御指摘の大正十五年の勅令第三百三十四号でございます。

【長島委員】

そういう今のお話ですと、対馬の事例あるいは横須賀の事例、横須賀は、この会社の社長さんが善意でお知らせいただいたからよかったようなものの、これは黙っていたら、もしかしたら、ロシア人、中国人に買われた可能性があるわけです。
 これは、諸外国はどうしているかということを、私、調べてみました。
 韓国。韓国には日本とほとんど同じような外国人土地法がございまして、これは第四条に、やはり同じように政令によってこういう地区の売買を制限することができる。韓国の政令を見ると、外国人土地法施行令というのがあって、この第五条、軍事目的上必要な地域については、建設交通部長官、これは日本でいうと国土交通大臣が、国防部長官、つまり防衛大臣等関係中央行政機関の長と協議して、この地域を指定するかしないかを決定すると。
 大臣、こういう法律の枠組みがまだ日本にある、そして、政令によって、こういう国防上重要な、安全保障上極めて重要な地域について外国人の売買を制限するあるいは条件をつける、こういうことが可能なのでありますが、今後、政府として、こういう政令を設けていく意思あるいは必要性を感じておられますか。これが最後です。

【浜田国務大臣】

今先生御指摘の点、大変私自身も関心を持つところでもありますし、この政令というものの存在も承知しておるわけであります。我々の問題意識がどこにあるのかというのは極めて重要だと思っておりますので、当然、今後もそういったものも含めて考えていかなければならないというふうに思いますけれども、憲法第二十九条において財産権が保障されていることを踏まえた慎重な検討もしなきゃいけないということを私どもも思っておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今、その政令云々というよりも、関係省庁としっかりと連携をして、今御指摘のあった点、大変私どもも問題意識を持つところでありますので、対応していきたいというふうに思っておるところであります。

【長島委員】

ありがとうございました。
 これを最後にします。憲法第二十九条に今お触れになりましたけれども、財産権の内容というのは公共の福祉に適合するように法律によって定める、こうなっておりますので、まさに国防というのは、安全保障というのは、最大の公共の福祉だと思いますので、ぜひきちっとやっていただきたいと思います。
 ありがとうございました。