長島フォーラム21

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国会質疑

2015年3月3日

【会議録】予算委員会

【大島委員長】

この際、長島昭久君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長島昭久君。

【長島委員】

民主党の長島昭久です。 私は、初当選のころから、外交、安全保障には与党も野党もない、あるのはただ国益だけだ、そういう信念で政治活動を続けてまいりました。 現下の国際情勢、我が国にとって本当に厳しい情勢だというふうに私は思っています。中国の台頭、そして、ともすればアメリカの覇権の揺らぎ、こういったものがもたらす危機の拡散、これによって国際秩序が非常に不安定化している。 そういう中で、少なくとも、日本はアジア太平洋地域の平和と安定そして繁栄に責任を持っていかなければならない、その中で役割を拡大していく必要がある、そういう認識においては、私は、安倍総理の問題意識とそれほど違いがないんだろうというふうに思っています。 そこで、これは、私の個人的な見解というよりは、私どもは政権時代に防衛計画の大綱の見直しをさせていただきました。きょうここに、二二大綱と呼ばれております平成二十二年の民主党政権下の防衛計画の大綱と、一昨年の暮れに安倍政権下で策定された国家安全保障戦略、この二つの章立てを比較する図表を今提示させていただいています。皆さんのお手元にもお配りをさせていただいております。 これを見ていただいてわかるように、章立てを見ていただいても、特に第四章、戦略を具体的に実施していく、そのアプローチといいますか手順といいますか、ここはほとんど、私どもがつくったベースの上に、安倍政権もこの延長線上で外交、安全保障を展開しているということが一目瞭然だと思います。 特に、第四章の一番目が、まず、我が国の能力を拡大していくこと。そして、同盟国アメリカとの協力関係を強化していく。そして三番目は、国際社会における多層的な安全保障協力をやっていく。その上でも、まず、アジア太平洋地域のパートナー国との協力を中心に、そしてその後、国際社会全体に対して日本は協力の輪を広げていく、こういう筋立てになっているんですね。 あのウィンストン・チャーチルはこう言っています。外交の八割はコモンセンス、いわゆる常識だ、あとの二割はニュアンスの違い。私はきょう、あえてこの二割の違いに着目をして、安倍総理に少し注文をつけさせていただきたい、このように思っています。 まず、第一番目。ことしは戦後七十周年であります。この戦後七十周年を迎えるということで、安倍総理の終戦の日の談話がどうなるのかということに注目が集まっているわけでありますけれども、この節目の年に安全保障法制の大改革を断行しよう、これが安倍政権の姿勢であります。 この点について、戦後七十周年という節目に安全保障の大改革を行うというこの二つの関係、これは、ともすれば、私も欧米からお客さんが来られるとよく話をするんですが、歴史認識の問題と安全保障の役割拡大がごっちゃになると、思わぬ副作用を生んでしまって、これが本当の所期の目的を達成するのはなかなか難しくなる、こういうことをおっしゃる方は多いんですけれども、この点に留意をされて、総理は、七十周年に安保改革をやるというこの二つの関係についてどんな御見解をお持ちか、まず御答弁をいただきたいと思います。

【安倍内閣総理大臣】

ことしは、終戦から七十年目の節目の年に当たります。国の行く末を案じ、そしてまた家族の幸せを願いながら、たくさんの方々がとうとい命を犠牲にしました。この犠牲の上に、私たちは今の平和な日本を享受することができている。この平和国家としての歩みは、これからも決して変わることがない。さきの大戦の反省の上に立って、歩んできたこの七十年間の足跡をもう一度かみしめながら、そして、これからさらにしっかりと国際社会の平和と安定のために日本は積極的に貢献をしていくというメッセージを出していきたい。 日本が、反省の上に、この七十年間の足跡をどのように考えているか、そして、世界と普遍的価値を共有し、しっかりとそれを確かなものとしていくために大いなる貢献もしてきた、さらに、国際社会において、アジア太平洋地域においてしっかりと貢献をしていくという姿を明確にしていくことが今求められているんだろう、このように思います。

【長島委員】

 大事なことを二つ申し上げたいと思います。 一つは、安保法制の大改革、この大きな仕事をなし遂げる上に、国民のコンセンサスを得る努力をぜひ丁寧にしていただきたい、こういうことであります。これは言いかえれば、国会におけるより多くの賛同、賛成が得られるような進め方をぜひしていただきたい。 思い出すのは、有事法制。これは与党、野党なく、たしか八割から九割ぐらいの国会議員、衆参で賛成に回って、最後、可決をいたしました。やはり、今回の閣議決定も含めて、国民の間にある不安あるいは疑問、こういったものを丁寧に払拭する努力を貫いていただきたいということが第一点。 それからもう一つは、歴史問題に絡んで、総理が、これは総理御自身にとっては非常に不本意なレッテルかもしれませんが、歴史修正主義者であるといったような誤解が、欧米のメディア、中国はこれを最大限に利用して、そして世界じゅうで今そのプロパガンダをやっているわけですけれども、そういう中国の思うつぼにはまってはいけないんだろうというふうに私は思うんですね。 その意味では、総理が本当に歴史修正主義者ではないということを、戦後七十年の談話、そして、四月の終わりに、ゴールデンウイークにアメリカに行かれるんだろうというふうに思いますが、日米の間で共同宣言を発出されることになるんだろうと思います。場合によっては、連邦議会の上下両院のジョイントセッションで演説する機会もあるかもしれない。そういう中で、私はあえて申し上げたいと思っているのは、この歴史修正主義者であるという疑念を完全に払拭して、そして、三年九カ月にわたって激しい干戈を交えた日米が、今や同盟国としてアジア太平洋地域の平和と安定の礎を担っている、こういうことを堂々と世界に発信をしていただきたいと思う。 そのためには、慎重に言葉を選んでいただいて、そして謙虚に過去の時代を反省して、そして未来志向の発信をしていただきたい。 総理が、七十年の談話、あるいはアメリカにおける共同宣言に込めていきたいと思っておられるメッセージがありましたら、ぜひ国民の皆さんに開陳をしていただきたいと思います。

【安倍内閣総理大臣】

まず、七十年におけるメッセージでございますが、それはまず、戦後五十年には村山談話、六十年には小泉談話が出されているわけでありますが、安倍内閣としては、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおります。今後も引き継いでいく考えでありまして、戦後七十年の談話は、それを前提にして作成されるものであります。 その上で、新たな談話の内容については、さきの大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後、日本としてアジア太平洋地域や世界のためにさらにどのような貢献を果たしていくべきか、次の八十年、九十年、百年に向けて日本はどのような国になることを目指すのかといった点について、世界に発信できるようなものを英知を結集して考えていきたい、こう思っているところでございまして、先般発足した二十一世紀構想懇談会においては、まず、二十一世紀の世界のあり方、その中で日本が果たすべき役割等について大いに議論をしていただきたい、こう考えているところでございます。 また、歴史修正主義では、もちろん私は全くないわけでございますし、また、歴史修正主義という考え方は、かつてヨーロッパにおいてホロコーストがなかったという、そういう考え方に対する批判であったんだろう、このように思います。 先般、日経新聞に、歴史修正主義の虚と実でしたか、というコラムがございまして、私の言っていることを正しく理解していただいた。 戦後レジームからの脱却という言葉が、海外である種の誤解を生んでいるわけでありますが、私が演説で述べたことを、戦後レジームの脱却とはと言って、中身を見ていただければ、これはまさに、戦後たくさんの仕組みができて、この仕組みをまさに変えていくことが私たちの課せられた使命である、まさに内政について言っているわけでありまして、戦後体制について、それに対して挑戦するという類いのものでは全くないということでありまして、そういう正しい理解も進めていきたい、こんなように考えているところでございます。

【長島委員】

 どういうメッセージを発信されるか、国民とともに注視をしてまいりたいというふうに思っています。 もう一つ懸念をしているのが、総理がまさに売りにしている地球儀を俯瞰する外交。この地球儀を俯瞰する外交、これは非常に聞こえはいいし、また、世界でかなり評価を得ているということは私も仄聞しておりますけれども、その地球儀を俯瞰する外交の背後に少しリスクがあるのではないかと私は思っていまして、そのことについてちょっと議論したいと思うんです。 まず、先ほど示しました国家安全保障戦略、総理は、この国家安全保障戦略をなぜ今この時期に発出をしなければならない、こう思われたのか。この国家安全保障戦略を策定した意味はどうお考えでしょう。

【安倍内閣総理大臣】

 国家安全保障戦略は、我が国として初めて策定したものでありますが、我が国の国益とは何かを長期的視点から見定め、それを達成するために我が国がとるべきアプローチを示したものであります。これは、国家安全保障政策を一層戦略的かつ体系的なものとして実施することを可能とする、私は有意義なものであると考えています。 政府としては、国家安全保障戦略に基づき、外交・安全保障政策を遂行するべく、その司令塔たる国家安全保障会議のもと、関係省庁が一体となって取り組んできています。 特に、二週間に一回の割合で、これまで合計三十三回開催した四大臣会合において、地域情勢から中長期の国家安全保障政策に至るまで、さまざまなテーマについて精力的に議論を積み重ねたことにより、戦略的、機動的な外交・安全保障政策の実施が可能になってきた、こう考えております。

【長島委員】

 私は、この外交、安全保障というのは、あれもやりたい、これもやりたい、それはトップリーダーとしては、世界じゅう、まさに地球儀を俯瞰して、ここにも行きたい、あそこにも行きたい、ここでもこういう政策をやりたい、こういう思いになるのは理解できなくはないんですけれども、やはり国力というのは限りがあるわけですね、資源も人材も。ですから、限りある国力の中で、プライオリティーをつけて、優先順位をつけてそれを実施していく、それがまさに戦略文書にあらわれていくんだろう、このように思っているんです。 その意味では、地球儀を俯瞰する外交というと、どうしても焦点がぼけるといいますか、どうしても優先順位づけが曖昧になる嫌いがある、このことを心配しているんです。 五十カ国以上行かれた、延べ二百回以上首脳会談をやられた、これはすばらしいことだと思いますよ。しかし、あれもこれもと余り手を広げ過ぎますと、オーバーストレッチ、こういうことになりかねない。 私は、年明けの総理の中東外交を拝見していて、ちょっとそういう懸念を持ちました。その結果、肝心のところに割くリソースをほかにとられてしまうということになりかねないんじゃないか、そう思いましたし、また不測の事態が起こりますと国民の意思もなえてしまう、こういう副作用もある。 そこで、私、きょう、皆さんのお手元に中曽根外交四原則というのを持ってまいりました。国力以上の対外活動をしてはならない、外交はギャンブルであってはならない、内政と外交を混交してはならない、世界史の正統的な潮流を踏み外してはならない、この四つは非常に含蓄のある外交原則だというふうに私は思います。 総理、欧米が中東に力を入れるのは、これは歴史的な背景があります。大体、ヨーロッパは中東、アフリカ、そしてアジア太平洋はやはり日本中心に、これは悪い、下世話な言い方をすれば仕切っていく、こういう役割分担が底辺にあるんだろうというふうに私は思っているんです。 日本はアラブ社会とも友好関係を築いてきた。これも歴史的背景がございます。それから、例のIS、ISIL、このISILを生み出した最大の要因の一つは二〇〇三年のイラク戦争だった、私はそう思っています。あのことによってサダム・フセインが倒れ、そして、スンニ派の部族がシーア派を中心とした政権に対してISILのような組織を応援するようになった、私はこういう原因があったんだろうと思う。 ですから、米、英、仏、それから英連邦の国々、オーストラリア、カナダ、ああいうところが中東に注力をしていくというのは、これは私は理解できるんです。しかし、日本までそんなに中東にのめり込む必要はない。 これは、国家安全保障戦略にもしっかりあらわれています。テロに対する記述というのは、第四章の三ポツの七、国際社会の平和と安定に向けた域外諸国との協力強化、ここで初めて出てくるんですね。それから、国際社会の平和と安定のため、四ポツの一番最後に、国際テロという言葉が出てくるんです。 これは、ありていに言えば、日本が本来注力する、神経を使う、そして国力を投入していく地域というのは、先ほど総理みずからおっしゃったように、アジア太平洋地域だというふうに思うんです。 中国の台頭に伴う海洋秩序の不安定、それから北朝鮮の脅威、そしてシーレーンだって、アメリカにおんぶにだっこではもはや立ち行かないんだろう、このように思います。そこだけやるのでも相当日本の国力を消耗するんだろう、私はこのように思っています。 ブラックホールのような中東にそれほど余力をかける、力を振り向けていく、そういう余力というものは日本には残されていないんだろうというふうに思いますし、このアジア太平洋地域の平和と安定と繁栄というものこそが、私は最大の戦略的な利益だろうというふうに思います。そのための安全保障法制の整備だろうと思いますし、日米のガイドラインの見直しではないか、このように私は思っているんです。 ですから、もう一度プライオリティーを申し上げますと、まず、国土の防衛です。そして、領域の警備です。そして、周辺事態に対する対応です。そして、地域の安定をしっかりと確保するための抑止力の拡大。こういったことがきちっとできた後に、テロとか中東とかPKOとか国際平和協力とかいうことが出てくるんだろうというふうに私は思っています。 その意味で、私は、ガイドラインのこれからの整備と、そして安保法制の整備というのは、これは車の両輪のような形になるんだろうと思いますけれども、総理はこの二つの事柄の関係をどのように考えておられるか。例えば、総理の頭の中で、この安保法制の整備と、それから日米ガイドラインの見直し、どういうスケジュール感でこれを捉えておられるか、お答えいただけますか。

【安倍内閣総理大臣】

 日米のガイドラインについては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、平成二十五年十月の2プラス2共同発表において、紛争を抑止し、平和と安全を促進する上で日米同盟が引き続き不可欠な役割を果たすことを確保するため、これを見直すことを日米で合意したわけでございます。 このガイドラインと安保法制の整備との関係でございますが、これは、日米間では、ガイドラインの見直しと我が国における安全保障法制の整備との整合性を確保すること等の重要性を再確認した上で、我が国における法制の整備の進展を踏まえながら、議論をさらに深めていくこととしているわけでございます。 優先順位については、全く私は長島委員の指摘のとおりだろう、いわば国家資源というのは有限でありますから、振り向け方はそのとおりなんだろう、こう思います。 しかし、その中で、先ほど申し上げました地球儀を俯瞰する外交というのは、それは目的ではなくて手段の一つとして、今言った主目的、さまざまな課題、アジア太平洋地域においては中国の軍事的な膨張があるわけでありますが、それを日中関係だけを見るのではなくて、これはやはり地球全体を見ながら、その中で戦略を立てていこうというアプローチであるわけでございます。 この日米ガイドラインと安保法制との関係については、今申し上げたような関係の中において進めていきたい、このように考えております。

【長島委員】

 安保法制は連休明けに出てくるわけですね、政府が提出をされる。そして、それから議論が始まるわけですね。 そして、累次にわたって総理もおっしゃっているように、安保法制がしっかりと固まらない限り、自衛隊は行動できないわけですね。安保法制が固まってから、つまり、自衛隊がきちっと行動できるという方向性と担保が完了してから、アメリカとのガイドラインの協議を詰めていこう、こういう関係ですか。もう一度お答えください。

【安倍内閣総理大臣】

 今与党で協議をしておりまして、その進捗ぐあいもよく見ていかなければいけないわけでございますが、基本的には、並行して、お互いに整合性をとりながら進めていきたい、このように思います。 御承知のように、安保法制が整備されていなければ、ガイドラインにおいて自衛隊の活動、行動はできないわけであります。と同時に、日米の同盟によって地域の平和と安定を守っていく、その中でどういうことが必要かということも、その中でさまざまな議論がなされるわけであろう、このように思うわけでありまして、安保法制がどのように進んでいくかということの中においてもガイドラインが進み、ガイドラインを進めていく中においても安保法制の中にもそれが生かされていくということでありまして、整合性をとりながら、並行して進めていきたいと思います。

【長島委員】

これは、総理、大事なところなのでもう一度伺いたいと思うんですが、九七年の、前のガイドライン、つまり今のガイドラインは、まず日米のガイドラインをつくってから、それを実施する法制度ということで周辺事態法をつくりました。ですから、まずガイドラインがあって、そしてその後、法制の整備があったんです。 そのときは、憲法解釈は変えない、こういう前提でやりました。したがいまして、予見可能性があったわけです。ガイドライン、日米との間の協議を先にして合意をしても、結局、憲法の解釈の枠内で自衛隊の行動を考えていましたから、新しい法制度をつくってもこれは予見可能性があったんです。 しかし、今回は、そもそも閣議決定に対する国民の理解もまだ不十分、しかも、集団的自衛権を含む憲法解釈の変更をしたわけです。したがって、法制度がきちっと整うまでは、日米の間でも予見可能性は極めて低いんです。 与党協議とおっしゃいました。それは、与党ですから、与党の協議を重んじられるのはわかりますけれども、しかし、国会で、先ほど私冒頭に申し上げました、国民の不安や疑問に応えるために、有事法制に見習って丁寧にやってほしいと。 ですから、国会の議論を経て安保法制が確立されてから、日米の間できちっとした役割分担を堂々と決めていく、私はこういうスケジュール感であるべきだと思いますが、総理、いかがでしょう。

【安倍内閣総理大臣】

 二十五年の十月の2プラス2に先立って、委員が防衛副大臣であったときに、平成二十四年の十一月に、当時のカーター国防副長官、今の長官でありますが、との会談において、ガイドラインについて必要な研究、議論を行っていくことが同盟深化につながるとの認識で一致したというふうに承知をしているところでございます。 いずれにいたしましても、我が国の安全保障上大きな法整備を進めていくわけでございますから、国民的な理解も当然必要であります。国際社会に向けての発信も当然必要だろう、このように思うわけでございますので、法案を整備した上においては、しっかりと国会において議論をしていきたい、御議論もいただきたい、このように思っております。

【長島委員】

 私の名前まで出していただいて、私が、今の国防長官のカーターさん、当時は副長官でしたけれども、お話をさせていただいて、日米の間でガイドラインの見直しに向けた実務レベルの作業を開始しようと、これはそのとおりであります。しかし、そのときにはまだ、集団的自衛権を含む、憲法解釈の変更までは視野に入っていなかったわけであります。 しかし、その後、安倍政権になって、憲法解釈の変更を伴う新しい法制度を整備するという方向性が打ち出された。 であれば、たび重なってガイドラインの締め切り期日は延ばされてきているわけですけれども、ここまで延びたのであれば、私は、きちっとした法整備を行った上で、アメリカ側と誤解のない関係の中でしっかりとガイドラインの議論をすべきだというふうに思いますが、これは防衛大臣、いかがでしょう。

【中谷国務大臣】

 現在、ガイドラインも協議をしておりますけれども、この最終報告の公表時期と法案の提出時期、これは、その前後の関係も含めまして、それぞれの作業の進捗等を踏まえて、今後判断をしていきたいと思っております。

【長島委員】

 いやいや、それは今後判断されるんだろうと思いますが、大事なことは、国会での議論をおろそかにしていただきたくないということなんです。つまり、アメリカともう合意しちゃった、だからこの線で法案をつくったからよろしく、これはだめですよ、総理。私たちは最初から反対とか言っているわけじゃないんですから。 きちっと枠組みを決めて法整備、その上でアメリカとやった方が私はよほど生産的だと思いますが、これはいかがですか、岸田外務大臣。

【岸田国務大臣】

 安保法制関連法案の提出、そして日米ガイドラインの見直し、時期については、ただいま防衛大臣から答弁がありましたように、前後関係を含めて、今後の検討作業によると考えております。 ただ、その際に、まず一つ大事なことは、両者の整合性、これをしっかり保つということ、これは大変重要なポイントだと存じます。そして、それをしっかりと維持した上で、国会において充実した議論をお願いする。これは当然のことだと考えています。

【長島委員】

 いや、両者が整合すれば一番いいんですよ。しかし、整合するかどうか。だって、まだこちら側は、全く国会の議論は始まっていないんですよ、法整備の。 閣議決定で、安倍政権はこういう方向性を目指したいということはわかりましたよ。しかし、それが具体的に個別法でおりてくる、それまでにはまだ、連休を挟んで、相当先じゃないですか。 今、アメリカと一体どういう議論をやっているんですか。お答えください。

【中谷国務大臣】

 まず、ガイドラインの見直しと国内法の整備については、両者を整合させて進めておるわけでございます。 この法整備につきまして、政府としても今検討しておりますが、現在、与党と相談をして議論を詰めておりますが、ガイドラインの見直しについても、国会における議論に適切に対応していく考えでございまして、先ほど申しましたけれども、政府としては、両者の整合性を確保しつつ、国会の御理解も得ながら作業を進めてまいりたいと思います。

【長島委員】

 そうしますと、国会の議論を踏まえてと今おっしゃいましたよね。まだ始まっていないんですよ。 では、今、ガイドラインで何の議論をしているんですか。

【中谷国務大臣】

 ガイドラインの見直し作業につきましては、国会における議論に適切に対応してまいりたいと思います。

【長島委員】

いや、ですから、もう中間報告が出ていますよね、ガイドライン。そして、中間報告が出てから、もうかれこれ数カ月たつわけですね。しかし、まだ、そのもとになる、日本の、つまり行動を規定する、もっと言えば自衛隊の行動を規定する安保法制ができていない。まだ審議も始まっていない。与党ではいろいろやっていますよ。しかし、それが平場に出てきたときに、つまり国会に出されたときに、どういう方向に行くかというのは、これはまだ予断を許さないわけですよね。 大臣は、相手の国防長官、あるいは外務大臣だったら国務長官とお話をされるときに、何を手がかりにお話しされているんでしょう。

【安倍内閣総理大臣】

既に大臣から答弁をさせていただいておりますが、まさにこの議論を進めていく上において、昨年、閣議決定をし、閣議決定の上に議論をしてきたということの意味において大臣も答弁されたんだろうと思いますが、今まさに法案の中身においては与党で協議をしております。この協議を進めながら、他方、ガイドラインも並行して議論を行いながら、整合性を保ちつつ行っているわけでございますが、だんだんこれはある程度、与党の中でも姿形が見えてくる段階というのは出てくるんだろう、こう思うわけであります。 そして、さらに最終的には条文になっていく、そういう過程を踏んでいくわけでございますが、そういう姿形が出てくる中においても恐らくさまざまな報道もなされることと思いますが、そういう中においても国会で御議論をいただくわけでございます。 基本的に、これは、ガイドラインとこの法案のどちらが先に出るから、例えばガイドラインの方が、タイミングが最終的な法案の条文よりも先だったら、ガイドラインで決まったからこれにしなければならないということではもちろんなくて、それはまさに並行的に行われていくということで御理解をどうかいただきたい、このように思います。

【長島委員】

 いや、これは非常に苦しい。私、本当はきょうは領域警備の話をさせていただこうと思ったんですが、もうこれは時間がなくなってまいりました。 総理、どっちが早いかはそんなに問題ないとおっしゃいましたが、これは大問題だと私は思いますよ。 なぜかというと、では、総理のもくろみどおりに法律が上がらなくて、それから、アメリカとその前に合意しちゃって、いや、申しわけない、国会で議論してみたらこんなにやれなくなっちゃったといったら、アメリカとの協議はどうなるんですか。そんな無責任なことはできないでしょう、日本政府として。 だから、まず法整備をして、きちっと足場を固めて、できること、できないことをしっかり見きわめて、それからガイドラインの最後の詰めの作業に入った方が、これはやはり日米間の協議としてもよほど生産的だと私は思うんです。 最後にちょっと伺いたいんですが、ということは、巷間言われているように、四月の終わりの訪米のときにTPPとガイドラインの合意をやってしまおうというようなことは、まあTPPは今回いいとして、ガイドラインをお土産に持っていくような話がありますが、さすがに国会に法案を出す前にガイドライン、私は別に日米の同盟関係を崩そうと思って言っているわけじゃないですよ、これは本当に国民の支持基盤がなかったら同盟なんか機能しないわけですから。そういう段取りでいくということは、まさかないですよね。ここでお約束いただけますか。

【安倍内閣総理大臣】

 今の段階において、法案の与党協議の進捗ぐあいについても、予見を持ってお答えすることができない状況でございますので、どのタイミングでということについて、ガイドラインも含めてこれは並行に協議を行っていますから、今ここで、では、訪米前にどうのこうのということは申し上げることができませんが、例えば訪米を目指してとかいうことは基本的に考えておりません。 しかし、どのようなタイミングでガイドラインについていわば話がまとまるかどうか、あるいは法整備がどの段階で姿形をあらわしてくるのか、あるいは条文まで至るのかということについては、今のこの段階では申し上げることはできないわけでございますし、訪米の際に、日米でどういう中身に、そもそも訪米の日程自体まだ決まっていないわけでございますから、どういうことかということは定かに申し上げることはできません。 あと、いずれにいたしましても、ガイドラインを決めたとしても、それは日本の憲法、日本の法令に従ってしか自衛隊は動くことができないというのが大前提であるということは、これは委員御承知のとおりでございます。

【長島委員】

 誤解のないように申し上げますと、私たち、別に、ガイドラインの改定の邪魔をしようと思って申し上げているわけではないんです。やはり国民の支持があっての同盟ですから、きちっとした法整備をした上でアメリカと協議に臨む方がよほど生産的ではないかということを申し上げているまででありますし、憲法解釈については、やはり大きく変更を、総理の強い意思でされたわけですから、九七年のような順番ではなかなか国民も国会も納得しないということだけ最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。