長島フォーラム21

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国会質疑

2015年5月28日

【会議録】我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会

【浜田委員長】

次に、長島昭久君。

【長島委員】

おはようございます。民主党の長島昭久です。 戦後最大の安保法制の大改革、こういうことでございまして、安全保障を専門にやろうと私も志してまいりましたので、感慨深いものもございます。ただ、やはり法案の中身はきちっと審議をしていかなければならない、こういう姿勢で質疑をさせていただきたいというふうに思います。 先ほど、冒頭総理から少しお話がありましたけれども、きのうの総理の御答弁はやはり少し長かった、かなり長かった。これから野党の質問が始まりますので、恐らく総理はついつい長目の答弁になろうかと思いますけれども、総理がフィリバスターをやっちゃいけませんので、フィリバスターというのは野党の抵抗手段でありまして、きのうも委員長から九回も注意をされたということがございますので、しっかり簡潔に答弁をしていただきたいと思います。
まず最初に、国家安全保障の要諦とは何か、総理の御所見を承りたいと思います。 それでは、質問に移りたいというふうに思います。

【安倍内閣総理大臣】

国家安全保障の要諦とは、これは紛争等を未然に防ぐことであります。 未然に防ぐとは、まずは外交努力によって未然に防ぐ努力をしていく。そうした紛争に日本が巻き込まれない、あるいは海外から武力攻撃が発生しないように、最大限の外交努力を行っていく必要があります。
そしてまた、同時に、自国のみならず、地域や世界が平和で安定していることも大切でありますから、多くの国々とともにそういう状況をつくっていく努力をしていくわけでありまして、私も、地球儀を俯瞰する外交を展開しながら、地域の平和と安定のために努力を続けているわけであります。 同時に、万が一への備えも怠ってはならないわけであります。備えを怠らないことによって、結果として紛争が起こらない、あるいは備えている実力を行使しなくても済むという状況をつくっていくわけでありまして、抑止力を高めることも国家安全保障の要諦の一つであろう、このように思うところでございます。

【長島委員】

 ありがとうございます。 私も、大体おおむね総理のおっしゃったことを首肯したいと思いますが、一言で言って、安全保障というのは、やり過ぎてもいけない、やらなさ過ぎてもだめなんですね。やり過ぎると、きのう長妻さんの方から問題提起があった、安全保障のジレンマに陥る、やらなさ過ぎても、相手からつけ込まれるすきをつくってしまう、そういうおそれがあるんですね。 脅威というのは、よく言われますけれども、意図と能力を掛け合わせたものです。きのう、総理は、安全保障のジレンマを避けるために、能力を透明化しておくことが大事だと。これは一つの見識だろうというふうに思います。それに加えて、私は、非常に大事なのは、相手の意図の部分を和らげること、これがやはり外交力だと思います。ですから、安全保障というのは、単に軍事的な防衛力を高めるだけではなくて、軍事力と外交力、そして政治力、こういったものを組み合わせた概念なんだろう、このように思います。
 そういう意味でいうと、きのうずっと聞いていましたが、どうしても野党の議論というのは、やり過ぎじゃないかというところを追及するわけです。そうすると、政府の側は、いやいや、これはそうでも、大したことありません、こういう防御をするわけです。そうすると、いつまでたっても、私は本質的な議論は深まらないと思うんです。 私たち追及する側も注意しなきゃいけないと思いますけれども、今、この安全保障環境の変化に対応して、我が国として何をやるべきなのか、何をやるべきでないのか、法律をつくって何ができるようになって、何が引き続き抑制的に臨まなければならないことになるのかということ、これをしっかり、はっきり、私は、国民の皆さんに理解をしていただくというのがこの質疑、この委員会の大変大事な使命だ、このように思っています。 その意味で、総理、各種の世論調査を見ても、必ずしも、この法案に対する国民の理解、支持、深まってもいないし、広まってもいないんですね。なぜだとお考えですか。

【安倍内閣総理大臣】

まだ、まさにこの委員会がスタートしたばかりであるということでもございますが、同時に、我が国の安全保障議論というのは、政策的な議論よりも、むしろ、憲法の解釈との関係、法律上の正当性についての議論が非常に多くなってくるわけでございまして、その点、これはなかなか議論としてわかりづらいのは確かであろうと思います。 つまり、法律上の整合性、正当性等々における議論、それとまた、法律論としての議論と政策判断としての議論がそれぞれあるわけでございますが、その中において、私どももわかりやすく議論を進めていきたい。政策的な必要性において我々はこういう法律をつくるんですよ、この法律をつくる上において、しかし、その法律が必要となっている安全保障環境はこういうふうに変わってくる中において、憲法の解釈を一部変えていますよという論理について、わかりやすく説明を繰り返していきたいと思います。

【長島委員】

 私は、率直に言って、総理、ちょっと手を広げ過ぎたんじゃないかと思うんですよ。 私、湾岸戦争以来ずっと、外務省の皆さん、防衛省の皆さん、頑張ってこられた経緯を多少存じ上げておりますから、気持ちはわかるんですけれども、湾岸戦争以来の宿題を安倍さんの支持が高いうちに一気にやってしまおう、そういうところがちょっと見受けられる。もう少し、本来喫緊に取り組むべき課題にフォーカスした総理の説明、あるいは法案の出し方をしないと、こんなにごった煮の、ごっちゃごちゃの法案を出されても、我々もなかなか議論しにくいし、国民の皆さんの理解は深まらないと思うんですね。 ちょっと、一つパネルを出していただきたい。 総理は繰り返しおっしゃっています、安全保障環境が変化した。大きく四つおっしゃっています。 一つは、東アジアにおけるパワーバランスが崩れている、崩れかけている、これに対して対応しなきゃいけない。もう一つは、北朝鮮のミサイル、何百発もある、日本に向けられている、核の開発も進んでいる。そして三番目は、最近、南シナ海で、世界的に懸念が広がっている中国による海洋進出。そして四番目に、テロ、国境を越えるテロやサイバーや宇宙空間の脅威。 こういう四つを総理はおっしゃっているんですけれども、二つに分けることができるんですね。 最初の三つ、最初の三つは、まさに総理がおっしゃっているように、日本とアメリカが共同の抑止力、拡大抑止力と言ってもいいかもしれません、日本は日本の国だけを守っているだけではもうだめなんですね、シーレーンも安全を確保していかなきゃいけない、周辺の事態にもきちっと適応できるようにしておかなきゃいけない、地域の安定をアメリカと一緒に高めていかなきゃいけない、こういうことを通じて、恐らく、一、二、三番目の変化には対応できると思うんです。
では、テロや宇宙やサイバーはどうか。 今回の法案で出されているのは、どこでも地球上で脅威が起こるから、後方支援がやりやすいようにしよう。でも、それは処方箋じゃないですよね。テロに対する抑止力にならないですよね。テロは別のやり方で封じ込めなきゃならない、そういう問題ですね。 ですから、これを、日本を中心とする、今皆さんがごらんになっている、世界の中でもホットスポットが集中しているエリアなんですよ、このアジア太平洋地域というのは。この地域における日本の貢献、存在感、こういうものをサポートするような法案なら、恐らく多くの野党の皆さんもこれは支持できる、そういう内容になると思うんです。それが、いきなりホルムズ海峡の話とか、あるいはイラク戦争がどうだとかアフガン戦争がどうだとか、こういう話になると、そこから先は国民はなかなかついていけなくなるんです。 もちろん、一国平和主義でいいとは思いません。それをやらなくて済むと申し上げるつもりはありません。しかし、ここはやはり、我が国の平和と安全に直結するのかしないのか、こういうところからもう少し法案をフォーカスしていく私は必要があろうかと思います。 そういう意味では、もう一回法案をつくり直した方が私はいいというふうに思うんですが、これは一回出されてしまいましたから、これを我々は審議するしかない。できる限り修正も求めていきたい、このように思いますので、ぜひ政府の皆さんは、その辺のところは広い視野でしっかり取り組んでいただきたい、このように思うんです。
 さてそこで、私たちは、こういう国際情勢、まさにホットスポットが集中する日本の周り、こういう情勢を踏まえて何をすべきか。一つは領域警備ですね。尖閣の問題を初めとして、日本の領域が侵されつつあるわけです。これにどう的確に対応するか。それから、国防ですね。日本の防衛、これも大事。そして、周辺で有事が起こったときにどう適切に対応するか、これも大事。そして、加えて言うならば、地域を安定化させるために日本とアメリカとの間でどういう協力関係を築いていくか、これがガイドラインを改めた、私は大きな目標なんだろうというふうに思っています。 さあ、そういう中で、きょうはメーンで私がお伺いしたいのは領域警備。今まで一度も、この委員会でもその話題は出てきませんでした。自由民主党が平成二十四年の総選挙の際に法制化を国民の皆さんにお約束をした、その法律です。この法制度を今回の十一本出ているこの法案の中に見つけることはできませんでした。私は、非常に残念に考えています。残念に思っています。 我々の民主党の案は、これから、後ほど詳しく説明をさせていただきたいと思いますが、端的に言って、現行法制度では領域警備に対する対応は不十分だ、このように考えています。解散のために廃案になりましたけれども、去年の暮れに、私どもは一度衆議院に法案を提出しておりますが、今国会で、できれば、下地さんを初めとして維新の党の皆さんの御理解をいただいて一緒に共同提案をしていきたい、このように思っております。 昨年の閣議決定、皆さんお手元の二ページ目を見ていただきたいと思いますが、昨年七月の閣議決定、こう書かれています。後半のところ、赤にしました。「治安出動や海上における警備行動を発令するための関連規定の適用関係についてあらかじめ十分に検討し、関係機関において共通の認識を確立しておくとともに、手続を経ている間に、不法行為による被害が拡大することがないよう、状況に応じた早期の下令や手続の迅速化のための方策について具体的に検討することとする。」。新しい法制度をつくろうということは書いてありません。 これは私、この文言、見覚えがあるなと思ったんです、この文言。法制度によらないで運用の改善で何とかしちゃおうという。
 もう一枚めくってください。 今から十四年前の十一月の閣議決定です、これは不審船についての閣議決定。一番目、「関係省庁は、日頃より連携を密にし、不審船に係る情報の収集、交換に努める」「不審船事案発生時の迅速な連絡体制及び対応体制を整備する。」二番目、「必要に応じて内閣総理大臣が主宰する関係閣僚会議を開催し、基本的対処方針その他の対処に係る重要事項について協議する。」三番目、「迅速な閣議手続」「電話等により各国務大臣の了解を得て閣議決定を行う。」どこかで聞いたことがある。 今回も、領域警備については、総理、政府は、電話閣議だけですね、決めたことは。あとは、十四年前からずっと言い続けている、この連絡体制の強化、関係省庁の相互連絡を密にする、これだけですよ。これで本当に足りるんでしょうか。 もう一枚めくってください。四ページ目。 これは、武力攻撃事態対処法の中に書かれている。第二十四条、緊急対処事態その他の緊急事態への対処のための措置、ここにも同じようなことが書かれているんです。緊急事態に的確かつ迅速に対処する、そして、次に掲げる措置その他の必要な措置を速やかに講ずる、最後の三番目、警察、海上保安庁と自衛隊の連携の強化。ずっと言ってきているんですよ。だけれども、体制は変わらないんです。 だから、もう一枚めくってください、総理が肝いりでつくった有識者懇談会、安全保障法制に関する懇談会、足かけ六年議論をずっとして、安全保障法制の見直しに関して現状の問題点を全部洗い出したその報告書。 六ページ目を見てください、一番最後の段落。るる説明した上で、「上記の例にもみられるように、武力攻撃に至らない侵害への対応について、現代の国際社会では、その必要性が高まってきており、各種の事態に応じた均衡のとれた実力の行使も含む切れ目のない対応を可能とする法制度について、国際法上許容される範囲で、その中で充実させていく必要がある。」法整備とはっきり言っているんです。「また、法整備にとどまらず、それに基づく自衛隊の運用や訓練も整備していかなければならない。」 総理、なぜ法制度を整備されなかったんでしょうか。

【安倍内閣総理大臣】

  安保法制懇においても種々議論をしていただきました。一つの考え方として、法制度をつくっていくという御提示をいただきました。 私も、官房副長官として三年、そしてまた官房長官として一年、そして総理大臣として三年半、官邸で仕事をしております。不審船のときも、不審船というか工作船のときにも、副長官として官邸におりました。 その際、いわば連絡が悪い、これは、海保とそして海上自衛隊との連絡、さらには警察との連携にやはり問題があったと私は認識をしておりまして、そしてその後の閣議決定につながっていくわけでございます。
 そこで、大切なことは何かということでありますが、私たちは今切れ目のない平和安全法制を進めているわけでございますが、切れ目のないということはどういうことかといえば、いわば警察力で対処していて、それが対処できないとなれば直ちに自衛隊が対処するということが一番大切であります。 不審船、工作船に対しても、彼らがああしたロケット弾等々の武器を持っているかわからないというときには、これは海保が対応していくわけでありますが、その段階でロケット砲を持っていれば、これは海保の船では対処できないとなれば、直ちに自衛艦が対応する。それが縦割りになっていて連携できないようではならない。速やかな判断、閣議決定が速やかにできれば私は問題ないと考え、種々議論した結果、今回、あらかじめしっかりと海保もそして自衛隊も連携をとっている。あらかじめ連携をとっていて、どのように……(発言する者あり) 大切なことですからよく聞いてくださいよ。ここは連携をとりながら、確実に総理が判断し、閣議で決断ができるということがとても私は大切なんだろう。 そこで、もう一つ、皆さんの出されている法律には、あらかじめ、いわば自衛隊が警察権を海保にかわって持って併存するという形においては、ミリタリー対ミリタリーの衝突が直ちに起こってしまうという危険性があるわけでありまして、あくまでも、相手がいわば海上保安庁に対応する組織であれば海上保安庁が出ていく、そしてそれが無理であれば自衛隊がかわって出ていく、この速やかなスイッチが可能になるということが大切だろう、このように思います。

【長島委員】

  総理、大事なことをおっしゃっているんですよ。だけれども、最後、速やかなスイッチ、これができないんです。総理、認識がちょっと甘いと思います。これからそこを少し詰めていきたいというふうに思います。 日本は海洋国家です、海洋国家。国土面積は三十八万平方キロ、これは世界で第六十一番目。しかし、ここで見ていただくように、日本が経済的な主権的権利を行使することのできるEEZ、排他的経済水域は四百四十七万平方キロ。これは世界で六番目です、広さとしては。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ロシア、ニュージーランドに次いで六番目。しかも、日本海溝とか深いところがありますから、体積でいったら世界で四番目の海域、海を日本は管理しているわけであります。一番最南端の沖ノ鳥島まで一千七百四十キロ、東京からございます。我が国は六千八百五十二の島から成り立っている。 ですから、明らかに、警備上手薄になってしまう場所は幾らでもあるんです、幾らでもある。これが前提です。そのことを再認識させられたのが、昨年の秋の小笠原諸島における中国の密漁漁船によるアカサンゴの乱獲というか、もう強奪ですよ、これがありました。
 ピーク時、十月三十日、小笠原海域に最大二百十二隻の中国漁船団が押し寄せました。漁船一隻に大体十人乗っているといいますから、二千人以上の規模に達していたんですよ、一時。父島の人口を上回る規模だ。 私、当時の新聞記事を持ってまいりました。「密漁船 身構える小笠原」、上陸なら乗っ取られる、島を。密漁するぐらいなので、上陸して犯罪に手を染めないか心配だ。これは住民の声。上陸されれば、島もあっという間に乗っ取られる。あるいは、漁民の方、漁師の方、海が乗っ取られるんじゃないかとみんなで思っている。政府は領海を守る断固たる構えで中国側に対処してほしい。もう震撼したわけですよ。 では、当時の小笠原諸島の警備体制がどんなものだったのか。まず警察から、国家公安委員長、お願いいたします。

【山谷国務大臣】

  警察では、昨年、小笠原諸島周辺に相当数の中国漁船が確認されたことから、十月三十一日から本年二月五日までの間、小笠原警察署に所要の部隊を特別派遣したほか、二月二日付で小笠原警察署の定員を増員するなどしております。 また、警視庁では、同様の事案が再び発生した場合に速やかに対応できるように必要な要員を指定して体制を整えているほか、緊急時には、海上保安庁の協力を得て、航空機で応援要員を派遣することとしております。 また、六月二日には、第三管区海上保安部等の関係機関と連携して、小笠原諸島周辺海域における外国漁船を想定した合同訓練を実施することとしているところでございます。

【長島委員】

  今、国家公安委員長、速やかにとおっしゃいました。もちろん速やかにやっていただかなきゃならぬのですけれども、これは、最初押し寄せてきたとき、父島、母島におられる住民は二千五百人、警察官は十七名だったわけですよ。対応できないですよ。少し増員して二十八名までされたんですか。しかも、増員部隊、空港がないんですよ、空港が。だから、東京から二十六時間もかけてようやく現地に到着するんですよ。しかも、しけになれば増派は不可能なんですよ。 こういう状況の中で、メーンは海上保安庁。きょうは海上保安庁佐藤長官、お見えだと思います。現役制服組で初めての長官ということで、本当に頑張っていただきたいと思いますが、海上保安庁の当時の体制はどうだったんでしょうか。それから対応、御説明いただけますか。 国家公安委員長はもう結構です、帰って結構です。

【浜田委員長】

 どうぞ。

【佐藤政府参考人】

 お答えします。 昨年の九月中旬以降、小笠原諸島周辺海域におきまして、中国サンゴ漁船と見られる外国漁船を確認いたしました。この取り締まりに当たりまして、小笠原周辺海域が本州から約千キロメートルの遠方にあり、かつ領海の面積は約八千平方キロメートルと広大であるため、対応できる巡視船、航空機が限定されること、現地で燃料補給ができないことなどが課題でございました。
こうした課題を踏まえ、全国規模での運用調整を行い、広大な現場海域に大型巡視船や航空機を集中的に投入した特別な態勢を整え、水産庁や東京都とも連携して中国サンゴ漁船の取り締まりを行ってきたところでございます。 こうした取り締まりの結果、小笠原諸島周辺海域の領海内で、中国サンゴ漁船と見られる外国漁船は、昨年十一月下旬以降ほぼ確認されなくなりました。その後、一月二十二日を最後に確認しておりませんが、引き続き、警戒を緩めることなく、水産庁や東京都などの関係機関と連携して対応してまいります。

【長島委員】

海上保安庁は、洋上補給能力というのはないんですよね。父島に二見港というのがありますけれども、給油施設はないんですね。非常にオペレーションを進めていく上で制約があるんです。これが離島の現実です。 防衛省・自衛隊は、何かサポートを当時考えておられなかったんでしょうか。

【中谷国務大臣】

第一義的には警察また海上保安庁が対応しておりまして、今回の場合は、その方からの要請というものはございませんでした。

【長島委員】

  輸送とか、あるいはUS2という飛行艇も防衛省は持っているわけですよね。ですから、協力しようと思ったらできるんですよ。能力はあるんです、それがつながらないところが問題なんです。 官房長官、きょうお見えいただいておりますので、今回のこの小笠原の事案で、いろいろな、もちろん警備上の課題も見えてきたんだろうと思います。官邸では、関係省庁を集めて、この小笠原の問題について検証したり、そして今後の対応をこうしていこうとお決めになったりされたんでしょうか。

【菅国務大臣】

  この中国サンゴ漁船が確認された後に、官邸に関係省庁連絡会議を設置しました。その結果として、現場海域はとにかく遠方である、広い、さらに、確認された中国のサンゴ漁船が多数である、さらに、違法操業等に係る罰金の上限額が極めて低かった、そういうことでありましたので、関係省庁連携のもとに対応を検討しました。 そして、緊急的な措置として、水産庁、海上保安庁、警察庁等が連携をして、現場海域に巡視船、航空機等を集中的に投入し、特別な態勢をとって厳正な取り締まりを実施しました。
 それと同時に、先ほど委員からも指摘がありましたけれども、外交ルートを通じて累次にわたって中国側へ強く申し入れを実施しました。 さらに、与野党の皆さん、連携をいただいて、議員立法を早急に成立させていただいて、罰金の上限を最大三千万円まで引き上げることができました。 その結果として今おさまっているところでありますけれども、こうした一連の検証を踏まえて、ことしの六月二日に警視庁、海上保安庁、水産庁の関係機関が参加して合同訓練を行うことにしております。

【長島委員】

  二点申し上げたいと思います。 検証されたということなので、私はそれはそれで多としたいと思いますが、今おっしゃっていただいたものは全部事後的な措置なんですよ。事前にこれを抑止することは不可能なんでしょうか。 例えば、中国からえっちらおっちら漁船が来るわけでしょう。南西諸島の海域を通過してくるわけですよ。早期警戒情報があれば、それを途中で阻止することも可能だと私は思うんですね。そういう手だてをやはり講じる必要が出てきている。現場に来て、輸送も補給もままならないようなところで海上保安庁を中心にオペレーションをしたって、対応はたかが知れていますよ。それよりも、それを未然に防ぐこと。 しかも、今回は単なる密漁、密漁だって重大犯罪ですけれども、単なる密漁だったからよかったですけれども、今南シナ海で出没しているような武装漁民みたいなケースだったら大変なことになっていたんですよ。まさに領域警備、国防の問題だと、私は、ぜひ政府には認識をして、今後対応をしていただきたい。 もう官房長官は結構です。
 さて、総理、今見てきたように、領域警備というのは、一義的に、先ほど大臣もおっしゃったように一義的には警察機関。だから、小笠原の事例でも、おい、自衛隊は何をやっているんだという声もありましたが、それは、我が国の法制度のもとでは、まず警察機関が対応する。その対応が不可能か、もしくは著しく困難という場合に、自衛隊の、海上であれば海上警備行動、あるいは治安出動、陸上であれば治安出動、こういう発令を受けて、自衛隊が警察機関と協力をして対処する、こういう枠組みです。 問題は、さっきまさに総理がおっしゃった、スムーズな移行ができるかどうかなんです。総理がさっき言われたように、電話による閣議決定のように、発令までの時間的なすき間。 これは、私どもで考えた法案が下です。そして、上が現行の状況です。 見ていただいてわかるように、一、下令までの時間のすき間がある。つまり、警察、海上保安庁で対処しているんだけれども、これがもう著しく困難になったというときには自衛隊が出てくるようになっているわけです。しかし、そこには、一々閣議決定したり何だり手続上のプロセスがありますから、時間的なすき間、これは恐らく今回の閣議決定によって縮まるんだろうと思います、完璧に縮まるとは思いません。 しかし、問題は、権限と、武器の使用を含んだ対処行動の移行のすき間があるんですね。これは二と三です。これをどうやって埋めていくかというのがこの問題の本質なんです。
 例えば自衛隊の治安出動、防衛大臣、事態がエスカレートして一般の警察力ではもう持ちこたえられない、それを超える事態が発生した、自衛隊部隊が実際に動き出すまでにどんな手続が必要でしょうか。どのようなプロセスが必要でしょうか、治安出動の際の手続。

【中谷国務大臣】

  自衛隊といたしましては、治安出動等の命令を受けて、警察機関と緊密に連携して対処するということでございます。 ただし、治安出動等の発令を受けていないときであっても、平素から、自衛隊が行うことのできる活動の範囲内で関係省庁との連携等を行うことは可能でありますし、例えば、警察の部隊の移送支援や、海上保安庁と連携した我が国周辺海域における警戒監視を行うこともできます。 防衛省といたしましても、関係省庁との連携を図りながら、我が国の防衛警備体制に間隙を生じさせないような体制をとって臨んでまいっております。

【長島委員】

  いやいや、私が聞いたのは、治安出動が発令されるまでにどんな手続が必要ですかということを聞いたんですが、もう随分先の方までお答えになったんですが。 まず事態認定が必要なんですよ、発生したという。そしてその後閣議決定が行われて、そしてようやく防衛大臣が治安出動待機命令を発令するんですよ。この時間的なすき間をどうするかというのが一つの問題。
 しかし、もっと問題なのは、今るる、大臣、事前にできますよみたいな説明をされましたけれども、治安出動あるいは海上警備行動が発令される前に自衛隊が準備的に活動、行動することは著しく制限されているんです、今の法制度は。ここが問題なんです。ここが、対処行動の移行がスムーズにいくかどうかの分かれ目なんです。 では、もう一回防衛大臣に伺います。 特に陸上の場合が問題なんです。陸上自衛隊の場合、治安出動が発令される前の部隊行動には制約があると私は申し上げましたが、事前準備としてどんなことが行われますか、具体的にお答えください。さっきのじゃだめですよ、さっきの答弁じゃ。

【中谷国務大臣】

現在の自衛隊法によりますと、自衛隊法第七十九条の二に規定する治安出動下令前に行う情報収集、これの発令を受けて、武器を携行して情報収集を行うことができます。
また、自衛隊の施設または在日米軍の施設の区域に対しては、大規模なテロが行われるおそれがあり、かつ、その被害を防止するための特別な必要があると認める場合には、自衛隊は、自衛隊法八十一条二に規定する警護出動の発令を受けて、自衛隊の施設また在日米軍施設に警護ができる、こういう規定がございます。

【長島委員】

  今、治安出動下令前の情報収集の話をされました。武器を携行してとおっしゃいました。しかし、これは部隊行動できるんですか。基本的には情報収集でしょう。
例えば、ゲリラやコマンドみたいなのが入ってきて原発の施設を襲っている、機動隊では持ちこたえられない。その前の段階で下令前の情報収集をしているかもしれませんけれども、事態が急変したときに、自衛隊はその後直ちにそれに対応できますか。できますか、相手の火力が大きいときに。武器を携行していると言っていましたけれども、それで、部隊行動になっていない、そういう状況の中で、いきなり機動隊から頼むと言われて、スムーズにできますか。

【中谷国務大臣】

 現在、官邸のもとに事態対処の部署等がありまして、情報を共有することによって、こういった事態に、防衛省に速やかに指示が行われるような体制ができていると思います。(発言する者あり)

【長島委員】

そうなんですよ。それじゃ本当に、防衛大臣、間に合わない。 問題なことは、治安出動とかあるいは防衛出動が下令される前は、武装して、装備を持って自衛隊は駐屯地から出られないんですよ。これが今の、現行法の規定なんですよ。
 ですから、もうマックスで対応している機動隊と情報収集で来ている自衛隊との間には、もう天と地ほどの差の、対処能力の上で天と地ほどの差があるわけですよ。ですから、そのまま渡されても対応できないんですよ。これが実態。 警護出動の話をされました。警護出動は、確かに事前展開できるんですよ。しかし、対象地域は限られていますよね。自衛隊施設や在日米軍の施設だけですよね。原発施設とか他の重要施設は、これは対象になっていないですよね。 これを法のすき間というんじゃないんでしょうか。防衛大臣、お答えください。

【中谷国務大臣】

今回、この点も検討はいたしました。 御指摘のケース等に対しては、まず、平素から自衛隊や警察などの関係機関がおのおのの対応能力を向上させる、また、情報の共有を含む連携を強化して、早期に事態を把握するように努めることといたしております。
 加えて、五月十四日に、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するために、治安出動等の命令に係る手続の迅速化のための閣議決定、これを行いました。これによって、自衛隊は、武力攻撃に至らない侵害に対して、状況の推移に応じて、治安出動命令等の下令を受けて、警察機関と迅速に連携して対応することができるということになっております。

【長島委員】

  これは皆さんももうお気づきになっていると思いますし、テレビをごらんになっている皆さんもおわかりだと思いますが、閣議決定のタイミングを早めても、今私がるる申し上げた自衛隊法上の制約は取っ払われていませんので、適時適切に自衛隊は対応できないんですよ。これが致命的な欠陥なんです、現行法制度の。総理、これは本当に深刻に認識していただきたい。 そこで、私たちは、対案を今国会に提出したいと思って、これは下を見てください。
 これは、現行法制度の制約を乗り越えるために私たちは一つアイデアをつくりまして、こういう離島とか平素の警備体制が手薄になりそうな、あるいは日本にとって非常に極めて重要な、そういう地域については、あらかじめ、これは閣議決定と国会の承認を得て、領域警備区域というものを定めるんです。この領域警備区域の中では、閣議決定を省略して、場合によっては、必要であれば治安出動、海上警備行動を発令することができるようにしたんです。 しかも、警察が一義的に対応しています。この一義的に対応している警察機関が事態対処をしている間にも、その近傍まで行って、手は出しません、手は出しませんが、近傍まで行って情報収集活動をやる、あるいは、不法行為があればそれに対して対処する、そういう領域警備行動という、これはまさに事前展開です。
 先ほど、自衛隊法で大臣が制約があるとお認めになったこの部分を補うような手だてを講じて、そして、いざ海上保安庁やあるいは警察機関から、もうこれで持ちこたえられない、自衛隊出てきてほしいといったときには適時適切に現場に出ていけるような、そういう法的な枠組み、しかも、当然のことながら、NSCを中心として常時連絡会議を行って、関係省庁の連絡体制を整えていく、これを法律にしっかり書かせていただいた、こういうことであります。 総理、これは、総理のお出しになった十一本の法案もいいですけれども、この領域警備法案、与野党で少し真剣に考えていただく、そういうおつもりはありませんか。

【安倍内閣総理大臣】

  さきの国会で法案を出されて廃案になったというふうに承知をしておりますので、ただ、これは実際に提出をされていないわけでございますので、コメントは基本的には差し控えさせていただきたいと思います。 先ほど来御説明をしているとおり、我々も相当の議論をしてまいりました、果たして法令が必要であるかどうか。法令が必要であれば、これは、まさに切れ目のない対応を可能とする今回の法制の中に入れているわけでありますが、我々も経験を重ねてきました、私自身もそうでありますが、要は、切れ目のない判断ができて、警察力で対応できないときに、警察や海上保安庁では対応できないときに直ちに海自等が対応できるように、なるべくスムーズにしていくということで、今度はかなりの迅速化ができるわけであります。 確かに、先ほどおっしゃったように、治安出動については、安保会議そして閣議決定がございますが、これはそれぞれ電話で行うわけでございます。もちろんその際には、本当に警察力が足りないかどうか、これがかなりのポイントになるわけであります。ここは、まさに新しくつくったNSCもございます、そこで、本当に警察力で足りないのかどうかという判断抜きに、いきなり一足飛びにはもちろんいけないのは当然のことであって、これは長島委員もそうだろうと思います。
 ただ、今お伺いをしていて、区域を決めて、この区域は警察力が足りないんですよという区域を法律で決めるということは、これは、国際社会に対してここはそういう地域ですよと言うことになるという問題点もはらんでいるわけでございます。 それと同時に、今私どもは、そういう中において、発令手続の迅速化と、それぞれの場合において、内閣官房を含む関係省庁が事案発生前においても連絡を密にして、訓練等を通じた対処能力の向上等を図ることについても規定しているわけでありますし、また、現在、海保、自衛隊の間で不審船対処に係る共同訓練も実施をしておりますし、警察と自衛隊の間では、治安出動命令が発令される事態を想定した共同訓練の実施を重ねてきている……(発言する者あり) ここがポイントなんですよ。今まではそういうことが余りなされていませんでしたから、スムーズな対応ができなかった。まさに、なぜスムーズな対応ができるかということの具体的なことを今私はお話をしているわけでありまして、このことを話さなければ、このことを話さなければ、なぜ我々は法制をしなかったということが理解されないと思うから今お話をさせていただいているわけであります。 ラス、公船が接続水域あるいは領海に侵入するような事案、これは海警行動でございますが、そういう事案が発生するようなときには、適時適切に海自が、これははっきりと申し上げることは控えさせていただきたいと思いますが、適時適切に配備されるような対応をとっているということでございます。

【長島委員】

  総理、経験とか、少しは迅速化したとか、かなり迅速化したとか、そういう形容詞の問題ではないんです。問題なのは、権限の問題なんです、権限の問題。 今、海のお話をされました。海と空というのは、部隊が動くときには装備も全部ついているから、これは意外とスムーズなんですよ。問題は陸なんです、陸。大臣が出身になっておられる陸なんですよ。陸の警察と陸上自衛隊、この権限のスムーズな移行が図られなかったらこの問題は解決しないんです。法律でやらなきゃいけないと私は思います。総理に御理解いただけなかったのは大変残念です。 これは、役所の権限争いなんです、実を言うと。
 高村副総裁はおもしろいことを言っているんですよ。これは去年の七月八日、閣議決定の後の読売新聞。「七月三日、自民党大島派の勉強会で、法整備が見送られたことが話題となった。」これは領域警備法の。「法整備が見送られたことが話題となった。 与党協議の座長を務めた高村正彦自民党副総裁は、「これは、軍と警察の百年戦争だ。今回の整理で五十年ぐらいに縮まったが、これ以上突っ込んだら大変なことになる」と語り、両者の調整が困難であることを率直に認めた。」(発言する者あり)うまいことを言うんですよ。 これは、総理、副総裁だからこれでいいと思いますが、総理大臣はこれじゃ済まされないと私は思います。ぜひ、総理大臣のリーダーシップを発揮していただいて、法案に対する態度も、ぜひ積極的な、肯定的な姿勢を示していただきたいと思います。 時間がもうないんですが、先ほど総理がお触れになられたので、政府公船への対処、これは実は悩ましい問題なんです。最後に残る課題なんです、これが。領海内における政府公船への対処、これは尖閣諸島ではいつ起こってもおかしくない、そういう事態です。
 現在、尖閣諸島の情勢、これをちょっと長官にお伺いしようかと思ったんですが、もう時間がないので。 今、南シナ海の話題でもうヘッドラインは埋め尽くされていますが、尖閣周辺も、相変わらず、接続水域への侵入あるいは領海侵犯、年間で二百回のペースでずっと続いています。まさに危機と背中合わせ。常態化しているんです。尖閣に対する中国の意思は明白だと私は思っています。 そこで、海上保安庁長官に伺います。 外国の公船が、公船ですよ、公船。外国の公船が我が国の離島に向かって突進してきた。海上保安庁による警告を振り切って領海に侵入し、上陸を試みた。海上保安庁としては、どうやって上陸を阻止しますか。

【佐藤政府参考人】

  委員御指摘のような事例におきまして、領海に侵入した外国公船に対してどのような措置が行えるかは、個別具体のケースに即して総合的に判断すべきであり、一概に申し上げることは困難でございます。
ただし、一般論で申し上げれば、国際法上、公船は他国の管轄権から免除されているものの、外国公船が体当たりなどを行い、我が国船舶に危害を及ぼすような場合には、その行為を排除するために必要最小限の行使をしてこれに対処することは認められていると承知しております。

【長島委員】

 今、免除権の話をされました。外国公船というのは、国際法上、執行権を免除されている、こういうことであります。 これは外務大臣に伺いたいんですけれども、国連海洋法条約二十五条、「沿岸国の保護権」これが規定されています。「沿岸国は、無害でない通航を防止するため、」こちらが警告しても領海にどんどん入ってくる、これは無害でない通航ですね。これを防止するため、皆さんのお手元、最後のページ、十ページに資料がありますけれども、「自国の領海内において必要な措置をとることができる。」
つまり、領域保全という重大な法益を守るために必要な措置がとれる、こう言うんですが、外務大臣、これはどういう措置まで許されているんでしょうか。

【岸田国務大臣】

 御指摘の「必要な措置」の部分だけ端的にお答えいたしますが、必要な措置をとる場合、そのような措置は、当該外国公船の有する免除を侵害しない範囲で、かつ、当該外国公船による侵害行為との比例性が確保されたものでなければならない、このように解されております。
どのような行為が許されるのかということについては、今の原則に基づいて、個別具体的な状況に応じて判断されるものだと考えます。

【長島委員】

  長官にお伺いします、海保庁長官にお伺いしたいんですが、もう少し具体的なイメージが湧くような御答弁をいただけないですか。 例えば強制接舷とか放水とか。進路規制とかそういうのができるのは私もわかっています。それを超えてさらにやってきたときに、強制接舷あるいは放水、もっと言えば立入検査、逮捕、警告射撃、ここまでいくのはどうでしょう。

【佐藤政府参考人】

 先ほど御答弁しましたが、やはり中国の公船の態様に応じてその比例性というものを確保していく必要がございます。
したがって、例えば相手が放水をしたりした場合には当然こちらも放水しますし、相手が進路を妨害するような行為に出た場合には、それと同じような行為を我々は行うことになるのではないかと思っておりますが、ただ、いろいろな、個別具体的なケースというのはさまざまでございますので、なかなか一概に申し上げることは困難でございます。

【長島委員】

 今、盛んに国連海洋法条約の免除権、三十二条、ここに外務大臣も海保庁長官も配意されていると思うんですが、この三十二条の立法趣旨は何でしょうか。 政府公船に対する執行管轄権の免除というのは、不法行為を働くような船にも適用されるんでしょうか。ここをお答えいただけますか。

【岸田国務大臣】

まず、基本的に、国際法上、領海には沿岸国の主権が及びます。そして、その中で、公船については、国際法上、一般に、他国の領海においても旗国以外の国の管轄権から免除を有しているという原則があり、その上で御指摘の国連海洋法条約があり、そして二十五条一によって、「沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国の領海内において必要な措置をとることができる。」このように規定されています。そして、この規定が外国公船にも適用される、こういった全体の仕掛けになっています。 そういった趣旨で、国連海洋法条約が規定されていると理解しております。

【長島委員】

 総理、これを最後に聞いてください。こういう答弁が以前あるんですよ。 平成十四年の四月四日、安全保障委員会議事録。外国公船を主張しながらもあえて不法行為をしてくる、現実に我が国の国民の生命財産に、あるいは秩序に危害を及ぼすような、そういう行動をとっている場合に、これは、国際条約に基づく政府公船としての免除を享有するかどうか、これはまた別の問題だ。こういう答弁もあるんですよ、政府で。
 ですから、確かに国連海洋法条約の免除権は大事、しかし、それと同時に、我が国、沿岸国の保護権というのが大事なんですよ。領域というのはきちっと守らなきゃいけないんだ、守り抜かないと。そういう政治的なマンデートを与えられるのは、私は、内閣総理大臣、安倍さんだけだと思います。 ぜひ、この問題も含めて、私は、法体系をもう一度考え直して再提出していただくことを最後にお願い申し上げて、質疑とさせていただきます。 ありがとうございました。