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【土屋委員長】次に、長島昭久君。 【長島委員】
おはようございます。長島昭久です。
先週に引き続いて質疑の機会を与えていただきまして、理事の皆さん、ありがとうございます。
先週ちょっと積み残した課題について、幾つかお伺いをしたいというふうに思います。
一つは、在外邦人の安全確保、在外公館の警備についてであります。
ISによる邦人殺害事案、それからチュニジアにおける先月のテロ事案、これはもう絶対に許すことのできない暴挙であります。犠牲になられた皆さんには、お悔やみを申し上げたいというふうに思いますし、御冥福をお祈りしたいというふうに思います。
【藤山政府参考人】
御指摘のシリアにおける事案あるいはチュニジアにおける事案、これらを含めまして、テロ情勢は非常に厳しいというふうに認識をしております。
政府としましては、シリアにおける事案の直後ですけれども、二月の三日、官房長官を長とする国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部を開催いたしまして、各種テロ対策をより一層徹底強化し、推進をするということにしております。
具体的に申し上げますと、不穏動向の早期把握に向けた情報収集、分析の強化、あるいはテロリストの入国阻止等に向けた水際における取り締まりの強化、あるいは空港、公共交通機関などの重要施設の警戒警備の徹底などの諸対策を強力に推進するということにしているところであります。
【長島委員】今お話しいただいたように、やはり情報収集と分析、これは非常に大事だというふうに思います。 そういう中で、きょうは防衛省から来ていただいていると思いますが、防衛駐在官の増員の話が一方で出てきています。これはテロ対策の文脈でほぼ同時に出てきた話なんですが、今、藤山さんから御説明いただいたテロ対策あるいは邦人の保護、安全確保、この問題と、防衛駐在官の増員という対策、これとどういう関係があるのか、御説明いただきたいと思います。 【石川大臣政務官】
お答え申し上げます。
先生御指摘のシリアにおける邦人殺害テロ事件あるいはチュニジアにおけるテロ事案に見られますように、テロの脅威というものは世界的に増大をしている中にあります。
防衛省といたしましても、こうしたテロ対策あるいは邦人保護に政府全体として取り組んでいくため、また、海外に派遣されている部隊の安全確保を図るため、さらには、国際的なテロの動向について情報収集をしていくことが重要との考えから、特に、中東・アフリカ地域における、テロに見られる不安定な状況がある中で、これが我が国にとっての安全保障の観点からも重要性を増しているという観点から、この地域における情報収集能力の強化が重要だというふうに認識をしているところでございます。
【長島委員】
わあっと今いろいろミッションをおっしゃったんですけれども、もう少し焦点を絞って伺いたいと思うんです。 【石川大臣政務官】
お答え申し上げます。
防衛駐在官は、先生よく御存じのとおり、幹部自衛官という立場を生かしまして、各国の軍、国防当局、また他国のその地におけます駐在武官から、軍同士の関係でしか入手し得ない種々の貴重な情報を入手することができると考えております。特に、派遣先国に関連した軍事関連情報の収集を防衛駐在官は得意としております。
また、今御議論いただいております国際テロあるいは国内治安に係る情報につきましても、各国の軍、国防当局や他国の駐在武官から相応の情報収集が可能であり、在外邦人保護に係る政府全体の取り組みに関しても、防衛駐在官が貢献することができると考えております。
【長島委員】非常に正確な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。 大臣に伺いたいんですけれども、今聞いていただいたように、防衛駐在官の収集する情報というのは、偏りがあると言うとちょっと語弊がありますけれども、軍事的な、国防コミュニティーの中のいろいろな情報なんですね。もう一つ大事な情報は、現地の法執行機関あるいは警察、治安当局、こういうところとの交流によって得られる情報。この情報を邦人とかあるいは日本の企業とかそういうところと共有してその身を守っていただく、あるいは危険な情報があったらアラートを出す。これは大事な二本柱、情報収集、分析の二本柱だというふうに思うんですけれども、そういう中において、外務省の果たす役割について大臣から御答弁をいただきたいと思います。 【岸田国務大臣】
邦人の安全に関する情報収集に当たっては、今御指摘がありました防衛駐在官、軍関係機関の関係者の中での情報共有、これもまた大変重要でありますが、御指摘のように、それ以外のさまざまなルート、政府関係者、治安機関、さらには情報機関、こういった関係者との情報共有、これも重要でありますし、さらに、各国の外交団の間の情報共有、あるいは警備関係団体、現地有識者、さらには公開情報などを通じての情報収集、これも極めて重要なルートであると思っています。
こうしたさまざまな情報源あるいは媒体を通じて、邦人の安全に必要な治安、テロ情報について適切に情報収集を行う、在外公館においては、外交官においては、そういった取り組みが重要だと考えます。
【長島委員】先ほど私は、防衛駐在官が武装して大使館や大使公邸を守っているわけではない、そういうふうに考えているのはちょっと誤解だということを申し上げたんですけれども、それでは、大臣、在外公館や公邸を物理的に守っているのは誰でしょうか。 【岸田国務大臣】在外公館を守るためにしっかりとした責任を担わなければならないのは、まずは在外公館そのものであると思っています。 公館の出入り管理の厳格化ですとか緊急時の対応要領の再確認、あるいは任国治安当局への警備強化の要請ですとか治安関連情報の入手、さらには速やかな報告、こういったさまざまな取り組みを行うのが在外公館の役割であると認識をしています。 【長島委員】いや、大臣、在外公館の役割は先ほどの御答弁でよくわかっているんですが、在外公館や大使公邸などを物理的に守っているのは誰ですか。 【岸田国務大臣】物理的に守っているのは誰なのか。これは、基本的には、任国、現地の政府のさまざまな警備、治安組織であると認識をいたします。 【長島委員】政府の機関だけですか。 【上月政府参考人】具体的に、警備はどういうふうに守られているかについて御説明いたします。 まず、大使館の中には警備対策官という人がおります。もともとこの人たちは、外務省のプロパーの職員もおれば、日本の公安機関から助けをかりて、あるいは日本の警備会社から一時雇用しているような人たちのグループがございます。それで、その中にさらに警備専門員という形でもって雇用している人たちもいるというのが一つのグループです。 二つ目のグループは、今度は現地における警備員の雇用というのをしております。現地の人たちを謝金警備員という形で、謝金で守ってもらう、このグループがその次のグループでございます。 その上で、ウィーン外交官条約上は任国の大使館及び大使館施設を守るのはその任国の責任になりますので、その任国政府から治安当局者が来て、一番周りのところで警官が守っている。 こういう二重三重の警備体制になっているということで、今申し上げた三層が主に大使館を守っている人たちでございます。 【長島委員】
ですから、主要国は、アメリカみたいに海兵隊員がガードしているところももちろんありますけれども、基本的には現地の警備会社と契約を結んで、そこで警備員を派遣してもらってガードしてもらう、こういうことですから、これはやはり予算が非常に大事なんですね。きちっと予算をつけてあげないと、そういう質の高い警備会社と契約をして、安全確保の実を上げる、実効性を上げるということはなかなか難しいわけであります。
そういう中で、私は、在外公館というのは、在留邦人にとってはもう本当に命綱といいますか、最後のとりでというか、何か起こったときに逃げ込む対象でもありますし、アルジェリアの事案の後、陸上輸送で邦人救出をするということが法的にできるようになりましたけれども、しかし、そういうときにも、邦人に集まってもらう、これはやはり在外公館に、広場に集まってもらって、そこに輸送部隊を投入する、こういう形になるんだろうというふうに思うんです。そういう意味では非常に大事だと思うんです。
【岸田国務大臣】一連のテロ事件を受けまして、改めて私の方から指示を出し、対応を行いました。 具体的には、現地の要請に応じまして、中東、アフリカ、欧米等の公館への警備員等の臨時増員配置、あるいは警備用の設備、機材の追加設置、こういったものを実施いたしました。具体的な内容については控えなければいけませんが、イメージとしまして、警官や警備員等の増員に関しましては、約百名の増員の配置を実施しております。 【長島委員】
確かに、これは警備上の秘密にかかわる話ですから、詳しく御答弁はいただけないと思っておりましたが、それでも今、実数は百名、こういうことをおっしゃっていただきましたので、非常に意を強くしたところであります。
繰り返し申し上げますが、在外公館は在外邦人にとっては最後のとりででもありますので、この警備体制強化にしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
【岸田国務大臣】安保法制の法整備につきましては、今、内閣としてこの検討作業を続けていると承知をしております。作業の進みぐあい等、具体的な提出時期については、まだ内閣として明らかにしたことはなかったと思います。できるだけ早い提出に向けて、今作業が進んでいるものと承知をしています。 【長島委員】きのう、自民党の佐藤国対委員長が、大体五月の中旬ごろだと。つまり、連休明け。大体皆さんはそう予測しているんですね。それよりスピードアップできそうな情勢なんでしょうか。 【岸田国務大臣】御案内のとおり、安保法制の整備につきましては、各省、関係省庁が協力しながら、内閣全体として取り組んでおります。全体の作業の進捗状況、その具体的な進捗状況まで、ちょっと外務大臣として今承知をしてはおりません。 引き続き精力的に作業を進め、一日も早い提出に向けて努力をしたいと考えます。 【長島委員】私が仄聞しているところによると、相当大変だ、土日もない、連休もないと。本当にかわいそうだなと思うんですけれども、事務方の皆さん。 となりますと、その前に、つまり提出の前に恐らく総理がワシントンに行かれることになるんだろうというふうに思います。これはもう日米両政府から発表されていますが、四月の二十八日が日米首脳会談、こういうことです。 ここでちょっと踏み込んで伺いたいんですが、もしかすると、その前に日米の間でガイドラインの改定の合意がなされて、それを受けて総理がワシントンに行かれるような日程感という情報もあるんですが、外務大臣としてはどのような見通しを持っておられるんでしょうか。 【岸田国務大臣】ガイドラインにつきましては、日米間において、たしか中間報告が行われまして、ことしの前半をめどに見直しの作業を進めていくということで一致をしていたと承知をしております。そうした合意に基づいて、引き続き作業が続いているものと承知をいたします。 【長島委員】改めて指摘させていただきたいと思いますが、やはり安保法制が完成しないと、自衛隊がきちっと行動する、その自衛隊の行動、できるかできないかということも含めて、定まらないんですね。 私は、再三申し上げているとおり、そういう担保をきちっと確立した上で、米側と、日本とアメリカとの間の新しい役割、任務分担を議論した方が実効性のある議論になるのではないか、こういうことを思っておりますので、先日、自民党の三ッ矢筆頭理事の方からも同様の発言がありましたが、やはり、与党協議だけで、法案もできていないのに、見切り発車してガイドラインの改定の合意をしてしまうことのないように、外務大臣として、ぜひ国会を重視した形でリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 【岸田国務大臣】ガイドラインの見直しと、そして安保法制の整備につきましては、先ほど来申し上げているように、それから先日来答弁させていただいておりますように、前後関係について何ら決まっているものはありません。しかしながら、政府としまして、この両者の整合性をしっかり確保しなければならない、こうした点につきましては、重要であると考え、努力をしていかなければならないと考えております。 いずれにしましても、見直しが行われるガイドラインにつきましては、我が国の憲法あるいは法令に従うことは当然のことでありますし、ガイドラインの見直しを行ったとしても、その見直しは、我が国政府に対しまして、立法上あるいは予算上、さらには行政上の措置を義務づけたり、法的な権利や義務を生じさせる、こういったものではないと考えております。 こうした整合性はしっかりと大事にしながら、引き続き作業を進めていきたいと考えます。 【長島委員】さて、この新しいガイドライン、ガイドラインの改定、これは十八年ぶりの改定となります。 それでは、お伺いしたいと思いますが、今回、ガイドラインを改定する目的、意義はどこにあるんでしょうか。 【岸田国務大臣】前回のガイドライン策定から今日まで、安全保障環境は大きく変化をしています。例えば、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威の存在、ますます大きなものになっています。また、中国の不透明な軍事力の近代化、急速に拡大、活発化する海洋進出、これは地域や国際社会の懸念事項となっています。さらには、サイバーあるいは宇宙空間といった新たな安全保障の課題も発生しています。 ガイドラインについては、このような認識のもとに、平成二十五年十月の2プラス2共同発表において、紛争を抑止し、平和と安全を促進する上で日米同盟が引き続き不可欠な役割を果たすことを確保するため、これを見直すことについて日米間で合意したものであると認識をしております。中間報告におきまして、この方向性につきまして、日米間で共通認識を確認しています。 こうした議論を踏まえて、引き続き作業を進めていかなければならないと考えております。 【長島委員】
十八年ぶりの改定、いろいろな思いが私もあります。
やはり、前回は、九三年の北朝鮮核危機の後、九三年、九四年の核危機のときに、当時も連立政権でしたけれども、米側が対応するときに、日本側は何ができるんだ、どういうサポートができるんだと。一説には、一千項目ぐらいの要望事項があったけれども、ほとんど何も応えられなかったと。これで本当に同盟はもつのかというところがスタートになって、どちらかというと、米側から、こういうことができないかと持ちかけられて、米側の要望に応えるようなガイドラインのつくり方だったというふうに私は記憶しています。
ぜひ、今回は、日本が主体的に戦略を練って、日本の主体的な行動を支えるようなガイドラインを外務大臣のリーダーシップでつくっていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
【岸田国務大臣】御指摘の点は大変重要なポイントではあるとは思います。 ただ、具体的にどう対応できるかということにつきましては、具体的な法律ができなければなりません。今、政府としまして、安保法制、国会提出に向けて作業を続けているところであります。ぜひ、引き続き与党ともしっかり協議を続けながら、作業を急ぎたいと考えます。 【長島委員】まさに今外務大臣がおっしゃったように、法律ができないと、これができるかできないかわからないんですよ。ですから、ガイドラインの積み残しのこういう制約も、アメリカとの交渉の中で一体クリアできるかどうかということはわからないんですよ、まだ。そういう中で、アメリカと何の合意をするのかと私は不思議でたまらない。 ですから、法律をきちっとつくって、これとこれはできる、これはさすがにできない、できることとできないことを明らかにしてやはり米側との交渉に臨むのが、恐らく事務方の方も交渉しやすいと思いますよ。 その点、もう一度くぎを刺させていただいて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 |
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