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【坂本委員長】
次に、長島昭久君。 【長島委員】
民主党の長島昭久です。おはようございます。
【加藤内閣官房副長官】長島委員にお答えをさせていただきたいと思います。 今お話がございましたように、当日の四時二十分に大雨に関する情報連絡室が設置をされたところでございますが、そうした中で、今回の土砂災害に関する第一報の報告は、当日の八月二十日六時十五分に総理秘書官を経由して総理の方に報告がなされたところでございまして、そして、同日六時半には「早急に被害状況を把握するとともに、政府の総力を挙げて、被災者の救命・救助等の災害応急対策に全力で取り組むこと」等を内容とする総理指示が発出された、こういうところでございます。 【長島委員】最初の六時十五分の総理への報告の内容はどんなものだったんでしょうか。 【加藤内閣官房副長官】
最初の内容は、大雨により、土砂崩れ、川の氾濫が発生をして、子供二名が行方不明だ、こういう第一報を受けたということでございました。
【長島委員】広島県が四時三十分に大雨被害の第一報を出しています。「安佐南区において土砂崩れにより人が下敷きになっている模様」。そして、その後、六時に気象庁が警戒態勢に入って、六時六分にNHKで速報が打たれていまして、広島市で土砂災害、二人不明、七人と連絡とれずと。今のお話ですと、七人と連絡とれずというところがちょっと抜けているような気がしたんですが、そのことはよしといたしまして、この報告を受けて、総理の指示が十五分後に発せられるわけですけれども、その総理指示はどのように連絡されたのでしょうか。 【加藤内閣官房副長官】
総理秘書官を経由して内閣危機管理監に電話にて伝えられ、官邸危機管理センターから関係省庁に対して伝達されたということでございます。
【長島委員】そのとき、内閣危機管理監は官邸にもう入っておられたんでしょうか。 【藤山政府参考人】
先ほど御指摘のとおり、四時二十分の時点で情報連絡室を立ち上げておりますけれども、この時点で、危機管理監はまだ官邸には入っておらないという状況でございました。
したがって、連絡を受けて、そのような総理からの指示を受けたという形になっております。
【長島委員】四時二十分で連絡室を立ち上げたときにはまだ入っておられなかったと。しかし、六時十五分、六時半の総理指示の段階では、危機管理監はどちらにおられたんでしょうか。 【藤山政府参考人】
総理指示の段階、この時点では、申しわけありません、詳しい検証、ちょっと私は手元にございませんが、官邸に向かっている、ないし官邸に着いたというような、そういった時間帯ではなかったかというふうに記憶をしております。
【長島委員】ということは、六時十五分の総理への報告というのは、危機管理監はどのように関与したんでしょうか。 【藤山政府参考人】総理への報告あるいは総理からの報告というのは総理秘書官を通じてということで私どもは行いますので、そういった形で、総理と我々危機管理部局との間のやりとりについて、危機管理監にも報告がなされて、承知をされているという形をとっております。 【長島委員】ということは、当時、まだ危機管理監は官邸におらず、官邸の事務方と総理のそばに仕えている秘書官との間で連絡をとって、そして総理指示を決めて、そして、その総理指示はどのように伝達をされたんでしょうか。 【藤山政府参考人】
総理からの指示につきましては、受領次第、速やかに口頭において関係省庁に伝えられているという状況でございます。
【長島委員】普通は、総理指示が出た場合に、この総理指示の中身には「関係省庁が緊密に連携し、」と書いてありますから、当然、関係省庁に連絡をされる。同時に、普通は、ピンナップといいますけれども、公表されなければおかしいと思うんです。そこはいかがですか。 【藤山政府参考人】
お答えいたします。
御指摘のとおり、ピンナップがなされなければならないということなんですけれども、今回におきましては、それは我々事務方の全くのミスでありまして、マスコミへのいわゆるピンナップが、事務に忙殺される中で時間的におくれてしまったというような実態でございます。
【長島委員】
今、率直にミスだというふうにお認めになられましたので、これ以上申し上げませんけれども、副長官、やはりこのクライシスマネジメントというのは、もちろん対処も大事ですけれども、クライシスコミュニケーション、我々も三・一一の大震災のときに経験させていただきましたけれども、この総理指示の中にも「国民に対し、大雨等に関する情報提供を的確に行うとともに、」というくだりがありますね。
【加藤内閣官房副長官】
今の御指摘のように、総理指示からマスコミへの周知、今回は早朝ということで、通常はピンナップでありますけれども、各社にファクスで連絡した、こういうふうには承知をしておりますけれども、いずれにしても、初動の被害状況等の把握等でいろいろばたばたしていたというようなこともあって、結果的にそうした事務のおくれがあったということは、今委員御指摘のように、さまざまな状況、そして政府の対応、これを的確に国民にお知らせするということは大変重要な要素でありますので、今後、そうした対応がしっかりとれていけるようにさらに改善を図っていきたい、こう思っております。
【長島委員】それでは、広島の被害について二つの観点から、一つは避難誘導という観点、それからもう一つは土砂災害防止法、先ほど来お話に出ておりますけれども、その改正の方向性について少し議論させていただきたいというふうに思います。 最初に申し上げたいのは、これだけ異常気象が続く、気候変動が原因だと思いますけれども、もはや異常と言っていられないというか、こういう気候だということを前提として、本当にもう一度、これまでの想定とか、あるいは行動基準、あるいは訓練や対処マニュアル、これは自治体にある意味で任せてあるわけですけれども、こういうものはやはり国が多少出張っていって総点検をしていかなきゃならない局面を迎えていると私は思うんですが、防災大臣として、この点、どうお考えでしょうか。 【古屋国務大臣】
確かに、委員御指摘のように、この数年、観測史上初めてとか、そういった報道が躍っていますね。現実にそういう被害状況になっているということです。
ですから、やはり災害対策、そしてリスクマネジメントのあり方も、そういうかつては余り起きなかった災害が頻繁に起きる可能性があるんだということを想定して、避難マニュアルを初め、あるいは対処方針をつくり上げていく必要があるというふうに私も強く認識をいたしております。
【長島委員】
少し具体的にお伺いしたいと思います。
やはり、人命を守るという観点からすると、避難勧告、避難指示というのは死活的に重要だというふうに思います。その点で、今回、広島でも北海道でも、実は問題があったのではないかというふうに思っています。
広島市では、もちろん、先ほど来出ております十五年前のあの大災害がございましたので、独自の避難基準雨量というのを設けて、これから降ってくる雨量を計算し、また土の中に含んでいる水分なども計算をして、この新しい基準を中心に避難勧告を出すような仕組みを準備していたにもかかわらず、その都度その都度の判断がちゅうちょしたというふうに防災部長さんはおっしゃっていましたけれども、そういうことで判断がおくれて、結局、肝心な土砂災害警戒情報が出てから実際に避難勧告が出るまでに約二時間半かかってしまった。これが広島市ですね。
【日原政府参考人】
お答えいたします。
委員御指摘のように、避難勧告ガイドラインを周知するということは大変重要なことと考えております。
四月に避難勧告ガイドラインを出した後、特に土砂につきましては、先ほど委員御指摘のとおり、土砂災害警戒情報を基準とするということで、発令基準が明確であること、それから、人命に直結する危険な災害であるということを踏まえまして、ガイドラインそのものは二年ぐらいかけてブラッシュアップを図りながらというようなことも伝え、言っておるんですけれども、特に土砂に関しては、早急に各公共団体の避難勧告の基準を見直すようにという通達を五月に出しているところでございます。
あわせまして、各首長さん、あるいは防災職員に対します研修の充実ということを進めております。
迅速かつ的確な災害対応というもののためには、防災担当職員の知識と経験というところが大きいというふうに判断いたしまして、防災の経験がある職員の増加、あるいは災害時における相互補完を目指した、危機事態に迅速、的確に対処できる人材、国、地方のネットワークを形成できる人材の育成ということを目標に掲げておりまして、昨年度より、有明の丘基幹的広域防災拠点施設を活用した防災研修を実施しております。
【長島委員】
この研修は本当に大事だと思います。首長さん、それから防災担当者、職員の研修、私は非常にいいプログラムだというふうに思います。
例えば、報道ベースですけれども、熊本県なんかは、早目早目に避難勧告を出すようにと。大臣がよくおっしゃっている、空振りを恐れずという、こういうところ、全国でいろいろ先進的に取り組んでいる自治体の情報を共有しながら、情報を平準化するといいますか、どんなに立派なマニュアルをつくっても、広島市がまさにそうだと思いますが、その都度その都度の判断の基準をそれぞれの職員が持っていなければ、結局、ちゅうちょしているうちにどんどん事態が悪くなる、こういうことでありますから、ぜひこの研修制度はしっかり運用していただきたいというふうに思います。
もう残り少なくなりましたが、今度は土砂災害防止法に伴う問題についてちょっと議論したいんです。
【古屋国務大臣】
こういう多くの災害が発生する時代になると、やはり住民の皆さんも、あるいは首長さんも、意識改革する必要というのはすごく大切だと思いますね。
土砂災害の危険区域は五十二万五千カ所ですけれども、これを通知して、いろいろ訓練をしなさいという法律上の強制力はないわけですけれども、一方では、イエローゾーン、レッドゾーンが指定されるまでの間に、今委員が御指摘のように、幅広く通知をしてそういう認識を持ってもらうということは極めて大切かもしれません。そういうことが、結果として、イエローゾーン、レッドゾーンを指定していくハードルを低くしていくことになるかもしれませんね。ですから、そういった取り組みを総合的に実施していくということが極めて重要だというふうに思っています。
【長島委員】今回の広島の事例で私が悩ましいなと思ったのは、危険箇所が認定されて、そして警戒区域になれば、そこを市街化することはなかなか難しくなってくる、こういう順番であればいいんですけれども、今回の災害の起こったあの地区は昭和四十六年から造成が行われた。つまり、危険箇所であるかないかの判定の前に既に市街化されているんですね。しかも、県営住宅まであるわけですよ。つまり、近所の人から見れば、県営の住宅もある場所ですから、ここがとても危険な場所という認識はなかなか抱きにくいと思うんですよ。 それをさかのぼって規制することはなかなか難しいというスキームだと言われていますので、ここも、一旦市街化した地区も含めて、これはまさに土砂災害防止法改正の世界ですけれども、ここも含めて、やはり抜本的にこの法体系というものを見直していく必要があろうかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。 【古屋国務大臣】
委員の御指摘、ごもっともだというふうに思います。
そこで、与党におきましても土砂災害防止法の改正を視野にプロジェクトチームを立ち上げられましたので、しっかり与党とも連携をとりながら、速やかな対応を私どもも図っていきたいというふうに思います。
【長島委員】
私も民主党の防災担当でもありますので、与党も野党もなくこの問題については取り組んでいきたいというふうに思いますし、先ほど国交省の答弁、少しちゅうちょがあったようなニュアンスを私は聞いたんですけれども、これだけの災害があって通達で済ますなんということは絶対無理ですから、やはり、国民に対してのメッセージを出すという意味で、法改正にしっかり踏み込んでいく時期が来たというふうに私は思っておりますので、これはしっかりお互い取り組んでいきたいと思います。
【鎌形政府参考人】
お答え申し上げます。
広島市におきましては、大規模な土砂が発生した地区におきまして、宅地内の堆積土砂などを直接市が撤去する方針で今進めているところでございまして、その撤去された災害廃棄物につきましては、市内七カ所に仮置き場を設置して、順次受け入れを開始している、こういう状況でございます。
環境省といたしましては、発生した災害廃棄物の処理につきましては、市に対して、災害等廃棄物処理事業費補助金というものにより財政支援を行うこととしておりまして、他省庁も財政支援制度はございますが、そういうものと連携してしっかり対応していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
【長島委員】災害対策に与党も野党もない、こういう姿勢で、一日も早い復旧とそして皆様の生活再建が進むように我々も努力していくことをお約束いたしまして、質疑といたします。 ありがとうございました。 |
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